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テスト前日

 いろいろあって既に五月が終わりを迎えようとしている中俺たち学生にとって最悪であり最も神経をすり減らし成績と目を合わさなくてはいけない時間が刻一刻と迫っていた。


 別に普段から授業をサボっているわけじゃないがこのままいけば追試は間逃れないはず……なんとしてでも一夜漬けで不足部分を補うしかないのである。だが俺の通う高校は意外にも偏差値は高い、こりゃテストは絶望的。いやまて国からは高校は無償で卒業させてくれんだ勉強なんてしなくていいんだ、よしゲームでもしよう。


 ハードの電源ボタンに指を添えた瞬間、間の悪いことに携帯がバイブを鳴らし着信を知らせている。

 テスト前だってのに連絡寄こす奴はどこのどいつだ?



 『洲崎』



 とディスプレイには表示されていた。


 急いで応答ボタンを押す。



 「もしもし」



 「今大丈夫だった?」



 「あぁ、大丈夫だ」



 「なんか声が裏返ってるけどホントに大丈夫?」



 なんだ洲崎は魔術師か占い師かなにかなのか。俺のすべてをしっている気がしてある意味抵抗できない恐ろしい奴だと今一度再認識する。



 「そういえばね先生に伝言頼まれてたの」



 「だれ?」



 「担任の雀せんせい」



 雀先生か……いろいろよくしてもらってるかこれ以上関わるといいことがない気がする。あまり目立ちたくも無いんだがな、この世界じゃそれも通用しないし。



 「テスト赤点二つで雀せんせいと美兎生徒会長による特別補修だって」



 未だに掴みにくい美兎先輩ならともかく、雀先生が直々にだと? 絶対に悪い予感しかしないじゃないか。ある意味釘を刺しに来たのだな、だが、まぁ美兎会長とは親睦を深める意味でも……いやいやなにラブコメ脳を発動させている、俺には三次元を愛す事など絶対にしない、なにをされるかわからんからな。



 「わかった――」



 「なんかうれしそうだね」



 「そうか? まぁ才色兼備な許嫁だとまぁ嫌でもうれしくなるからな」



 「胸も大きいしね」



 「べ……べつにそこは評価対象じゃないぞ」



 「そうかな?」




 あの握手以来俺たちはこんな関係だ、生徒会長とも打ち解けられたみたいだし――



 「それじゃ」



 「あぁ」




 通話の終了を告げる音だけが響く。



 俺も真剣に向き会わないといけないのだろうか? だが俺の傷にはあの金髪ツインテの忌々しい顔が未だに脳にこびりつき俺の憎悪だけを増やし続けるだけだった。


 今じゃなくてもいいんだ、しかるべきときが来るのだから。

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