プロローグという名の説明回
『男』という言葉、いや男そのものが絶滅危惧種として指定されてから早100年が過ぎようとしていた。
人類は一時人口増加により資源が無くなくなり地球という星を離れなくてはいけないとまで考えられていたらしい。
それにエネルギー問題だとか温暖化、これはまぁいい方向に進んでいるのかな? 話はずれてしまったが人工の増加だったり様々な問題を抱えていたが2018年の9月18日この日は誰もが知る有名な日となった。
今では『秋の終わり』とも言われるようになっていてそれはそれは大惨事だとかじゃないとか、まぁ9月18日に一斉に誰かがウイルスでも撒いたのか男の八割が死亡、その多くが成人男性だったとか。
生き残ったのはまだ毛の生えないような少年ばかりだったそうだ、現在では男の精子が死ぬげんいんだとかでこのウイルスの解明に多くの研究員(女)が研究してワクチンを作り上げたそうだ。
当時の男の寿命は、精通してから半年というものすごい速さで死んでいったそうで。
今こうして中学を卒業し春休みを迎えられてる俺はその科学者達のお陰ってわけですよ。
それにワクチンができたからって死なないわけじゃない、病気の予防の注射をしたって病気になる奴もいるし、そんな訳で現在地球の総人口は25億人だそうだ、一時期は10億を切るんじゃないかと言われていたらしく、ワクチン完成後はとにかく子孫繁栄のため国は総力を挙げて人工増加に励んだらしい。
とある国では精通後毎日代わる代わる20~30歳の幅広いかたがたに精子を分け与えたらしい。その子供の多くはまぁお察しの通りで一年か二年そこいらで研究所行きらしい。
そんぐらい人工だったり男を増やさなくてはいけなかったみたいだ。
今も何故か出産率は8:2で女:男でなってるらしい。
結局ウイルスをばら撒いた犯人は見つからず、21世紀最大のテロとして世界を激震させた(主に女性に)そんな訳でこの世界で男という貴重な生き物は重婚を認められ、むしろ国側から一人か二人同世代の婚約者を決められ籍を入れなくてはいけないらしい。
ある意味男に生まれたら決められたレールを走らされる義務を負わされるってわけ。
勉強もせず昼間からネットで要らん知識を蓄えた所でどうにかなるわけでもないが、昨日母親から婚約者二人の写真が送られた時俺は頭がパンクしてうまく状況を理解できていなかったし、こういう話はどうでもいいと普段から受け流していたため今日になってようやくその事を知った。
母親からは小学生から教えられていたとか言っていたが一切そんな記憶が無かった。
法律でも変わったんではないかと思って久々にネットを立ち上げてみたがそうでもないし――
長時間椅子に座っていたため体を伸ばすとゴキゴキと嫌な音を立てた。机に無造作に置かれている婚約者二人の写真が目に付いたが美人というかなんというか、ある意味俺の好みを理解でもしているんじゃないかと思うぐらいにタイプの違う可愛い子二人だった。
どうせ加工でもして可愛くしているんだと心を落ち着かせるためにささやく。
だめだモヤモヤする。クソ。
――そうだゲームでもしよう、アレこそ人類の宝なのだから。
国から何でも願いが叶うとか言われて俺は旧式のゲームがやりたいと言った為100年前を境に最後となったハードのPS4だったりXBOXだったり旧型のゲームを一式そろえて貰った。今ではプレミアが付いており一般人が手を出せる代物ではなかったするのだがまぁ男に生まれた特権を生かせばこんな事朝飯前だよ。
コントローラーを手に取り本体に電源を入れる。
最近はゲーム市場もやっとゲームと呼べる代物を開発できる段階になってきているが、正直100年前のゲームと比べるとどうしても物足りないものがあった、それは勿論最近のゲームだって好きな奴もあるがどうしてもあのシリーズの続編をプレイしてみたいと歯がゆい思いを俺はずっとしている。
それにギャルゲーと呼ばれるジャンル、あれ自体が貴重価値みたいになる今じゃ乙女ゲーが大半を占めていて男でもギャルゲーを買う奴がいるかどうかもわからないため商品が発売する事がここ50年以上ないみたいで、インディーズだったりではちらほらみたりするが、やはり過去のギャルゲーを触れた俺からしてみればハーレム設定とか女子高に紛れ込むとか夢のような設定で作られているが今では当たり前のようなもので。
その当時の想像力はすばらしいと思うほど絶賛するよ。
生きる時代を間違えた、そんな風に感じてしまう。
モニターにはタイトルのロゴが映るとOPが流れ始めた。
ボタンを押してゲームを進めていく――
「――兄貴めしだあああああああああああああああああああああ」
耳元で鼓膜を破るような大声が聞こえてきた。これは絶対に馬鹿がやったことだ、絶対に無視してやる。
モニターから目を離さず、いたずらをする奴を無視する。
それに怒ったらしくモニターの後ろに姿が見えたので帰ったのかと安堵した瞬間、モニターはゲームを移していたのが真っ黒になりなにも移さなくなった。
「おい馬鹿な妹よ何をしてくれた」
「てへ」といって右手をゲンコツにした拳を頭に微量な力でコツと音を立てて舌を出しながらやっちゃったみたいな古典的な動きをしたところで俺には、俺にはこの怒りを静めることはできないだろう。
「ご飯だって言ってるじゃんゲームに夢中なのがいけないんだよ」
「俺には一回しか言ってないような気がするが」
そこまで夢中だったわけでもないので妹が部屋に入ってきたことも知っているし、何回喋ったのかもわかってはいるが、さすがに俺も怒っていいレベルだと思うのだが。
「いいから早く」
そういうと妹は慌てて部屋を出て行ってしまった。
どうやら怒られるのは嫌ならしい。
溜息を吐きながら俺は立ち上がると、また写真が目についてしまった。
どうやら忘れようとしても気持ちは気になって仕方がないみたいだ。
俺もハーレム主人公みたいな生活をしなければいけないと思うと、そいつらを尊敬してしまう。
でも結局そいつらって一人を選ばなくてはいけなくって、俺は全員を強制的に選ばなくてはいけないなんて......ある意味ハーレムをつくった主人公達には尊敬するよホントに。
明日から俺は近所の一応共学である高校に入学することになる。
俺のハーレム物語(笑)がはじまるわけだよ。嫌になるよホントに。