深海の生き物そして怒りの始まり…
この本を読んで下さり、ありがとうございます。
さてさて、まだまだ寒いですよね。((+_+))
でも やはり1度でいいからこの冬に雪だるまがつくりた~い!と思うのはわたくしだけでしょうか?
ぞろぞろと僕達は巨大蟹に仕方なくついて行く事になった。
誰も言葉を発しようとしない。いや発することができないのか.....
黙々とただついていくだけだ。いくつもの足音だけが響いている。
僕は下を向いている必要もないと思い、目を外側に向ける。
そこに見える光景はさっきの出来事とは裏腹に美しい。街であろうそこは素晴らしいものだった。
ただ歩いていた人々の中から一人、何かをしようと動いた。その人は....
...えっ?母さん?
・・・またこの母は何をしようとしてますか?
確かにこの母は僕が物心ついたときから今に至るまで、じっとしていることがなかった。とりあえず何かしらしている印象だ。多分動いてないと死んでしまうんだろうこの母は。
とは云ってもね?さすがにここは空気を読んでほしいといいますか...
母さんが 巨大蟹に向かって話しかけていた。
「あのー、お名前は?」
必要あるんだろうか?その情報。この空気を押しのけて聞くほどのことではなくない?
「なんだ、お前!......ああ、名前か。私はデコス樣にお仕えしているガブだ。覚えておけ」
なんだ、なんだ、そこ教えていいんですか......
それにしても母さん、何で名前なんか?まあいいっか、母さんだから。
視線を街に戻す。それにしてもこの街は何で造られているんだろう?全て同じ様な物で作られているみたいだ。
石?金?いや、こんな色はでないはずだ。この虹色はどうやって造られているんだろう?
しばらく歩いていると、巨大蟹が止まった。あ、ガブだっけ。
目的の場所に着いたのかな?
えっ!人だ!人が他にもいる!それもかなりの人数だ!
何をしてるんだろう?とにかくみんな動き回っている。
何か石の塊?みたいなものを運んでいる人もいれば、その石みたいな物をノコギリで切ったり削ったりしてる人もいる。
その中に見知った人を見つけた。
あっ、あの可愛い大きなリボンのお姉さんヾ(´∀`*)ノだ!
わーい、わーい?いや、普通に喜んでどうする、僕。TPOを弁えなければ。
ん?何か彫ってるぞ?
しかも辛そうな顔をしている。船に居た時の様なニコニコした笑顔は何処にも無い。
「さあお前達、ここで働いて貰うぞ。お前は珊瑚を海から採ってこい。そして、お前は珊瑚を削れ。そしてお前は珊瑚を磨け。」
この巨大蟹、いや、ガブめ!いつかその爪もぎ取ってやる。いくら僕が顔に自信がないとはいえこいつには絶対勝ってる!
よね?
「何でこんなことをしなきゃいかんのだ!?」
当然のように批判的な意見が出る。
「ん?なんだまだ海に放り出されたいやつがいたのか?」
誰も何も言えなくなった。とりあえずいいなりになるしかないようだ。
とっ、僕はと珊瑚を海から取ってくる役だったな。
ああ、これは全て珊瑚なんだ、だからブルーやピンクやイエローで出来てるんだな。
というか、ここは海の底だぞ!?酸素無かったら死ぬぞ!僕!
母さん、母さんは……!
・・・・・・・・・・・・・・・( ̄▽ ̄;)はっ?
母は可愛いお姉さんの横で楽しそうに珊瑚を磨いていた。
「きゃー、綺麗な珊瑚、きゃー、スッゴい!」
この適応力。我が母ながら信じられない。
もう、母さんは大丈夫だ、放っておこう。
「おい、お前!」
「えっ?」
振り替えると一人の男の人が僕の肩に手をかけていた。
「君は俺と一緒に海の底に潜るんだ」
あれ?あれ?この人、見た事あるなぁ?どこで?
