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手につかない

 「――兄貴飯」


 いつから座ってたのだろうか、俺は箸を右手にお茶碗を左手に持ったまま何するわけでもなくテーブルを見つめたままボーとしていた。


 溜息ばかり出ている。

 恋する乙女かと言わんばかりに出る溜息にある意味うんざりしている。



 「溜息ばっかやめてくれないご飯おいしく無くなるじゃん」



 「すまん」



 妹はそういいながらご飯のお代わりを貰っていた。


 さすがは運動部です。県大会出場者でベスト4入りしている凄腕剣道の達人には敵いませんね。

 と心の中だけにしまっておき少し冷めたご飯を食べ始めると、最後の一品である野菜炒めの添えられたお皿を持って母がやって来た。


 

 「あかねちゃんは難しい年頃なのよ、しずく貴方はもう少し女らしくしてみたら?」



 「おかあさんのその大きな胸があるなら私にもこのペッタンコナ胸が大きくなりますよ」



 「はいはい」



 軽く受け流し母がイスに座った。



 コレが家の食卓である。



 母と妹と三人で食事する。



 父はいない。数年前にできた多重婚制度が成立する前一定の男性の精子を遺伝子操作しウイルスに対抗できる男を産めるようにと実験されたファーストチルドレンと呼ばれる俺とその被験者である母、実際には父と呼ばれる存在はいるが血縁があるかどうかも怪しいという話を中学生の頃に習っていた。


 この遺伝子操作はセカンドチルドレンと呼ばれる俺の後輩? と呼べるような子供が二年後に実験された。ファーストチルドレンの数は100人でそのうち男は10人と一割の結果だったため改良を重ねて実験されたが被験者全員が流産するという結果で実験は中止、セカンドチルドレンと呼べる存在はなく、俺達10人のファーストチルドレンは将来性を考え様々な特権が極秘裏に受けることができる。



 おれのゲームもその一つ。実験は一箇所で行われず全国各地で行われたためファーストチルドレンメンバーは誰一人顔をしらない。


 ある意味坊ちゃんとして育てられた俺には現実を知らなすぎた。



 「あかねちゃんもし何か会ったらちゃんと私に言うのよ」



 「分かってるよ」



 わかってる、だけれどコレは俺の問題なんだ、どうする事もできないのになぜまだモヤモヤするのだろうか。



 その二日後俺は担任に呼び出され生徒会室に来ていた......。



 

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