わからんんんん
昨日の晩からの記憶が一切なかった。
気がつけばお昼休みで窓の外を眺めながら俺は考え事をしていたらしい。
溜息を出したくなる。
まさか生徒会長が、だなんて思いもしない。
いやまず先に洲崎の事を思うとやるせないというか、今日も顔を合わせたような気がするが避けてしまっていた。
そのせいかお昼は洲崎の姿が見当たらなかった。
恋敵が俺で、あんな慰めをしていて、うわ、ややこしいし、めんどくさいなこの。
最初から俺が知ってれば未然に防げなくもなかったが。
えぇい、どうでもいいわ。
机に突っ伏して放課後まで待った。
目が覚めれば既に4時を時計が示していた。
周りには誰もいない。
このまま時間を浪費しつつけるのもいけないが、なにもしないのも駄目な気がする。
俺の残された選択肢は一体何があって、何を選べばいいのか。
とにかく、どうにかしないといけない。
椅子から立ち上がると、何故か窓の方が気になった。
おもむろに近づくと、校庭で陸上部が走っていた。
その横にはなぜか生徒会がいて、測定? をしていた。
もう少し時間を置いて帰るか。
何もない教室で一時間程暇をもてあまし、外から声が聞こえなくなったと同時に俺は教室を後にした。
校門には仲よさそうに喋る生徒会連中がたむろしていた。
くそ、こんな時にめんどくせぇ。
「――こそこそなにしてるの?」
耳元にささやかれ、俺は全身のあらゆる毛を逆立てていた。
「ん? 生徒会長が気になるのかい」
首をおもいっきし横に振る。
「いやでも、まぁいいや、こないだはどうもね」
よく見るといつぞやの教室で百合百合していた先輩ではないか。
「あんまり、顔を合わせたくないんですよ、生徒会長と」
「たしか君って、生徒会長と結婚するはずだよね」
「どこでそれを」
いつのまにか先輩の腕を掴み、興奮していた俺をなだめるように先輩は手首を顎で示し、俺は慌てて手を離した。
「有名な話じゃないか、この学園で知らない奴はいないはずだが」
ちょっとまて、そしたら洲崎はどういう心境で俺と接してたんだ?
ますます分からなくなるし、あぁもう。
「悩んでるみたいだね、まぁ大いに悩みたまえ」
そういうと先輩は俺を置いて生徒会の横を清ました顔で通り、あげく俺の方を向いて手を振っていた。
お陰で生徒会の連中の視線は俺の方を向いていた。
なにやら生徒会の連中が生徒会長を残してどこかに行ってしまった。
そして生徒会長だけが皆とは逆、つまり俺の方に向かっていた。
俺は一歩、また一歩退いていた。
今は会いたくない、めんどくさい事はごめんなんだ。




