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私のために毎朝スープを作ってください

この世界の人間ではない、学者達の反論を買いそうな言葉だ。

まず現実味を帯びていない、そこがポイントとなるだろうか。


ー……そもそも。

「おっさん、それが本当だとしても何でそれを知ってるのよ」

「そいつと暫く旅をしたことあるからな。てか、結婚した」


……重い沈黙が部屋を包み込んだ。

セストとアストリッドでさえも目を開いて固まっていて、セッカや神月かつきに至ってはこいつ頭大丈夫かと目で語っていた。

そんな一同の反応に気付いたのか、あぁ……となるジークリド。


「そん時の知り合いの結婚式で、色々あって身代わり結婚だがな」

「紛らわしいわ!!最初からそう言えよ!!」

「最近はミニスカのドレス流行ってんだろ?それ、例の異国の人間様が考えたんだよ。重いドレスが着たくない人用にって」


そうジークリドはしみじみとした感じで言う。

この件は後回しにした方が良いらしい。こういった話し方の場合は大方長話へとシフトする。


「そんな昔の惚気なんかより」

「なんかより!?」

「アス君とセス君が何でこんな山奥にいるのよ。ずっと気になってたわ」

「おう……というか、お前等何、自分で話したくないのか?」


そこでジークリドの視線はセストとアストリッドへと向いた。

アストリッドは視線を宙に浮かし、セストは溜息を吐いていた。


「……ハァ、おいアンリ、セッカ。お前等は俺達のことどう思ってる」

「馬鹿」

「ケセラセラ」

「おもっくそ馬鹿にしやがって!!特にセッカ、俺等が行き当たりばったりな人生送ってるって言いてぇのか!!」

「すぐマイナスの方向に考えるんだから……」

「……こう言うわけだ。俺達が言っても信憑性に欠ける」


さり気なく自身も馬鹿にされたが、三人のやり取りを見て呆れつつジークリドにそう言ったアストリッド。

あのやり取りを見て彼も察したのか、憐れみの目をランと神月かつきに向けた。


「…………俺まで見られても困る」

「お、おぅ……。元々あの炭坑には術を仕掛けていたんだ。その術に反応があって俺がルナの転移魔法で移動したら二人が倒れていた」

「何故、術を?」

「あいつ等が暫く前からあそこに出入りしていると報告があってな、術はもしもの為の保険だった」

「クリスタに帰ろうにも、金も力もなくてな……ここで世話になったんだ。………アンリ」


ふと、アストリッドが体をアンリへと向ける。


「言うのが遅れたが………すまなかった」

「……………?」

「連絡も入れずに今の今まで、反省してる……けど、お前を護れるようになりたかった。それまでは、会う気はなかった」

「アスト……」


二人のやり取りを見つめるラン、他の五人も見守っている。

アンリは、只アストリッドを見ていた。


「今面倒な事が起こってる。オルディアだけじゃない、ロータスやエスドラでも表沙汰にはなってないが……静かに、着々と壊れだしている」

「……………」

「だから片が付いたら……否、全部終わって新しく始まったら」


そして、アンリの手を取った。


「絶対毎日お前の元に帰るから、俺にお前を養わせてくれ」

「………………え?」


空気が凍りつき、その場にいた全員が固まった。

その間、体は凍ったが脳内はフル回転していたアンリは必死で状況把握に勤しんでいた。


「…………あー、いきなりですまないとは思うんだが、何か反応してくれないか?」

「え、えっと……その……」

「姉さんが珍しく戸惑ってる……!」

「よし、あのまま押し切られれば面白いことになりそ…‥」


その時、勢いよく扉が開いた。


「お頭大変だガフォッッ!!」


先程ラン達が会ったダルナの顔面に、アストリッドの飛び蹴りが命中した。

そのまま外まで飛ばされ地面を二、三転するダルナを、これまでにしたことがないような冷ややかな目でアストリッドは見た。

その背後には、鬼が居た。


「前々から空気が読めない奴だとは思っていたが……これまでとはな」

「え、えっと何、お前何でそんなに怒って……うわちょっ、銃向けるな向けるな!!」


ぐりぐりと銃口をダルナの額に押し当てるアストリッド。安全装置は外されていないが危険である。最早行動がマフィアだ。


「大体落ち着きを持てといつも言っているはずなんだ。それなのにお前は……救いようのないアホが。お前を見てるとセストが立派に見える」

「おいお前今さり気なく俺のことも馬鹿にしたな?」

