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踏んで良い物と悪い物ははっきり区別できる

これ書くのに四回ぐらい寝落ちしました

笑ったまま気絶したらしいコロナのつむじを指先でつつき、狸寝入りではない事を確認してアンリはコロナを背負った。


「重い…力仕事はランに任せてるのに、鍛えた方が良いかしら……」


働く気はないし商売する気もあまりないが腐っても薬剤師、医学を心得ているせいか見殺しには出来なかった。

火傷が酷いが命に別状はないはずだ。それにコロナには組織について色々と話してもらいたかったのもある。

そして外を出て……足を止めた。


「……随分と奇抜な格好してるのね、貴方」

「やはり《猿夢えんむ》さんは負けてしまいましたか、残念です」


艶のある長い黒髪の、目を覆うように何故かバイザーを装着している車椅子の女性がそこにいた。

軽くアンリが身構えると、小さく笑う女。


「私は危害は加えません。というかご覧の通り分かるとは思いますが加えられません。それに私は頭脳派なんです、《龍胆りんどう》さんが本気を出せば私なんか一撃で死にます」

「じゃあ何でそこで私が出てくるのを待っていたのかしら?貴方がさっきこの子の言っていた《くだん》ちゃんなのでしょう?」

「はい。申し遅れましたが私、エヴァ・シャロレーと申します。先程の質問に答えるとすれば返答は二つ可能です」

「……」


警戒を解かないアンリの前まで車椅子を動かすエヴァ。

そして気絶しているコロナを指差した。


「一つ目は彼は私とコンビを組んでいること。相方を待つのは当然のことかと」

「……………」

「二つ目はどちらかが出てきた際にあることを伝えるためです。《龍胆りんどう》さんが出てきたので貴方に話したいと思います」

「あること?」

「私達についてです。推理小説のヒントと思ってくださって結構ですよ」


アンリが目を細めるのを見て、エヴァは笑った……気がした。

何せバイザーで目元が見えないのだ。目で人の印象はがらりと変わると言うが、意外に本当なのかもしれない。


「私達は基本的に二人一組で行動しています。単独行動をしている方もいらっしゃいますが、目的は共通しているので文句を言う方はいませんね」

「あぁ……」


ユーグレナとあの気が狂っていそうな青年を思いだし、納得する。

ある程度の自由は許されるが規則は守れ……まるで学校のようだ。


「《龍胆りんどう》さん、私達の主は貴方のことを高く評価しています。知識にしても能力スキルにしても……私達の元に来る気はございませんか?」


エヴァの言葉に少し目を見開いて、それからアンリは笑った。

背負っていたコロナを少々乱暴にエヴァの膝の上に乗せ、口を開く。


「実を言うと少しだけ興味あるのよ、異世界に対しては」

「……なら」

「けど私の居場所は此処にしかないのよ。妹と二人特に儲かってない店経営して、赤い屋根のギルドで集まって働いて、馬鹿だけど正直者が集まってるあの町が私の居場所……だから異世界に憧れるとか行きたいとか、馬鹿馬鹿しく思えるわ」


そしてエヴァに背を向けて、城を目指して歩き出した。

早くラン達と合流しなければならない、今の状況では何が起こってもおかしくないのだ。

とーーー


「此処から先は《猿夢えんむ》さんをわざわざ連れてきてくれたお礼としてお伝えします。私を含める魔術が使える人にしか知らされていない事です」

「……律儀ね。それで?」

「異世界とここを繋ぐゲート自体、既に完成しています。後は実験をして最終調整が終われば完成する所です」


その言葉に目を見開き、後ろを振り返るアンリ。

がーーー突然足下に魔法陣が出現し、発光した。


「今度、実際に異世界からある人物をこちらに呼び寄せます……成功する確率は高いとも低いとも言えませんが。貴方の耳に入れておいてください」

「この魔法陣ッ……転移魔法の………!?」

「プレゼントを楽しみにしていてください、《龍胆りんどう》さん」


そう言われたとほぼ同時に、アンリの視界が大きく揺れた。

そして目を開くと、またどこかの屋上だった。先程との違いは前方にラン達がいることだが。

ひとまずエヴァの言葉は脳の片隅に追いやり、息を吐く。


「全く……酷い目に遭ったわ。待たせちゃったかしら……ラン!」


そこで声を上げたアンリへとラン達が振り返り…急に焦ったような表情になった。


「!!馬鹿女止まれ!!」

「は?」


セッカの言葉に首を傾げて体を固くしたが、時既に遅しという言葉がピッタリだった。

簡単に言うと足を踏み出してしまい、何かが足下で発光して近くのロープに炎が着火した。

そのロープ先はラン達が囲んでいた物に繋がっていて………魔法陣が展開した。

……その場が静まり返る。


「どアホォォォォオッッ!!アンリてめぇ何しとんじゃーーーっ!!」

「何したってセス君、状況すら分かってないのに答えられるわけないでしょう。これは?」


ラン達が囲んで見ていた物をアンリも見て、目を細めた。

タイマーがつけられた複雑な仕組みの銃だった。アンリが踏みつけたのはそれの起動装置で、あの火は魔法によるものなので消すことは不可能。

単純に言おうーーーやってしまった。


「……てへっ」

「姉さんゴメン可愛くも何ともない」



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