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人の良さは一つの行動でよく分かる

あと3、4話で花祭り編は終わりの予定です

そもそも花が余り出てこなかったっていry

やってやった感を醸し出しているアンリを見て、ランは口を開いた。


「姉さん、セリアさんの事どうするの?」

「どうするって?」

「助けたらだよ。最初はハッタリかなって思ったけど、姉さんあれは本気で言ってたみたいだし……何させる気?」

「‥…この子ったら、いやねぇ全く」


足を止め、ランを振り返り見る。


「私がセリちゃんに穴掘って中に入れとか、木を倒して棺作れとか、そんな事言うと思う?」

「今その言葉が口から出てきた時点でセリアさんは逃げた方が良いと思った」

「冗談に決まってるでしょう?そんな事言ったら、あの子進んでやっちゃうじゃない」


姉の言葉に、ランは少しだけ納得してしまった。

少なくとも変なことはしないらしい……しないことを願っている。

そうランが考えているのを知ってか知らずか、恐らく知っていると思うがアンリは続ける。


「大丈夫よ。私、これでも友達は大切にするタイプだから」

「姉さん………ならセストは?」

「あれはからかうと面白いから論外」


…深くランに溜息を吐かれた。

それを見て笑い、再び歩き出そうと体を回転させて‥……肩を掴まれた。

一瞬思考が停止するが、掴んできた人物を見て目を細める。


「あらヤダ、貴女少し肥ったんじゃない?胸のサイズあってるの?」

「‥……おばさま、私が言えた義理じゃないけれど流石に失礼よ」

「え、え!?」


ランは急に出てきた婦人を見て目を白黒させている。

薄い金髪を纏め上げた女性で、ドレスのラインがとても綺麗だ。飾り気は少ないがドレスには細かい刺繍がしてあり、純潔さを感じられた。

その婦人は今、アンリの肩や胸や二の腕を触りまくっている。


ーチ……チェリナの仲間……!?

「ふぅ……ラン、紹介するわね」


婦人の手を取りつつ、アンリはランを見た。


「この方はフロール・デュトロン婦人。セリちゃんのお母様で、貴女には一生縁がないあろう大手ドレスメーカーの会長よ」

「イヤねぇ婦人だなんて、気軽にフローおばさまって、呼んでちょうだい」

「えぇ!?セリアさんのお母さん!?」


紹介され、もう一度婦人を見るラン。

どう見ても30代から20代前半の見た目だ。しかも、ランが想像していた婦人像と真逆の性格をしているようにも伺える。


「この子がランちゃんね。可愛いわねぇお母様そっくり!」

「え、えっと……」

「ちょっと待って、スケッチするから」


そう言うと、ドレスのどの部分から出したか分からないがメモとペンを取りだし、ランを模写しだす婦人。

ランがアンリの方を見ると、珍しく苦笑していた。


「画商の娘さんだったらしいわよ?」

「もう30年も昔の話よ~」

「30年!?って、あれ、ん……ん!?」


何かに気付いて悩み始めたランは放っておき、模写が終了したらしい婦人を見る。


「おばさま、今日お仕事は?」

「今さっき終わって帰ってきたら、貴女がセスに喧嘩売りに来たって聞いたのよ。相変わらず元気ねぇアンリちゃん」

「セリちゃんの部屋の入口にワイヤートラップを仕掛けてた日々が懐かしいわぁ」

「姉さん、後でセリアさんに対して謝罪文書こうか」


今の姉の性格形成の大半の部分は婦人の影響なのかもしれない。頭を抱えそうになりながらランはそう思った。

だが、聞いたとしても何故待ち伏せのような事をしていたのだろうか。


「アンリちゃんに渡したい物があったのよ。はいコレ」


アンリの掌に、中指ほどの長さの鍵を置くフロール。


「セリアが入っている牢の鍵よ。使ってちょうだい」

「‥………え」


流石のアンリも、固まった。

硬直化した姉妹を見て、口元に手を添えて小さく笑う婦人。


「ふふっ、驚いた?若い子が驚くときの顔って可愛いわよねぇ」

「お、おばさま何で………」


表情を崩したアンリを見て、その頭に手を置く婦人。

その頭を何度か軽く撫でながら、婦人は言った。


「私にとっては、貴女も大切な娘ですもの。娘の我儘にはある程度付き合ってあげなきゃ……後はセスの悔しがる顔が見たいから?」

「婦人、疑問系で言ってましたけど絶対後者が本音ですよね!?」

「あの人も偶には家庭のことも考えないと。私だからいいものを…他の人だったら逃げてるのに。牢はヨルジュに案内させるから安心してちょうだい」


今度はランの頭も撫で、近くにあったらしく自身の部屋に戻っていく婦人。

それを呆然として見送り、掌の鍵を見つめるアンリ。


「……ヨルジュって誰かしら」

「それ鍵見ながら言うこと?」





先程部屋から出ていった執事の名前がヨルジュだったらしく、快くセリアの居る地下の牢まで案内してくれた。

主と婦人の命令に対する態度がここまで違うと、ゼルセスの人望の薄さがよくわかった。

石畳のジメジメした牢内を歩き、足を止めるアンリ。


「セリちゃん」

「………ッ!?アンリ様ッ!!」


中には、牢の隅に座り込んでいるセリアの姿があった。

アンリの姿を黙認したと同時、セリアは床に手をつき頭を深々と下げた…要するに、土下座した。


「申し訳ございません……!!アンリ様に手を上げてしまい、私ッ……!」

「セリアさんは悪くないよ。悪いのはセリアさんの姉さんに対する…何て言うんだろ、忠誠心?を利用した奴等」

「それでも手を下したのは私です、何なりと処罰を……!!」


一向に顔を上げる素振りを見せないセリアを見て、アンリは小さく溜息を吐く。

そしてしゃがみ込み、セリアに笑いかけた。


「お馬鹿、そもそも怒ってなんかないわよ」

「え……」


音が出そうな速さで顔を上げるセリア。


「貴女を怒らせてるのはいつも私。貴女が怒ったところでそれは正しい事なのだから、謝る必要なんて何一つとしてないわ」

「アンリ様……」

「でもそうねぇ……そんなに処罰を求めるドMさんなら……」

「姉さん今の発言で全部台無しだよ」


ランのツッコミは右から左へと受け流し、セリアの手を取る。

肉刺だらけの手を握りしめて、笑った。


「私と一緒にご飯食べに行きましょ?勿論セリちゃんの奢りで」

「!は……はい!喜んで!」

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