優雅BIG客船の旅へスタート
私の空想は限りなく 心の癒しを求めております。
空を風に乗って翔ぶように、海を波に乗って流れるように、読者の方と供に、いや、友に翔ぶように流れるように進めていきたいです。
父が突然亡くなった。だが悲しいと思ったが、案外そうでもないような……
なぜなら父とあまり会ったことがない、それは父の仕事が海外にあり 小さい時から 数えられるほどの回数しか会ったことが無いからだった。
でも母が心配だった。結構、父を愛していたような感じがしていたからだ。
後、これからの生活もどうなるのかも心配だった。
葬儀も終わり 親戚の人達も帰り家はやっと静かになっていた。
母が1人になったのを確認してリビングに入って行った。
「母さん、大丈夫?」
「あっ、瑠璃!ちょっと聞いて~、父さんね、3億円も持ってたの」
「へっ?何?3億って?」
「だから、すごいよね~、母さんびっくり!」
「はぁ?だから、なんでそんなお金が?」
「わかんないよ、私が貯めてたわけじゃないからね」
「う、うん……」
「ねえ、もうすぐ夏休みだよね、船旅しない?」
「ふ、ふなたび?って、父さん亡くなったとこだよ」
「だから行くんじゃないの、こんなにお金あるんだよ」
気の弱い僕はいいなりだった。とほほ……
さてさて、とっ、云うことで僕と母は 一つの街のような船に乗り旅に出る事になった。
*豪華BIG客船*
入り口の天上にはchandelier、階段は左右に分けられてどーんと上へむかって連なっていて、真っ赤なじゅうたんが敷き詰められている。階段を上がると左右には和食、中華、洋食の硝子張りのレストランがあり そのまた続きには階段があり、ホテルのような扉が並んでいた。
そこに僕たちの部屋はあった。豪華マンションの一室のような……
また上の階に行くと、劇場、映画館がある、これまたビックリだ!
そして屋上にはテニスコート、プール、温泉、これなら一生ここで暮らせるような気がする。
まあ、お金は続かないだろうが……
母はおおはしゃぎしている。子供の遠足みたいだった。母は本当に親なのかと思うほど 幼稚、そう、ようちなひとだ!
今頃 気がついた訳でもないが。
とにかく、1度案内された部屋へ向かっていた。
ベルボーイのような格好いいお兄さんが案内をしてくれている。
可愛いお姉さんだったら良かったのに、なんて、思う自分が恥ずかしい!
どっちを向いてもセレブな人ばかり、僕は16歳まで、取り合えず貧しくはなかったが 裕福でもなかった。父は海外で単身赴任の普通の企業で勤めている人だった。 然程 裕福でもなく普通の生活をしていた。
普通?部屋はリビングを含めて5部屋、食べ物もカレーに、焼き飯、焼きそば、味噌汁、焼き鯖……ほら、普通の食事ですよね。
どーんと ステーキなんて日は無かったような気がする。
焼き肉もなかったなぁ?
だから、僕と母はこんな船に乗ると どうも場違いな人物に思えてならない。
まあ、父が残してくれた遺産だから楽しまないと、いや、違う!大切に楽しまないと!かな?
案内してくれたお兄さんが 部屋の説明をした後 深々と頭を下げて出ていった。凄く 凝縮してしまう。何度も言う様だが慣れていない。こんな金持ち扱いには!
さて部屋を見渡してみると大きな海の見える窓があった。
ベットは親子なのでtwinにしてもらった。たけど1つのベットで充分、大人3人は眠れるだろう。
各部屋のTVなのにまるでシアターだ‼
お風呂もこれまたデッカイ‼僕宅よりでかいソファーが置いてある。ソファーにまで凝縮してしまいそうだ。すみません!
あれ、母がいない!