「あっあー、貴方は?船の中にいた……ヘルボーイの……」
「静かに!とにかく話は後で。今はまず海底へ行こう」
ウィーン!
一緒に海に出る男の人が手を翳すと扉が開いた。
そこは海へ出る為の準備をする所らしい。
何枚かの宇宙服みたいなものが 壁にかかってあった。
頭に被るものなどは本当に宇宙服みたいなものだった。
背中に背負うボンベのようなものが二本付いている。
ああ、あれはきっと酸素だなぁ。えっ?途中で酸素切れたらどうするの?!\(゜ロ\)(/ロ゜)/うわー、うわー!!
・・・情けない、男なのに叫んでばかり……くぅ~。
服を装着するといよいよ海へと続く道らしい。
へっ?道?みちはなく……突然 海だ~!
不思議だ!なんでだ?
海底への出口はガラス張りの場所へ近付き、男の人が手を翳すと扉が開いた。
出ると海の中だ。なんなんだ?この仕組みは?
何故?僕らは出れるのに外から海水が入らないのか?
それは……僕には 勿論……
解らない!( ̄▽ ̄;)はー。
ここまでずっと会話もなく沈黙のまま行われた。
さあ、いよいよ海中だー。わーいわーい!
うーん、こんな状況なのに不思議と高揚感があるのは・・・母さん譲りなんだろうなぁ、多分。
もちろん喜んでる場合ではない。鮫なんかが襲ってくるかもしれない。いやいや、得たいの知れない生物に刺されるかもしれない・・・嫌だ、痛いのはいやだ!
油断できないぞ、今度こそ母と会えなくなるなんて。というより、あんな変な母さんが1人で生きていける訳がない。なら、無事に帰ることが1番大事なことだ!
「瑠璃くん、ちょっとるりくん 聞こえているかな?」
「あっ、はっ はい!」
「海中はかなり危険が多い。それにここは深海だ。流れがなく静に見えるが、実は何ヵ所か物凄い渦が巻いている。その渦に捲き込まれると、たちまち吸い上げられて2度と戻れなくなる」
ひぇー!なんだ、なんだ、怖いよう・・・
「はっはい、気を付けます」
「ああ、忘れてた、僕の名前は李塔だ、よろしく!」
「僕の名前は……?いや、さっき僕の名前呼びましたよね?」
「ああ、先に聞いていたよ」
「あのー、僕は16才なんですが 李塔さんは?」
「19才だ」
「へぇ、僕と3つしか変わらないんだ」
「そうみたいだね。さぁ、ガブがまたくると厄介だから早く海へ出よう」
「はい」
「瑠璃くん、この服は海中でも聞こえて来るようになっているから安心していいよ。もし何かあったら呼んでくれ」
「わかりました」
凄いな!この海中着。そんな機能まであるなんて!それに李搭さん、かっこいい~ぜ。
いよいよ海中だ。
ぷかぷか~、ぷかぷか~、すーい、すーい
静かだ。このクラゲ達の誘導してくれる灯りが無かったら、真っ暗の中をさ迷うのだろう。
実に怖い!すいすい泳げても怖い!
「瑠璃。これ、ここの珊瑚を抱えて。水の中だから簡単に持てるはずだ」
「分かりました。やってみます」
クラゲ達が珊瑚を照らした。
綺麗だ!この世の物ではないぐらいだ。
虹色の珊瑚なんて見たことがない。
よっこらしょっ!どっこいしょっ!
なかなかはずれないなぁ?
ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァ
なんだ、なんだこの生き物は……
「李塔さーん!」
李塔さんは別の珊瑚を手にとろうとしていたけど 急いで来てくれた。
泳ぎも旨い。優しい人だなぁ~
「ああ、この魚は害はないよ、この珊瑚の下に住み着いているのさ。 名前は確か、ヤナだったかな?」
目が飛び出ていて全身ダークグリーン。僕にビックリして広げた口はまるでカメレオンのように大きく広がっていた。
大きさは両手を広げたくらいだが・・・余りにも大きな口なので食べられるのかと思った・・・
ぎゃーだよね、きっと誰でも驚くよね……とほほっ……
さて、気を取り直して、よっこいしょ!
