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こんな時こそ冷静な対応で

後少しで一周年ですね

シンデレラパロとかやってみたいけどテストあるから無理やな

チェリナは困っていた、アンリの姿で珍しく困っていた。

チェリナは脳が常に晴天のような性格だ、だがそんな彼女でも、頭の良さそうな学者達から皮肉を込められた同情をかけられれば困ってしまうのだ。


ー…頭の良い人達の集まりって、怖いなぁ…

ー……うぅ、何でこうなったんだろ?


最初はアンリの姿をしたランでその場を適当に納めて逃げるつもりだった。

だが、他の出品予定の花の安全を守るため、協議会をいきなり始めることになり、アンリ……中身はチェリナだが、形だけという名目で半ば強制的に会場に連れてこられ、興味もない協議会を傍観しているのだ。


ーはぁ……セッカがいっぱい居るよぅ

「‥…‥…帰りたいなぁ」

「ちょっと!!ここから先は関係者以外立ち入り禁止です!!」


ふと、出入り口の方から研究員の慌てたような声が聞こえていた。

そちらへと視線を向ければ、誰かが侵入してきたらしい。


「あぁ!?関係者?十分条件満たしてんだろ!」

「‥…‥…ほぇ!?」


物凄く聞き覚えのある声が聞こえてきて、つい口から声が漏れた。

そして…サングラスをかけた柄の悪そうな男が入ってきた。


「えぇえ!?六!?」

「っ離せやこのド畜生が!!」


自分を体全体で止めている研究員の旋毛に肘鉄をお見舞いして沈めるその姿は、本物のマフィアのようだった……指名手配されないだろうか。

六はチェリナに近付き、目を細めて大袈裟に溜息を吐いた。


「マジか、お前チェリナかよ‥…騙されるところだったぜ」

「六どうしたの!?いくら儲からないからって泥棒は駄目だむぎゅう!」

「儲かっとるわ」


チェリナの頬を左右に引っ張る六。

これを見て誰が思うだろうか。いくらアンリの見た目と言えど、実はチェリナの方が年上だということに。


「セッカに言われてきたんだよ。おめーを今すぐ自分のいる場所に飛ばせろってな」

「セッカの所に?けど、協議会はどうするの?」

「別にアンリが怒られるだけだし、抜けたって良いだろ」

「そっか!それもそだね」


手を叩き、光が弾けて元の姿になるチェリナ。

手に箒を出現させて六を見た。


「ありがと六!指名手配されない内に逃げた方が良いよ!」

「縁起でもねぇこと言うなよ‥…」


そんなこんなで、チェリナは遂に会場からの脱出に成功したのだった。





†  †  †  †





残り時間五分、その時点で会場の方角から飛んでくる影が見えた。

箒に乗ったチェリナで、一同に気付いたらしく手を振ってきた……振る暇があるならさっさと来い、が全員の意見だったが。


「皆お待たせ……うぇぇ!?セストとアストがいる!?幻影!?」

「どう見ても生身の人間だっての!別にそんな事どうでも良いからそっち見ろ!」

「へ……って銃!?デカッ、えぇなんで!?」

「チェリナ、落ち着いて肩から手離して」


ランの肩を掴み揺らすチェリナ。

流石に動揺しているようだ。何せ銃口が向けられている方角が先程まで居た会場がある方だ、仕方ない。


「誰!?誰がやったの危ないよこんな事したら!」

「‥…‥…おい」

「あっまさかセッカ!?駄目だよ危ないからやめなのぶぼっ!!」


苛々したらしいセッカが、銃でチェリナの頭を殴った。

頭を抱えるチェリナを冷ややかな目で見つめるセッカの背後には鬼が居た。


「呼んでるのが分からないのか?空気読めアホ魔女」

「チェリちゃん、今すぐこの銃を森とか、川の中とか、そこら辺に転移魔法で飛ばしてくれるかしら?」

「‥…えっ」


顔を上げてアンリを見るチェリナ。


「今すぐ?」

「えぇ、今すぐに」

「でも、今すぐだと一部分しか飛ばせないよ?」


‥…‥…‥…‥…チェリナの言葉に、空気が凍り付いた。

建物の下は祭りで賑わっているというのに‥…その場だけ見事に凍り付いた。


「え……えぇーーーーっ!?ね、姉さん初っ端から大変なことになってるよ!?」

「こうなったら‥…セス君が犠牲になるしかないわねぇ」

「諦めんの早ッ!?つーかお前はどんだけ俺を犠牲にしたいんだよっ」

「……あと三分しかないぞ」


焦っているのに神月かつきの冷静な声で更に場は焦る。


「チェリナ、今すぐに飛ばせ。どの部位でも良いから今すぐに飛ばせ」

「待てセッカ。どの部位でもなんて言って、銃に詳しくないチェリナがランヤードリングとか関係のない物を飛ばしたらどうするつもりだ。的確に指示しないと弾は発射されるぞ……ちゃんと説明してやったらどうだ」

「………なら、そこまで言うなら貴様が指示すればいいだろう」


二人の額に血管が浮き出た、ように見えた。

人一人分ほどの間に火花が散り始め、後どちらかが一言発せば銃や砲を構え出すのではないかと思うほどに、お互いから敵意が溢れ出ていた。

それこそ、喧嘩なんてしている場合ではないのだが。


「あぁもう!二人とも喧嘩しないでよ、それ所じゃないでしょ!?」

「えっと、結局どこ飛ばせばいいの!?」

「ちょっと待ってろ……って、もうそんな時間ねぇ!?」


魔法の火は、ロープの限界まで着々と進んでいた。


「この際どこでも良いわ、銃を撃つときによく使う部位を飛ばして!他の皆はランを縛ってたロープでセス君を縛るのよ!」

「おいこら、ちょっと待て!結局俺!?俺なの!?」

「アンリ、銃口に直接縛り付けるか?」

「アストォーーーーーッ!?」

「冗談だ」


無表情で言われても困る、と言いたくなったセストだった。

そんな事より、残り時間は一分をきる。


「チェリちゃん、早く!!」

「おいアンリ!俺を銃口の前まで動かそうとするな!」

「え、えっと……せ、セストごめーーん!」


謝りながらもチェリナは銃の真上に魔法陣をを展開しーーーカチャン、と音が小さくなった。

セストを銃口の前に無理やり固定させつつ、アンリは銃を見る。

カチャン、カチャン……空しく音だけが響いていた……それもそうだろう。


「‥…‥…引き金を飛ばしたのね、貴女」

「えへへ、そこしか思い付かなくて‥…」

「‥…‥…口出しするべき事じゃないと思ったが」


神月かつきを見る一同。


「火が起動装置なら、火をロープと一緒に飛ばせば良かったんじゃないのか」

「‥…‥…」


誰も、答えなかった。

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