「母さんー」
「ここ、ここよ!」
「なにやってんの?!」
「ねえねえ、すっごい!このお風呂、泡が出てるよ」
「ふーん、あまり興味ないけど」
「えっ?なに?何か言った?」
「いや、すごいね」
はぁー、疲れる、なので船内を歩き回る気にもなれずベッド
に横たわっていた。
「ねえ、船の中の散歩しようよー」
「えー、母さん1人で行って来てよ」
「はぁ?」
「あっ、はい、わかりました、行くよ!」
直ぐに気に入らなければ胸ぐらつかんでくるんだから。めんどくさい人だ。
「どこまで行くの?この船旅、一か月はあったよね。もういいよ、明日でいいよー」
母、横目で睨みをかけて近寄ってかくる。
「わかりました」
はぁー。
こんな母でして、とてもめんどくさいです。
「ねえ、すごいよね~、あのchandelier」
「うん」
「ねえ、この窓見て、まるで海の上にいるみたいね」
「海の上だし……」
「はぁ?」
「いや、すご、すごーい」
「よねっ!」
はぁー部屋へ帰りたい、いや、はて、何だあの美しいお姉さんは
売店の受付をしている子に目がいった。
髪を束ねて清楚にしている。ニコニコした顔が優しすぎる。制服は胸に大きなリボンが付いていて、赤色のチェックのスーツを着ている。
うわ!なんて、こんな素晴らしい船旅なんだ、よーし、頑張るぞ!
はて、なにに頑張ってなにを興奮しているのだろうと恥ずかしくなった。
「瑠璃!ねえ、聞いてる?」
僕は16歳、いま、母に胸ぐらを捕まれている最中です。
「う、うん、何かあった?」
「だからぁ、あの絵、凄いよね」
「絵?」
「ほら、何だか怖いけど素敵ね。悪魔みたいな人と人魚が……」
うわー、こえー、なんだこの絵は?いや、この絵の人魚、美しい、美しすぎる、髪の色は蒼い、瞳の色も蒼い、やばい!美しい……
「いたたたっ!」
「はい、次は3階にいくよ」
「うん、何も耳を引っ張らなくても……」
「なに?」
「い、いや、さっきの絵、きれいだったね」
「うわー、すごいよね~、何、この広さ、これは劇場?舞台もあるわよ」
「切り替え、早!」
いや、本当にでっかい、まさしく王様気分になれそうだ。
「あれ?母さん?また何処かに行った?」
目が点になった。
「やめてくれー」
母さんは舞台に上がり 唯一持っていた古い型のワンピースのスカートをひらひらさせながら くるくる回るように躍っていた。
「ほーら、母さん綺麗?」
「じゃあね、僕は部屋に帰るから、誰も居ないから良かったものの……恥ずかしい!」
「待ってよー!瑠璃~」
「待たない!」
「えっ?待たないの?えっ!えっ?」
「わかった、わかったよ、だったら早く降りてきて」
「はーい」
「はぁー、母さん!いい加減に…へっ?」
まただ!消えた!
僕は部屋に帰ろうと思ったら目の前が真っ暗に
「だぁーれだ!」
「あのですね、母さんしかいないですよね、この船に乗っている僕の知り合いは!」
「きゃー、わかっちゃった?」
「あのね、( ̄▽ ̄;)」
「ねえ、食事しようよ」
「う、うん」
転回早すぎ。
まあ、お腹も空いてきたし レストランも沢山あるし調度いいか。
処でこの船に乗ってから何時間くらい進んだんだろう。
2時間、いや、3時間くらいかな?乗り込んだのは昼の1時位だったから…
「いたたたっ!」
「早く、お腹すいてたまらないよ」
「だから、耳は引っ張らないで!」
レストランの前に立ち
「うわー、美味しそう!感激だよ、母さんはね、ごーかスペシャル海の幸、盛り合わせがいいよ」
勝手にどうぞ、と言いたかったが またご機嫌が悪くなるのでやめた。
「そうだね、母さん、美味しそうだね」
疲れる……
洋食のレストランに行くと満席で座れなかった。
「海の幸、海鮮の盛り合わせは~?」
「こっちにもあるよ」
母は海鮮の盛り合わせさえあれば 何処でも良いみたいだったので 和食のレストランに入った。
なんとか2席開いていた。
「それにしてもみんな綺麗な格好だよね。母さんも なかなかいけてる?よね!瑠璃」
僕なんかトレーナーにジーパン姿、まあいいっか。
「ねえ、かわいいでしょ?このワンピースね、父さんが買ってくれたんだよ、古いけど、あはっ!」
えっ、父さんが亡くなってから 母さんの言葉の中に始めて父さんが登場してきた。
似合うよ、なんて 恥ずかしくて言えない。
「ねえ、似合うよね!」
「う、うん」
精一杯の返事だ。
「お待たせ致しました。海鮮の炭焼きの盛り合わせでございます」
「わーい、わーい、頂きまーす」
恥ずかしい……
僕は無難な天丼を頼んだ。
回りを見渡すと 大抵の人はコースを頼んでいるみたいだった。
明日はあれにしようと決めた!