両手をいっぱいに広げて珊瑚を持ち上げた。
「李塔さ~ん、この珊瑚、このまま運ぶんですか?」
あれあれ!?李塔さん……?
返事がないなぁ、もう一度呼んでみよう。
「李塔さーん!」
「ああ、ごめん、今、深海の毒蛇がいたからやっつけてたんだ」
「えっー!毒蛇?」(;゜0゜)
「顔が3つあるんだ、しかも3つの頭が全て襲い掛かってくるから やっつけるのに時間がかかるんだ」
どっかで聞いたことあるような・・・ケルベロス的なやつかな。
「怖くないんですか?」
「いや、それは怖いよ。でも生きていくには仕方ないさ。さ、瑠璃。珊瑚持って街にあげよう。」
「はい」
手に持った虹色の珊瑚は 真っ暗な水中でクラゲ達の光でキラキラ輝いていた。
それから何度もこの作業を繰り返した。
さすがに疲れた。今日はこれで終わりだと言うので 最後の珊瑚を持ってと……
うぎゃ~ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァ
今度はなんだ!なんなんだ!?
いや、大丈夫だから。瑠璃!李塔さんを見てみろ!あんな強い男になれと自分に言って聞かせた。
ゆっくり、ゆっくり近くで覗いてみた。
やっぱり やっぱり、そうなんだよね……
慣れない!こんな化物みたいな魚連中に慣れるわけがない!
大きな口を開けた鯛のような、鯉のような普通の魚なのに人のような歯があるんだよ!?人間かってえの!ビックリしますよ魚さん!
くらげが照すその魚の口から見えるのは 正しく人間の口の中そっくりだった。
「ああ、瑠璃。これはジープ ブルと言ってとても大人しい魚だ」
「すみません、何度も騒いでしまって…」とほほっ
「さあ、今日は最後だから 早く街に帰ろう」
「はっはい!」
やっとの事 海中から出て服を脱いだ。まるで宇宙にいたかのように 足が地に着かない感じが気持ち悪く ずっこけた!
どてっ!
「いてっ!」(。≧Д≦。)
「大丈夫か?気をつけろよ、海中でずっと浮いてるとそうなるんだ」
「はっはい!いてて…」
はぁ~、何をやってもだめたなぁ……
やれやれと思って街の中を 李搭さんと歩いていると、何やら騒がしかった。
なんだ、なんだ!
え~、え~!母さん?うそ~
嘘ですよね。
踊ってた。あの古いスカートの裾をヒラヒラさせながら踊ってる……
「あっ、瑠璃ー、お帰り。ほら、母さん上手でしょー」
「やっやめてよ、それにガブは?ガブに見つかったらどうするんだよ」
「大丈夫だよ、今ね ガブ様はお食事中、それに食事が終わったら寝てしまうんだよ、いつもね!」
そう言って何人かの人を巻き込んで また踊りだした。
タラリララ~タラリララ~なんて口づさみながら……
「あのー、お食事して下さいね」
おーおー、かわいいお姉さん!(*≧з≦)
「あっ、はっはい、ありがとうございます」
「ここには食べるものだけは沢山あるのよ」
「うわっ、嬉しいです。あのー、僕は瑠璃と言います。おなっ、お名前 教えてもらってもいいですか?」
いやー、大胆に何を言ってる僕は…
「砂里よ、よろしくね」
「さ、さりさんでいいですか?あのちなみにお年は?」
いやー、バカバカ!女性に向かって唐突にそれはないだろう…でも聞きたいよー。
「19才よ、瑠璃くんは?」
「16才です」
「若いわね、まだまだこれからなのに こんな所で働かされるなんて…私も帰りたい…」
砂里さんは目を潤ませた。
こんな僕で宜しければハグしてあげたいのですが とっ、言いそうになったが止めた。ではなく勇気も根性もない僕が出来るはずがなかった。
「いやー、すごいなぁ!なんだこのご馳走は」
「瑠璃、ここは魔王の世界だ。だから何でも手に入る。と言っても人間をここへ誘き寄せて、船の食料ふんだくってる時もあるけどな。そして俺達を働かせる為にたんと食べさせておくのさっ」
「へぇー、そうなんですか?」
「魔王ってだれですか?」
「いや、俺も見たことはないんだよ。ガブが言ってたのを聴いた事があるんだが、それはこの世とも思えないくらいの巨体な怪物らしい」
「はっはっは~ひっひっひ~」
僕は怖すぎると変な笑いが出るようだ。
「瑠璃?なんかいろいろ大丈夫か?」('_'?)
