第1話 神様に会いました
昼休みが始まると黒斗は自分のスクールバックから10秒間で食べ終わるゼリーとカロリーの摂取に適した固形物を取り出して1分もかけずに昼ごはんを終えた。
ここのところ、バイト先での長時間の肉体労働が続いていたため、疲労を回復させるために休みの時間は寝ることにしていた黒斗は耳にヘッドホンを着けて周りの音を聞こえないようにしてから眠りについた。
黒斗が寝入ってから15分、突如床が光を発し始めた 。
「なんだよこれ」
「おい早くドアから出ろよ」
「動けねえぞ、どうなってんだよ」
「異世界召喚キターーー」
ヘッドホンを着けていた黒斗の耳にはクラスメイトの騒ぎ声は届かずただ眠り続けていた。
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黒斗が目を覚ますとそこには何もなかった。あるのは暗闇だけで、光は一切なく、前後左右を見回しても何も見えなかった。
「ここはどこだ?俺は死んだのか?」
「いやいや、君はまだ死んでないよ。君自身自分が死んだ記憶なんてないだろ」
黒斗にとって、何処かで聞いたことのあるような、聞いているだけで安心できるような声がどこからともなく聞こえてきた。
「どこから話しかけているんだ?」
「ああ、ごめんごめん、君は今何も見えてなかったんだよね」
その声が聞こえた後、今まで暗闇だけしかなかった空間に突如強い光が生じて、黒斗は思わず目も閉じた。
「いきなり何しやがる」
「大丈夫?いきなりごめんね。もう目を開けても問題ないよ」
ゆっくりと目を開けてみるとそこにはさっきまでの暗闇はなくなっていた。
「ここはリビングか?」
そこは誰が見ても満場一致でリビングだと答えるような場所だった。
黒斗が今いる場所の後方にはドアがあり、左側にはキッチン、前方には楕円形のテーブルとそれを囲むように置かれている三つの椅子、左側には人が3人ほど座れるソファーやテレビかあった。
黒斗はこの部屋を見た時、前に何処かでこの部屋に訪れたことがあるような気がした。
「ようこそ神界へ、神谷黒斗くん」
声のほうを見てみるとそこには20代ぐらいの男性がにこやかに椅子に座っていた。その男性の顔は、見た人が全員感嘆の声をあげてしまうほど、いっそ神々しさすら感じるほど整っていた。
「立ち話もなんだから、とりあえず座りなよ」
その男性が座っている椅子と向かい合わせの場所にある椅子が少し後ろに下がった。
「この椅子に座ればいいのか?」
男性が頷くのを見てから黒斗は椅子に座った。
「まずは、自己紹介でもしようか。僕は君たちの世界で言う異世界の創造神だよ。まあ、急に自分は神ですなんて言われてもそう簡単には信じれないとは思うけどさ」
「その創造神様が一体どのような理由で私をここに呼んだのでしょうか?」
「え・・・黒斗くん君はなんでそんなすぐに僕の話が信じれるの?それになんで急に敬語?
普通始めてあった人が自分は神ですなんて行っても信じれないと思うんだけど?それに僕は今まで君の人生を見守ってきたけどそう簡単に人を信じれないような生活を送っていたと思うんだけど?」
黒斗は創造神が何を言っているのかまるでわからないかのように首を傾げ、然も当たり前のように言った。
「そんなことないですよ。まあ確かに辛いと思う時はありましたが、そこまで苦しいと思う時はありませんでしたし結構幸せな人生だった思いますよ。
後あなたの話を信じたのは、今までの経験から大体相手が嘘を言ってるどうかわかるようになったからなんですよ。
それに、何も無い空間から突然光が現れて、場所がリビングなるなんてこと普通じゃあり得ないですから。それこそ神の仕業だって言われた方が納得できますよ」
創造神はその話を聞くと俯きながら涙を流していた。
「え・・・ちょ・・なんで泣いてるんですか」
「だってそんなの悲しすぎるじゃないか。
さっきも言ったとおり僕は君のことを見守ってたんだ。生まれてからずっと、それこそ君が幸せだと感じた時や、相手が嘘を言ってるかどうかわかるよになった時、君の心が砕けてしまった時なんかをね。
正直あんな目にあってあれが苦しくないとか、むしろ幸せだっただなんて言えるはずがないだよ、あんな目にあったらだれだって死んだ方がましだって思うはずなんだよ!」
黒斗は顔に笑顔を浮かべて慰めるように言った。
「そんなことないですよ、あれぐらいだれだって我慢できますよ。だって私ですら我慢できたんですから」
「だからそれがおかしいんだよ! そう思うこと自体が心が壊れてる証拠なんだよ」
「いや・・・流石に神様に面を並べてお前は精神異常者だって言われるの結構辛いのですが」
「あ・・・ごめんね。そんなつもりで行ったわけでは無いんだよ」
「そんなことはわかってますよ。ただの冗談です
まあとりあえず、話を戻しましょう。私はなぜここに呼ばれたのでしょうか?」
創造神は数回深呼吸をしてから俯くのをやめ、真剣な顔をしながら黒との顔を見た
「それは、君が異世界召喚に巻き込まれたからなんだ」