母さんは海老やカキやみる貝や、イカやたこ、あわび、うに、いくら…ニコニコしながら食べている。
母さん、ご満足みたいだった。
「ねえ、食事終わったら最上階へ行ってみようよ~」
「えー、まだ一か月もあるんだよ、明日でもいいんじゃない?」
「うん?」
母は海老の噛みかけたしっぽを口から半分だし僕を睨み付けた。
「わかりました、ほいほい」
「かぁ~、お腹一杯だ」
か細い、そう、今で言う草食男子の僕は天丼を1杯食べるだけでおなかがやばい!
「うわー、うわーこの広さは、プールに温泉!」
僕もびっくりした。いつの間にか景色は海一面だった事に。
でっかい太陽が水平線に差し掛かり 見た事も無い景色だった。
すごい!これは、すごい!!
思わず母さんに声をかけようと 海から目を外そうとした。
いや、まて、今何か見えたような気が...
もう一度水平線に目を向ける。
太陽の眩しい光で薄ボケてしか見えなかったけど あれは何だ?
「えっ?」
僕は1度目を擦ってみた。待ってくれ、あり得ない。
僕の目がおかしくないのであれば海のど真ん中から何かが顔を出しているように見える。
人間か?人間なら助けないと、蒼い、霞んでしか見えないけど とにかく、蒼い色はわかる。
慌てて誰かに伝えようと周りを見渡した。すぐそばには誰も見当たらない。もう一度海に視線を戻すと顔が海面から消えた。
そのとたん大きな魚のヒレが海面から出てきてその姿は2度と上がらなかった。
海を漂流していた人が鯨か鮫にでも飲み込まれたのか…
いや、こんな所で漂流してたら 先に船員が見つけたはずだ、しかも、助けれなかった事の事実も、いや、幻かもしれないし…
「ねえねえ、母さん、眠くなっちゃった」
「えっ?さっきまであんなにはしゃいでたのに」
もう、母さんは 僕の言葉も聞かず部屋へと向かって歩いていた。
さっきのレストランの所を通って下の階に行こうとした時に何だか違和感を感じた。
はて?こんなに静だったかな?
人がいない、あっそうか初日なんでみんな部屋へ隠ってしまったんだな。
それにしても少し静かすぎた。
あっ!さっきの可愛い笑顔の素敵なお姉さん、やっぱらリボンが似合うなぁ~。
あれ?母さんが、さっき前を歩いていたのに…
また、何処かへいったんだろう、きっと…そう言うことにしておこう。
僕はそっと部屋へ帰ってと……
はぁ~、疲れた。
この広いベッド、最高級、うひゃ~、両手を広げてもベッドから手がでないぞ~、すっげ~、すっげ~!
はて?何か物足りない?はてはて??