「恐すぎて、笑が…」( ̄▽ ̄;)
「あっああ、まあ・・・気を取り直して食事でもしよう」
「はーい」
うめ~!
「あっ、さっきの話ですが その魔王の名前は?」
「確か、ガイロ デコスだったような…」
「そのデコスは何故 人間を集めてるんですか?」
「少し小さな声で話そう…これもガブが話していたんだが、本来ならこの珊瑚の街は海中の王様、いや、全世界の海の王様の一族が住んでいたそうだ。それをデコスが乗っ取る為にその一族を追い払い、追い払われた一族は目が見えない生き物に変えられて海を彷徨っているそうだ」
「そんな!なんて話なんだ」
「その一族の王様はね、人間のような手があり頭の形は丸く、顔はのっぺらぼうのようで尾びれが着いていて、真っ白く3mくらいあるものに変えられたそうだ」
「3mって!」
「もともとは上半身は人間の形で 尾びれがあったそうだ、そんな 姿に変えられた王様は この深海を漂っているだけだそうだ」
「それって、ひどいです!それに その尾びれが着いた人間のようなって・・・ そう!よくおとぎ話にでてくる人魚じゃないですか?」
「そうだな、その者もみな目を見えなくされたそうだよ」
「そんな、可愛そうに…」
「この変にしておこう、カブがいつ目を覚ますか分からない」
「はい、あっー、母さん!ガブが起きたらヤバイよ」
「・・・」
「すみません。ありがとうございました、李塔さん!ちょっと行ってきます」
「また明日な瑠璃」
「はーい」
「母さん!あれ、あれ?居ない、もしかしてガブに……」(゜ο°;)ノ
「あっ、瑠璃 お母さんならもう寝ちゃってるわよ」
「へっ?」( ・◇・)?
「踊り疲れたみたいね」
踊り疲れたって…何処まで呑気なんだ
「ありがとうございました、あのっ、砂里さんはもう寝るんですか?」
「ええ、明日も働かないといけないからね」
「そうですよね。ところで何処で寝ればいいのかなぁ?」
「それならこっちよ、男の人と女の人が分かれてるのよ、だから瑠璃はそっちね」
「はい、砂里さん」
_(^^;)ゞいやー、残念ですね…別々なんて
「それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
あれ?李塔さんいないや。
まあ、いいっか、とにかく寝よっと、疲れたなぁ
そうして夢も見ることなく深い深い眠りに着いた……
「瑠璃~、早く起きて、大変な事が・・・」
なんだよ、こんなに眠いのに…
「瑠璃!ガブが暴れだしたのよ」
そう血相を変えて僕を起こしに来たのは 砂里だった。
「なぜ?」
「それが、昨日ね ガブが寝込んでる間に 誰かが逃げようとしたらしいの」
「えぇ!?」
「それで、ガブが怒って大暴れして、全員集合例がかかったの。だから早く皆のところに行って!」
「あっ…うん、わかった」
瑠璃は急いで広場へ行った。
「うそ~」((((;゜Д゜)))
読んでくださりありがとうございました。
とてもとても嬉しく思います。
寒さに負けず 色々頑張って下さいね。
わたしも頑張ります。雪だるまを作るのを諦めません……