六日目その六・・・鍵紛失
リグルと幽々子が夕食を作ってくれたおかげで、幽香の看病に集中できてとても助かっている。後でちゃんとお礼しないとな。
幽々姉には、ご飯大量に作ってあげれば満足しそう。リグルにはどうしようか。
今、幽香は魔理沙と一緒にお風呂に入っている。流石に風呂まで一緒ってわけにはいかんだろう。入りたかったとか思ってないからな。
二人がお風呂から上がるのを待っていると電話が届いた。相手は、なぜか椛さん。ちょっと話したいことがあるそうです。まだ五時過ぎだし急いで行けばいいか。
リグル達に要件を伝えて走って椛さんが待っていると言う公園へと向かった。
公園に着くとベンチに一人座っている影が目に入った。後ろからこっそりと近づき、手で目を隠すように覆った。
「だぁれだ」
「さ、桜野くん?」
「せぇいかぁい!待ったか?」
犬耳のようにぴょこんと飛び出た髪をパタパタと動かすほど首を横に振って否定をした。
「い、いえ!それよりも急にお呼びしてしまって申し訳ございません」
「気にするな。何もやってなかったし、それでおれに話って?」
もじもじと恥ずかしそうにしているが、まさかさとりさんの時みたいな展開にならないよねぇ?それだけは勘弁してくださいよ、俺もいろいろと大変になってくるからさ。
「話と言うより、お願いになるんですが.........」
「お願い?」
「お、お恥ずかしながら........今晩泊めていただけないでしょうか........?」
「.............はぁぁ!?」
「私、一人暮らしをしてるんですけど鍵を失くしてしまって........」
なぜそれで俺の家に泊まらせてもらおうと言う意見になったのかを聞きたいんだが.............
「それで、連絡先を見たら桜野くんの名前が真っ先に目に入って.........」
「ああ.........なるほどね、とりあえずちょっと待ってくれ」
「は、はい」
俺はポケットから携帯を取り出して、家に電話をかけた。数秒呼び出し音が流れるとガチャっと電話が繋がった。
電話に出たのは幽香だった。
『もしもし?アルマ?』
「幽香か、いやなんでお前が電話に出てるんだよ、安静にしてろよ!」
『ご、ごめんなさい。それでどうかしたの?』
「実はーーーーーーー」
ことの顛末を幽香に話すと、かわいそうだから泊めてあげれば?と言っていたからそうすることにしよう。
それで、ゆゆ姉達にも伝えてもらえるように頼んだ。わかったと言って電話を切った。
「さて了解を得たから、いいよおれんちに来ても」
「い、いいんですか!」
「ああ、今日はちょっと大所帯だけどいいか?」
「と言うと?」
家への帰路を一緒に歩きながら説明をした。




