アセンション
まっさきに部室のあった場所向かった。
表札がない部屋。もぬけの殻。
あの軽音部はやはり存在していない。
「ザ・・」
瞬治「やあおはよう、今日早いね。」
英武「・・!」
瞬冶「でもあいにくうちの軽音部は
朝練なんてしないんだけどなぁ・・」
英武「・・・ここ軽音部なんですか!?
部員の女の子たちもいるんですか!?」
瞬冶「そのうち出てくるかもな」
英武「!? 」
瞬冶「君はバグだ」
英武「・・バ、バグってゲームとかのアレですか・・(汗)」
瞬冶「そう。バグ。
でも君と似たような存在は
だいたい100年に一度くらい恒例行事のように現れる。
世界をリセットに導く人間としてね。
リセットに関しては阻止しないんだ。
でも君はリセットさせる様子もなくひたすら世界に小刻みに変化を起こさせている。
そんなやつ過去のデータに存在しないわけで。
で、こんなでたらめな物語が延々と地球という母体のメモリに記録保存されててね。
でも一応100年に一度の存在にはかわりはなく、
俺は君をバグではなく、もしかしたら素晴らしい物語が生まれる可能性をもつ
ビッグイベントだと前向きに捉えてる(笑)
俺の使命はよりすばらしい物語を描くこと。
だから異端者はめんどくさいから消すような向上性の無い仕事は許されない・・
エラーでも"面白い形"は有効利用する。
俺の職業はアーティストですから(笑)
君はエラー因子とはいえ、これだけの世界影響力をもつのだから
教育次第では俺たち自然意思には考えつかないほどの
すばらしい物語を描くことができるかもしれないと期待している(笑)
まあでも俺が教育でもしなければ延々と世界にでたらめな痕跡を残しつづけそうだからね・・。
なにせ、君は無気力無関心無感動でろくに本も読まないし勉強もしないような奴。
だから世界をこんなふうに導いちゃってるわけで(苦笑)
ちなみにこの君がおかしいと感じてる世界の現状ってね、
君以外のこの世界にすむほとんどの人間や動物は誰も気付いてない。
気付いている奴はいるとしても大体俺ら側の人間だから、世界に影響やエラーを与える
ほどの力は持っていない。
普通の人間は世界が変わってることに気付く人間はいない。
なぜならば、世界に変更が起きるごとに
記憶ごと変更されているから。
ようするに君がこの世界に違和感を感じているということは、
この世界に"塗り替え"が起きても、君の記憶だけは塗り替えられてないということなんだよ。
君が塗り替えの原因だから当然だね。」
英武「・・ちょっと難しくて意味が・・」
瞬冶「難しいな。何が起きたかの説明を記した紙をあとであげよう。
ここでゆっくり読んで理解しようか。」
英武「・・まあそれがすべて事実として、
これからどうしろと・・あとあんた、人間じゃないんですか?
国家公務員のうよなセレブそうな立場の人ということはわかったが・・(汗)」
瞬冶「俺も100年に一度の存在として人間として産まれたのさ。超過去形だけどな。
100年に一度の存在とはいえ、普通なら寿命とかで生涯を終えるんだけど
俺は芸術家で長い間色々と苦行してたんだ。そしたらこのポジションに行き着ついた。
ある答えを見つけたのがきっかけだろうね。
たぶん俺が昔、色々なモノを勉強したり、色んな人たちと接して
大切なことに気付く機会がなかったなら、
きっととっくに記憶もリセットされて振り出しにもどってたろうな・・。
ちなみにこうやって自由の立場を維持するには
俺は世界を管理していかねばならないんだ。
一度適当にのんびり過ごしてたら、意識が遠のきそうになったから(笑)
悦楽ばかりの体験生活をくりかえして何もしない奴はリセットされる。たぶん(苦笑)」
英武「・・ようするに、神サマという立場ですか?」
瞬冶「普通の人間や動物たちにすればそういうこととなるだろうな・・
でも俺も大きな役目があってこんな存在になってるのかもしれないし、
それが終わればどうなるかは自分でもわからんよ。
もしかしたらいずれ、無知な人間として振り出し人生にもどる日が来るかもしれない。
だから永遠に神様でいられる絶対の確信を持ってて世界について限界まで説明が出来る
ような者こそが本当の神様であり・・
もしかしたらそんな本当の神様なんてどこにもいないかもしれないな・・んー。」
英武「・・ロマンチックですね(汗) で、何をすればこの妙な世界が安定するんでしょうか・・(汗)」
瞬冶「俺が指示したとおりに体を動かせばハッピーエンドとかそういう話ではないだろうな・・。
最終的には・・
・・とりあえず、君が真心をもって歌うんだよあの歌を。」
英武「あの女ボーカルのオタクソングをですか・・でも結構覚えましたよ頑張って。
歌詞カードとかCD消えちゃったけど、まだ歌えるし(笑)」
瞬冶「そうか、ちょっと安心した。。覚えてなかったらどうしようかと思ってたんだ(汗)
なんとなくあれを歌えばいいと思うんだよ・・なんとなく。アレは本当にいい曲だった。
あんなに平和をイメージさせる歌詞と曲調はなかなかない・・。
でも、なんというか、英武はそのテンションがダメだ。
後ろ向き・・というかテンションが冷めてるというか・・人任せというか・・
そろそろカリスマとしての自覚が必要じゃないか?」
英武「か・・カリスマ(汗) 俺が? アハハハ(汗汗) でも・・なんかよくわかんないけど
実際変なこと起きてるし、、・・・そうなんだろうな~。。」
瞬冶「そうだ! 自信というか自覚を持て、君が世界を引っ張り面倒を見る立場になってね!
君は政府や大統領をもひっぱっていくんだから(汗) ようするに、、君が
"道しるべ"なだからッッ」
英武「それ・・なんか、昔、、夜の怖いアニメで見たよ・・そんなやつ(汗)」
瞬冶「とりあえずちょっと今からジャズ部に行ってギターとマイクとアンプ借りてきて、
あの曲をここで全力で歌ってくれ」
英武「俺ギター弾けないんだけど・・」
瞬冶「俺が弾く。そんくらい弾けるよ、何年生きてると思ってんだよ。ギターが開発される前から
生きてるんだぞ(笑)
英武「・・マジですか(汗)、・・で、じゃあはやくギターとか借りてきてくださいよ・・」
瞬冶「あのな・・、だから、、そのノリがダメなんだって!!!!(怒)」
英武「ちょ・・・俺が借りにいくんですか(汗)」
瞬冶「あたりまえだろ!! ただ俺がやれっつったことをやればいいってわけじゃない!
そういう率先的な姿勢が重要なんじゃないかぁぁぁ!!
んんん・・これは返事とか挨拶とか声だしからはじめたほうがいいかもな・・
でもそんなことやってたらまた世界がどんどん切り替わってしまってどんな風になるか
わかんねーし、、とりあえず歌だ。歌を歌うんだ・・はやく行け!!」
英武「って・・そんな、貸してくれますかね? 」
瞬冶「ポジティブな人間を目指す人間が
そんな余計なこと考える必要ない!!」
英武「は・・はあ・・(汗)とりあえず行ってきますわ・・
(ま、まあこんだけ既に世界が異様なんだから、
たしかにそんな常識的な細かい心配とかいらない気もしてきたな・・)」