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耕せば耕すほど成果は広がる

投稿延滞本当にごめんなさい

「落ち着け」


セストの肩を揺さぶろうとしたアンリの手を握ったのは、アストリッドだった。

そのままアンリの顔をのぞき込む。


「転移魔法陣が書ける奴一人とその他の魔力がふんだんにある奴、それなら形だけでも書けるが……精度が低くなるのは分かってるはずだ」

「アス君……」

「だから今は冷静になれ…お前らしくないぞ」

「……けど、無茶しないとなのよ」


そうアンリは呟いた。

自分が無茶を言っているのは十分分かっている。決して久々だし折角なのでセストを困らせてみようとは微塵も思っていない。

それでも、早く戻らないといけない。


「姉さん……」

「だって……おっさんと賭けてるから」

「…………ん?」


その場にいた者の頭に、疑問系が浮かんだ。

それに気付いているのかは分からないが、拳を握りしめて熱弁するアンリ。


「ランを協議会に出して周りがそれに気付くか気付かないかって、一応書類選考もあったから顔は知れてるし…」

「………まさか、あの時無理矢理着せたのって……自分はあのままどっかで遊ぶ気満々だったの!?ねぇちょっと!?」

「けどこれは私の勝ちね!貴女どうせその服のまま植物園に入ったんだから!私の名前語って入ったんだから私の勝ちよね!」

「確かにそうだけど人を使って勝手に賭けないでくれる!?」


そこまで言ってーーーあ。となったラン。

花の末路とセリアの件を言った方が良いのだろう。だが本人が嬉々としてここまで熱烈に語っているのに、水を差すようで悪いだろうか。

暫く一人で悩み、ランはアンリを見た。


「盛り上がってるところ悪いんだけど……姉さん」

「ん?何よ急に改まって」

「……花ね、斬られた。しかもセリアさんがばっさりと剣で……うん」


ここは正直に言うことにした。

…アンリの表情が、段々と険しい方へと変化していく。


「……セリちゃんのことも話さないとか……ふぅ、今日は厄日だわ」

「?」

「……立ち話も疲れるし、ひとまず拠点に向かいましょう。ほら案内役動きなさい」

「友達の家に思いつきでゲリラしに行く迷惑な奴かお前は」




  †  †  †  †




森の一部をくり抜いたような場所に、《獅鋼之爪レグルス》の本拠地は静かに広がっていた

先程のアジトから近いのだが、これは常時見張るためだと道中アストリッドが教えてくれた。


「ここが今の俺らの家兼仕事場って所だな」

「………えっと、想像してたのと全然違う……」


ランの呟きに、確かにと周りを見回すアンリ。

建物は木製だが、頑丈そうな造りで地盤も安定しているようだ。畑も蒼姫あきのと比べれば面積は小さいが完備されている。


「ふむ、面白味がないな……攻めるところが無い」

「そうねぇ…もっとこう、泥臭い生活を期待してたのに……」

「黙れドSコンビ」

「所帯持ちでも快適に暮らせるというのがコンセプトらしい」

「え?コンセプト……?」

「[大工]が設計したんだ」


アストリッドの言葉に、衝撃を受けた三人。神月かつきはそれ程受けていないようだ、無表情のままである。


「いたのかそんな阿呆みたいなジョブ持ちが!?」

「私……イヴァルさんのジョークだとずっと思ってたわ……」

「と言うか……技術ある人がこんな森にいたら駄目だよ……」

「ホントお前等サラッと失礼なこと言いやがるなオイ」


とーーー向こうの方から誰かがこちらに駆けてくるのが見えた。

遠くて顔は判別出来ないが、細身で無駄にヒラヒラした服を着た…男。


ーーーっつ!?

「あ、アス君!細身で無駄にヒラヒラした服の男がこっちに来るんだけど!?」

「ん?………あぁ」


つい腕にすがりついたアンリを見て、そしてアンリの言う細身で無駄にヒラヒラした服の男を見て、あぁ……と、少しげんなりしたような表情になったアストリッド。


「アレの名前はルナ………女男だ」

「お帰りなさいんお二方~!」

「げっ、来やがった!!」


カールが巻かれた金髪に、睫毛まつげがパッチリ開いた化粧が少し濃い……顎が二つに割れている男だった。

アンリがアストリッド、ランはセストを盾にして男を視界から外そうとするが、その男の視線は神月かつきに向けられていた。


「あらん……いい男。どう?今夜……空いてるわよ」

神月かつき逃げてーーーーっ!その人危ない人だよ絶対!」

「…………お前には興味ない」

「には!?」

「かーくん……まさか貴方、両方イケるタチだったの………!?」

「………………」


何故か無言になる神月かつき、無言になってほしくなかった。

それはともかく、という動作でルナという男性の腕を掴むアストリッド。


「ルナ、今から転移魔法陣書いてくれ。明日までに頼みたい」

「あら急ねぇ、頭領には言うの?」

「今から言う……アンリ、ラン達も……今から頭領に会いに行く」


その言葉に、ひとまずあの男から意識を外すアンリ。

頭領、つまり《獅鋼之爪レグルス》の長。11年前の真相を知っている可能性があり、ユーグレナ達の正体を知る人物。


「けど……一つだけ注意してくれ」

「?」

「……女なら、なりふり構わず誘ってくる」

「ここの山賊大丈夫なの?」

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