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 午後1時合田と沖矢は株式会社ライトクローバーを訪問する。被害者の藤原高明が所属している営業部に入ると、合田は営業部のフロアに集まっている会社員たちに聞いた。

「先ほどこの会社に勤める藤原高明が何者かに殺害された。なぜ彼は午前11時頃会社から出たのかをご存じの方はいるのか」

 すると営業部長の男が手を挙げた。

「営業部長として社員の営業予定を把握しています。今日彼はデスクワークを担当しています。今日彼は一件も営業に行きません。さらに言うなら、この会社の昼休みは正午からの一時間。つまり彼が勤務内の時間帯に外に出る動機がないということです」

「それでは誰も声を掛けなかったということか。勤務時間内に外に出ようとする藤原高明に」

「ええ。営業で使った経費を一階にある事務室で精算するために会社内の部署を行き来することもありますし、受け付けは営業の予定を把握していないから、素通りできますからね」

「次に犯行当時営業で外にいた会社員のリストを見せてほしい。もしかしたらその会社員の中に犯人がいるかもしれないからな」

「分かりました」


 営業部長はスーツのポケットからスケジュール帳を取り出し、1月24日のページを合田たちに見せた。そこには6人の名前が営業先と共に記されている。沖矢はそのページに書かれている内容をメモした。

 その刑事にポニーテールの女が声を掛けた。

「刑事さんにお伝えしないといけないことがあるのですが」

 女は集まった会社員の中から姿を現す。

「すみませんが、あなたは誰だ」

「私は藤原愛衣ふじわらあい。藤原高明の妻です。高明さんは誰かに呼び出されたのだと思います。その用件は明日の件についてでしょう」

「明日の件というのは」

「明日私と高明さんは豪華客船シャイワーカー号で行われる誕生日クルーズパーティーに出席する予定でした。参加者は私たちの幼馴染7人ですが、高明さんが亡くなったから7人です。その参加者6人の中に犯人がいるのではないでしょうか」

「6人ということはあなたも容疑者に含まれているということか」

「そうですね。こちらが明日のパーティーの参加者名簿です。よろしければ名簿を差し上げます。私は主人の名簿がありますので問題ありません。その6人の中に犯人がいると考えているなら、高明さんの招待状も差し上げます。警察関係者が一人乗船したら殺人事件が起こりにくくなるでしょう」

「そうか。ありがとう。招待状も受け取る」

 合田は藤原愛衣から名簿を受け取る。


 その後合田たちは株式会社ライトクローバーの前で藤原愛衣から受け取った名簿と犯行当時営業に行っていた会社員のリストを見比べる。しかしリストの名前と名簿の名前は一致しない。

「明日のパーティー参加者6人の中に犯人がいるということは、その6人に動機があるということか」

「その動機を藤原愛衣は隠しているのだよ」

「つまりその誕生日クルーズパーティーに今回の狙撃事件の動機が隠されているということか」


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