幼児期 第8話 ゴブリンに会いました
盗賊たちは、僕を連れて森の中を進んで行いきます。
「やったすね兄貴。これで今後の生活は保証されましたぜ」
「そうだな。あとはこのガキを使ってあの貴族たちに身代金を求めるだけだ」
盗賊たちは笑いながらそんな話を続けています。
この盗賊は頭が悪いのでしょうか?僕をさらってお父さんたちにお金を求めるような捕まる可能性があることよりも、みんなが寝ている状況でお金を盗んだ方が儲けがあると思うのですが。
「あの睡眠薬があってよかったっすね」
「そうもでないぞ。あの薬は即効性だか効果が薄いからな、本当ならもっと効果が高いのも使いたかった」
おお、ありがたい。この盗賊たちはまるで僕の心を読んでいるかのように知りたいこと話してくれます。
「この森は噂よりも安全なんすね」
「噂なんてそんなものさ。モンスターが大量に住むと言われるこの死の森で俺たちは暮らし始めてから一週間も経つが、一度もモンスターを見てないだろ。それが証拠さ」
盗賊たちはそんなことを言ってますが、僕の魔力探知にはかなりの数の生物が反応しています。
それに、このまま進むとおよそ300ぐらいの群れと遭遇しそうなんですが・・・。
正直何も知らずに楽しそうに会話をしている盗賊が羨ましいです。
「兄貴・・・。なんか空気が重くないですか」
「ああ、そんなもん気のせいだ。あともう少しで洞窟に着く。それまで我慢しろ」
せっかく、部下っぽい人が危険を教えてくれたのにそれを無視するとは本当にバカなんですね。
盗賊が言う洞窟らしきものはもうすぐそこにあります。今いる草むらを抜けたら到着です。
まあ、その洞窟はもう他の生物が占拠してますけどね。
「あ・・・兄貴・・・。大量のゴブリンす!このままじゃあ死んじまうすっよ」
「そんな馬鹿な。数時間前までは何もいなかったじゃねか!クソ、おい、ゴブリンが気づく前にそのガキを捨てて逃げるぞ」
ちょっと待ってください。人を拉致しといて危なくなったら捨てるって、流石にそれはひどくないですか。
「でも兄貴、せっかくの金づるが」
いいぞ、いいぞ部下っぽい人。そのまま僕も連れてってください。
「金より命だ。そんなガキがいたらあの大量のゴブリンからは逃げられね。そのガキを生贄にして逃げるんだよ」
そう言うと部下っぽい人から僕が入った袋を奪い取り、ゴブリンの方へ投げ込みました。
え・・・ちょ・・・待って最低限心の準備ぐらいさせてくださいよ。
僕は洞窟の目の前まで投げ飛ばされ、その勢いのまま地面に落下します。ゴブリンたちはいきなりのことに、動揺して動けないでいます。
これはチャンスです。しかしこのままではすぐに死んでしまいます。急いでどうにかしないといけません。
僕は急いで魔力を体を覆うように実体化させました。これで僕を囲むように四角い板が並びます。
これで一安心です。そう簡単にはこの魔力の箱は壊せません。
余裕ができたのでさっきの盗賊たちの肩から先と膝から下を魔力を実体化した剣で切り飛ばしました。
遠くから叫び声が聞こえますが無視です。盗賊なんかに慈悲はありません。
そんな盗賊のことよりも今の状況をどうにかする方が先決です。騒ぎを聞きつけたゴブリンたちが洞窟から出てきています。
さあ、どう対処しましょうか。