花は生活に潤いを与える
花祭り編最終話&祭り更新終了
これからリアルが忙しくなるのでまた不定期になるかもしれませんが、見捨てないでやって下さい
花祭りが行われる中、アンリは人混みを避けつつ城門の方へと向かっていた。
ランは朝起きたらいなかったので、恐らく墓参りに向かったのだろう。
ー…律儀よねぇ、思い出もないのに。
ー……あるのに行かない私も考え物だけれど。
「あ、アンリさんじゃないか」
「……!」
後ろから声をかけられ、振り返るアンリ。
そこには白いシャツを羽織ったキルトの姿があった。首都では流石に何か着るらしい。
「あら、ミライちゃんをデートに誘った獣人様じゃない」
「デートなんてものじゃないよ。それはともかくその場から三歩後ろに下がってくれるかい?」
「……」
キルトに言われたとおりに三歩、人に気をつけながら下がるアンリ。
下がった直後、先程まで立っていた場所に上から皿が落下してきて、地面に落ちて割れた。
上を見上げれば、すぐ横の建物の二階で夫婦が喧嘩していた……下に迷惑をかけずに喧嘩しろ。
「危なかったね、今からクリスタに帰るのかい?」
「そういう貴方は何処に行くの?」
「知人に呼ばれてね」
つまり、再び旅に出ると言うことらしい。
ここ数年会っていなかったので、少し話していたい気もするが…キルトはいまいち感情が読めないので少しだけ苦手だ。
そう考えていてふと、キルトの視線に気付いた。
「あら、どうしたの?そんな熱い視線を向けてくるなんて……恋?」
「僕は面倒見がいがある子がタイプなんだ」
「逆に貴方が見られる立場だと思うけれど。特に住所と計算系」
だが良いことを知った、後でセッカに今の発言を話してネタにしよう。
「アンリさん、蛇には気をつけて」
「……いきなりなんなのよ……蛇?」
「あと……これは僕の勝手なお願いなんだけど、ミライさんの事を宜しく」
そう謎の言葉をアンリに言ったかと思うと、アンリの横を通りキルトは人混みの中に混じって姿が消えた。
それを見つつ、首を傾げるアンリ。
ー……占い師って、偶に変なこと唐突に言ってくるわよねぇ。
ー……蛇、か。
「要するに咬まれなければいいのよ。抗体なら前に趣味で何種類か作ったことあるし……けどまぁ、有り難く助言は貰っておこうかしら」
「姉さん!」
ふと、今度はランが人混みの中から出てきてアンリに駆け寄ってくる。
「おはよう姉さん、誰と話してたの?」
「ミライちゃんがお気に入りの獣人様」
「あぁ、キルトさんか……」
横に並び、歩き出す。
「何というか……祭りらしいことをしないで終わっちゃったね……」
「元々、新品種登録協議会自体が祭りらしくないもの。そう思うのは仕方ないわ」
「んー……アリスさん達にお土産買った方が良いかな?」
「変な気使わなくても、そんな物チェリちゃん達が買ってるわよ」
そう答えると、何故か笑うラン。
それを見てつい怪訝そうに目を細めると、気付いたようで慌てていた。
「あっ……ご、ごめん姉さん!別に今の言葉に笑った訳じゃなくて!」
「じゃあ何で急に笑ったのよ」
「え、えっと……楽しいなぁ、って」
苦笑いを浮かべながらそう言ったラン。
それを見てアンリも笑い……一気に走り出した。
「えぇーーーっ!?」
「おっさんの所に先に着いた方は後から来た方にアイス奢りよ!」
「それ結局姉さんしか食べないよね!?一寸待ってよ、姉さん!」
† † † †
管のような物が部屋一面に張り巡らされ小さな部屋。
門を象ったような無機物を見て、ユーグレナは笑った。
「クダちん、準備OK~?」
「問題ありません」
エヴァに笑いかけ、再びソレを見る。
その目は好奇心と期待と、達成感に満ちていた。
「じゃあ……境界転移魔法陣、起動!!」
次回、接触編スタート




