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 一人の女は渋谷の街でウインドショッピングを楽しんでいた。肩まで伸びた黒髪、身長160㎝。服装はこの渋谷で買ったブランド品。

 その女の名前は清原きよはらナギ。26歳。北条の部下として警視庁で鑑識の仕事をしている。

 

 この日彼女は非番だった。次のブランド店に向かおうと急いでいると、歩道の脇に鎮座している黒いローブ姿の人物が彼女に声を掛けた。

「そこのお嬢さん。お待ちなさい」

 その声を聞き清原ナギは立ち止まり、黒いローブ姿の人物がいる方向に振り向いた。

「私ですか」

「そうだ。お嬢さんだ。お嬢さんに不吉な物が振りかかろうとしている。でも大丈夫」

 その黒いローブ姿の人物は清原ナギに時計を差し出した。

「この時計を見につけておけば不幸を跳ね返すことができる。跳ね返した不幸と同等の幸運があなたの元に舞い込んでくる」

「詐欺でしょう」

 清原ナギは黒いローブ姿の人物をシド目で見つめる。

「詐欺ではない。人助けだ。私は通行人の中から不幸が襲いそうな人物に声を掛けて幸運を呼ぶ時計を無料でプレゼントする者」


 その時清原ナギは思い出した。初詣で引いたおみくじが大凶だったということを。この占い師らしき人物が言うことも一理あるのかもしれないと彼女は思った。運気が上がるためなら何でもする。というのが彼女のポリシーだ。

「分かった。その時計を貰おうかな」

「ありがとう」


 黒いローブ姿の占い師は彼女に時計を渡す。時計を受け取った彼女の後ろ姿を見ながら占い師はラグエルに電話した。

「渡しました」

『ありがとうございます。疑っていなかったでしょう』

「はい。さすが警視庁一の正直者」

『彼女しか利用できる警察関係者がいないと思いました。捜査一課と絡む鑑識なら捜査情報も入ってくるでしょう』

 占い師に変装したハニエルは電話を切る。その後で彼女はサマエルにメールを打った。

『作戦成功しました。電波を拾ってください』


 そのメールを受信したサマエルはノートパソコンを開き、盗聴電波を拾う。

 サマエルはイヤホンを装着し、盗聴した音声を聞いている。イヤホンからは清原ナギの声が流れる。

『優香。久しぶり。元気してた』

 それからイヤホンからガールズトークが流れた。聞きたくないガールズトークを聞かされサマエルはため息を吐く。

「つまらない」

 サマエルは組織が開発した盗聴ソフトを立ち上げる。そのソフトを使い盗聴音声を記録しておけば永久的に盗聴から得た情報を記録することができる。またパソコンをログアウトしたとしても、盗聴電波をソフトが拾うため、その場を離れても盗聴することができる。

 サマエルはそのソフトを立ち上げると、パソコンをログアウトした。


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