「あー(;゜0゜)!母さん…いない!」
少し慌てたけど まあ子供じゃないんだから いつかきっと帰ってくるさっ。
僕はお風呂も入らず、パジャマにも着替えず深い眠りについた。
眩しい!なんだなんだ、えっ、太陽の光?
朝が来ていた。よっぽど疲れてたのか昨夜、横になってから記憶がない。
あっ~、母さん!
横のベッドに目をやったが居なかった。
「母さん、かあさん?」
もしやまたバスルームか?
居ない、また、どこかにいったんだな。
まあ、気楽でいいや。
いや、やはり気になる!あ~、めんどくさいなぁ、船内をまた歩き回らないといけないんだ。ふぅ~、昨日はお風呂もはいらずに眠ってしまったんだ…
取り合えず部屋を出てとっ、鍵は母さんも持ってるから掛けてと、またあのセレブナ人達と会うのか…この格好じゃ気か引けるなぁ~。
あれ、静かだな?あれあれ、昨日の賑わいは何処へ…
あっ、昨日の受付の綺麗なおねえさんの所にいってみよーっと。
あれ、いない!そっか、交代かな?いや、誰も居ない!
えっ、誰も?
あっいる、あの人に声をかけてみよう。
「おの~、すみません、ここに昨日いた人は?受付の……」
「ああ、それが何時になっても来ないので今、確認してるのだが」
何だか神妙な面持ちで答えたひとはベルボーイの様な王子様みたいな格好をした人だ、とっ言うことは船員だな。
「それに、お客様が部屋からでてこない…1部屋事に確認しないと…」
なんだ、なんだ、1人でぶつぶついってるぞ?
まあいいっか、僕は母さんを探しに行こっと!
「あの、お客様!お連れの方はいらっしゃいますか?」
「い、いえ、いないので探しています、母ですが、あっと、でも大丈夫ですよ、きっと、あの人 この船のなか走り回ってるはずです。子供だから…いや、子供みたいな人だから」
「それならいいのですが」
また、真剣な顔をして考えてるようだった。
とにかく、母を探しに行こーっと。
屋上にいってみるとなんだか数人のひとが ワイワイ騒いでいる。
なんだ、なんだ?
「いやー、おかしい!実に」
「私は朝起きて主人がいないのですよ、昨日は一人で散歩に行くって…私はねてしまって」
「私は妻が部屋にいても帰ってこないので、昨夜からこうやって、ずっと船員さんと探し回ってるのですが」
「うちは奥さんがエステをしてもらうからと出ていったまま帰らないんですよ」
「大変な事ですよ」
えー、えー、なんだ!何が起こってるんだ?
母さん?うわー、心配になってきて、心臓がばくばく音を立てて鳴り始めた。
あんなに、疎ましかった母が急に恋しくなってきたよー、うわ!
いや、落ち着け!何処かではしゃいでるはずだ!
とにかく、もう一度部屋へ戻った。
船内はもうパニックになりはじめていた。
やはり、母さんは戻っていなかった。
部屋の硝子窓から海が見えた。大きな尾びれがざぶーん!
鯨?さすが海のど真中、すっげ~、いやいや、母、そう探さないといけないんだ。
少しずつ不安が大きくなってくる。
部屋から出てロビーに行くと あれ!誰も?えっ!えー!(*゜Q゜*)
居ない、あんなにいた人が誰もいないなんて、有り得ない!
うわー、うわー、やばい!なんかやばい!
気の弱い僕はこんな突然のハプニングに慣れていない…
だから(((((゜゜;)
ロビーにポツンといたら何だか急に身体がふわっと浮いた感じがして、軽くなってきた。なんだ、なんだ!前も真っ暗ー、母さん?
また目隠ししたの?なら、なら僕は涙が出るほどうれしいんだけどなぁ~母さん……
僕は気を失った。
ここまで 私の癒しの空想にお付き合い頂きありがとうございました。
これからは もっと、もっと深い、ふかぁ~い私の頭の中をお見せしたいと思います。
どうぞご一緒にお供して下さいませ。