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始まり
ホールに貼られた香盤表の下にはすでに人だかりが出来ており悲喜こもごも歓声やすすり泣きまで聞こえている。
藤も香盤表に集まった1人だが、予想外の出来事にパニックを起こしていた。
ーどうしよう…なんでここに名前が…??ー
「おめでとう」
後ろを振り返ると、4学年上の秋先輩が面白そうにこちらをみていた。
「これから大変だろうけど、頑張ってな」
優しい言葉とはうらはらに声ははずみ、瞳は輝いている。
劇団での学年差も大きく、秋先輩と話したこともほとんどない。秋先輩自身も後輩と親しくするタイプではないせいもあるだろう。
激励の言葉なのか、皮肉なのか…戸惑いながらも
「ありがとうございます。精一杯頑張ります」
答えた藤に目をクッと細め秋先輩は離れていった。
初投稿です。劇団についてはぼんやりとみていただけると嬉しいです。