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森を走り回るのは危ないです

新年になって初めての投稿、進歩してません



「この森、魔物出る……出口はあっち」

「ね、ねぇ翔。この人ってまさか、あの矢の……?」

「……」


優姫の言葉を受け、翔識は目の前の女を見た。

鍬は持っているが弓を持っている風には見えなかった…だがアンリは炎を出したり壁を張ったりしていた。弓も何かしらの力で作れるかもしれない。


「矢……?」

「悪いが出口に用はねぇ、テメェもせいぜい気をつけて帰るこったな……行くぞ」


そう女に言ってから、その横を通り抜けて再び森の奥へと走っていく。

女……蒼姫(あき)はそんな少年少女の様子に首を傾げた。


ー……あの二人、誰……?

ー……矢……。


二人が来たと思われる方角を見ると、木に矢が突き刺さっているのが見えた。

それに近寄ると、矢にくくりつけられたリボンに文字が書いてある事に気付く。


「"これより先に行く者、命捨て去る者なり"……」


矢を木から抜き、書かれていた文字を見て蒼姫(あき)は目を細める。

そして自分が来た方向……二人が向かった先を見て走り出した。





† † † †





「どうしたんですかぁ《龍胆(りんどう)》さん!!大分私に押されてる感じがしますよぉ!!」

「うるさいわ……よっ!!」


相手のナイフを弾いて、素早く蹴りを繰り出す。

男はそれを軽く後ろに避けた後、その足を掴んで投げ、アンリを地面に叩きつけた。

衝撃で一瞬呼吸が止まったが、男が向かってくるのを見て立ち上がり、ナイフを短剣で防ぐ。


「貴方、本当に《猿夢(えんむ)》さんを倒したんですか?それにしては弱いというか、雑魚?」

「あら、女の子はか弱い生き物よ?」

「……それとも、森に逃げた彼等の事が気になりますか」


お互いに間合いを開き、アンリが睨むなか男は口を動かし続ける。


「それならご安心ください。私の仲間が丁重におもてなししているでしょうから」

「!仲間!?」

「誰がいつ、一人で来たと言いました?アホですか?あぁでも、死ねばアホって治るんでしたっけ?なら大丈夫ですかねぇ」


男の言葉を受け、目を離さずに思考するアンリ。

つまり今、もう一人が彼等を狙っているということになる。彼等にその者を対処できる力があるとは到底思えない。


ー……早く倒して追わないと、駄目ね。

ーけど、この男強いのよね……


完全にこちらが押され、攻撃する暇が殆ど無い。

せめてスコップがあれば、棍の代わりとして振り回せたのに……先程の目の前の男が起こした爆発、一生許さない許してたまるか。

何か使えそうなものはないかと服のポケットを漁り……あるものに指先が触れた。


「あ、これ……」

「何を余所見してんだクソ女ァ!!」

「!!」


再び間合いを詰めてきた男の攻撃を避け、短剣を構える。

今思い付いた方法をするならば、ある程度の隙とーーー時間が必要だった。

らしくもないが願うなら、自分が行く前に彼等が捕らわれないとこを祈るしかなかった。






タンタンタンッ!!!……リズムよく木に突き刺さる矢を避けながら、青い顔をしている優姫を抱えて翔識は走る。


「し、翔!!重いからお、下ろして!!それに走りずらいでしょ!?」

「うるせぇ!!黙ってねぇと舌噛ませるぞ!!」

「噛ませるの!?確かに噛みたくないけど噛ませるなんて初めて聞……ひゃっ!?」


横切った木に矢が刺さり、悲鳴を上げたかと思えば固まり、震える手で口を覆う優姫……案の定噛んだらしい。

それに舌打ちをしかかってーーー自分が今横切ろうとした木に矢が突き刺さり、無理矢理足に力をかけて止まる。

矢を見て、それから向かおうとしていた方向を見て……目を見開く。


「ど、どうしたのしょ……っ!!」


涙目になっている優姫が不思議に思ったのか、正面へと視線を向けて……小さく悲鳴を上げる。

森の奥から、目をギラつかせながらこちらへと黒い毛並みの狼が向かってきていた。

あれが、アンリの言っていた魔物なのだろうか。だとすると前には魔物、横からは矢の攻撃、後ろは戦闘中……逃げ場は無いに等しい。


そして策を考える暇もなく、狼は一気に此方へと駆け出してーーー自分達を通り過ぎた。


「ん……よく噛んで、食べる……」

「……ん?へっ?」


後ろを振り返る。

そこには先程すれ違った鍬を持った不審人物がいて、狼に漫画に出てきそうな骨の付いた……鶏肉だろうか?を与えていた。

……暫くして女は狼の頭を撫でながらこちらを見る。


「……友達。農場の害獣避け、手伝ってもらってる」

「テメー……」

「矢、追ってきた……この先、本当に危ない……」


同時、女の目の前を矢が通り過ぎ、横に生えていた木に刺さった。

優姫が顔を再び青くしたが女は無表情で矢を見て、それから矢が飛んできた方を確認し今度は横を見て木の幹を撫で……鍬を手に取った。


「樹木、傷はダメ……病気になる、かも。なのに……傷、付けた」


自分達の前に立ち、バトンを回すように鍬を回す女。

とーーー鍬の刃が発光した。


「《深耕》」


鍬が地面に突き刺さった瞬間……女の前方の土が一気に盛り上がった。

その余波なのか地面が揺れ、木が大きく揺れて鳥が飛び立っていく。

表現は大袈裟だと思うが、女は遠くの地面まで一気に耕したのだ。

とーーー奥の方から「いてぇ!!」という声が聞こえてきた。


「あれ、何か聞こえた!?」

「……ここで待つ、動かない」


返答に答える前に、声のした方へ走り去る女。

残されたのは、自分達二人と狼。


「……し、翔……私、全く状況が分かんない……!」

「……ハァ、あと少ししたら説明してやる」


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