「ストップ‥…タイム!!それどころじゃ無いんだよ!!お頭大変だ、クリスタにいる仲間から今さっき連絡が入った!!」


銃を押し退け、再び中に入りながら声を上げるダルナ。


「新品種登録協議会が始まってる、日付がズレやがった!!」

「はぁ!?あの祭りが始まるのは明後日よ!?それに私いないじゃない!!」

「否姉さん、花斬られて参加資格無くなったんじゃないかと……」


だが、本当に困った。非常事態だ。

ユーグレナ達は新品種登録協議会で何かを起こそうとしている、だから始まる前までにメルリーンに戻る………そんな予定が崩された。


「私無しで始めようなんて……何様のつもりなのかしら」

「多分国の偉い人だよ……あの、例の転移魔法陣ってどうなりました?」

「流石に完成してない。あいつ書くのは早いから場所は大体首都みたいだけど……」


それを聞き、ふむ…となるアンリ。

そして何かを思いついたようにダルナを見た。


「今すぐロープを用意して、出来るだけ長めのを」

「ろ、ロープ?」

「後《追尾ホーミング》を使える人を連れてきて。早急に!」


アンリの剣幕にコクコクと頷き、走り去っていったダルナ。

傍に置いていた棍を手に取り、アンリは立ち上がった。


「ラン、行くわよ」

「え?」

「魔法陣の所よ。貴女の力が必要なの」


そう言って外に出て行ったアンリ、それを見るラン。

そして、思った。


ー……嫌な予感しかしない……!

「……あの青髪の告白はどうなった」

「あっ………ひ、ひとまず行こっか」





大きく魔法陣が書かれている建物にやってきた一同。

呼びに言っていたと思われるダルナが先に来ていて、その後ろでは目を充血させるほど開いたルナが、細かい場所を書いているのか床に這い蹲っていた。

そんな異様な光景に唖然とするランの肩を軽く叩き、ダルナを見たアンリ。


「《追尾ホーミング》は?」

「今やる。頼んだ」


そう言ってダルナは横にいたランより少し年下らしい少女を見る。

少女は頷いたかと思うと手に握っていた杖から淡い光を出した。


「ーーー《追尾ホーミング》」


上に光が走ったかと思うと……ランに光が雪のように降り注ぐ。


「あら、魔法が使える子?」

「荒削りだけどな、良い子だぞ」

「そうね、少なくとも私よりは性格良さそう。それでロープは?」

「ほいよ、けど……何に使うんだ?」


ダルナからロープを受け取り、微笑するアンリ。

そしてーーー素早くランの腰に巻き付けた。


「……………はい?」

「これでよし……準備OK」

「イヤイヤイヤイヤイヤ、姉さん何コレ!?うわっベルトの後ろで結ばれてる、地味に外すのが面倒くさい!」

「魔法陣発動してくれる?」

「え、あ、おぅ……ルナ頼む」


良いのか?という感じでランをちらちら見つつルナにそう言うセスト。

それに頷き、垂れ下がった髪を鬱陶しそうに後ろに流しながらルナは魔法陣に両手を着ける。

魔力が動く気配がして………一気に陣が発光した。

発動を確認して、ランを縛っているロープの先を手に持つ。


「さて……じゃあセス君、後はかー君で良いかしら。手に縫いつけるかのようにしっかりとこのロープ持ってちょうだい」

「うわヤベェ、嫌な予感しかしねぇ」

「……………」


二人が握ったのを確認して……今度はランの襟首を掴む。


「良いこと?ロープは着くまで斬っちゃ駄目よ?」

「え、まさか姉さん……ちょ、待って!お願い待ってよねぇ!?」

「待つ時間が惜しい」


そしてーーーランを魔法陣の中に突き出し、その後にロープを掴んでいたセストと神月かつきが続く形になった。


「ね、姉さんのバカァァァァア!!!」


そして光と共に、三人の姿は消えた。

……視線がアンリに集まる。


「これならサラちゃん達か敵の場所に落ちると思うのだけれど」

「他にやり方は合ったと思うんだが……それにアンリは行かなくて良かったのか?」

「良いのよ、あの子の《幸運スキル》の妨げになるだけだもの。私達も行きましょうか。何処に落ちるかは知らないけれど……ね」


そして、魔法陣に足を踏み入れた。

4月1日0時から遠い異国の人間様の連載スタート

原作の28年前設定、ジャンルはファンタジーになるかと

題名は、決めてない!けど死亡フラグ(以下略)に似た題名になるかと思います。

見かけて、かつ暇だったら見てやってください。

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