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森の資源は大切にしましょう

凄い雪ですね、クワで雪かきしました。

今回はまた妹partです


「恨みはないッスけど、ここで会ったが百年目ッス!!いざ!!」

「うわっ!!」


そう叫び……犬少女と名前を仮定するが……彼女は一気に間合いを詰めてきた。

だが周りに木があるのである程度減速したらしく、見切れたので三人はバラバラに散らばって攻撃を避ける。

が……彼女の手甲鈎アイアンクローの爪が突き刺さった太い木の幹が、抜かれるとほぼ同時に音を立てて、折れ倒れた。


「……セッカ」

「死ぬんじゃないのか?」

「まだ何も言ってないよ」

「どうせ貴様のことだ、当たったら死ぬよね?的な事を言うつもりだったんだろう」


否定できないほど的を射ていた。

相手は手甲鈎アイアンクローを使う。それの攻撃力又は破壊力は見て十分なほど感じた。

ここが森であり、それなら木が邪魔で上手く扱えないだろう…と思っていたが、人生そんなに甘くはなかった。


ー……木、折った。

ー……凄い腕力……てか人間技じゃない……!


姉が前に言っていたが、医学的観点からして人が持ち上げられる物体の限界は約500kgで、それ以上は筋骨を傷め骨を折るらしい。

例えは先程折れた木が200kg程の重さだとして、その木に深く突き刺さった爪を何ともないように抜き、そしてその木をへし折ったあの軽い動作……。


「犬型獣人か、さほど珍しくもない……ほぅら避けろ避けろ!」

「うわっ!や、やっぱりあの人犬なの!?」


セッカが無反動砲と呼ばれる大砲の一種を何処からか出して犬少女に撃ち放った。

が、犬少女はそれを体を横に捻らせて回避し、目標である神月かつきの方へと走って爪を突き出す。それを神月かつきは刀で防ぎ火花を散らすが、相手がもう片方の手で攻撃してきた為にやむなく押し切り後退する。それが目の前で繰り返されていた。


「犬型は筋力に優れている、因みにキルトはウサギだ」

「えぇえ!?あの人ウサギなの!?丸い尻尾があるの!?」

「貴様はいい加減戦いに参加しろ!!撃つぞ!!」


戦いたいのは山々だが、ここの地理では巧く剣が振れない。ランの場合双剣を抜刀すると言う独特の戦法なので、その分隙も隙間スペースも必要だ。

剣を抜いて戦うのは抜刀術を得意とする師の六の影響からか、余り得意ではなかったりする。

ふと、先程自分達に対して殺気を向けていた誰か達を思い出す。


ー殺気は止んでるけど……気配はまだある

ー……この人達はあの人の仲間なのかな……。

「三対一とはいえ、やはり森では殺りにくいか」


セッカが少し焦りを滲ませた声でそう呟くのが聞こえた。

確かに神月かつきは攻撃もしているがほぼ防戦一方、段々ゴリ押しされてきているようだ。


「ラン、退くぞ」

「セッカが退くって……珍しい……やっぱりあの人、強いの?」

「恐らく[拳闘士ファイター]だな、それも鍛えられた……近距離の貴様等二人と中・遠距離で銃器専門の私では分が悪い。破るには……あのショタコン馬鹿を呼ぶしかない」


物凄く酷い呼び方だが、誰が必要なのかは分かった。

ひとまず優先事項はこの森からの脱出と、メルリーンにいるであろうミライと連絡する手段を探すことだ。


「下僕!!一旦退くぞ!!」

「誰が下僕だ………!」


セッカが持っていた大砲にどこからかロケット弾を出して装填し、犬少女へ放った。

ぎょっとしたらしい犬少女が慌てて後退し、それは木を破壊して爆発しーーー白い煙が一気に森を覆った。


「くっくっく……エルフ族特製の発煙弾だ……自分の半径1m外の人間なぞ見えん!!」

「私達からも神月かつき見えなくしてどーすんのさっっ!!」


ランがセッカに対してそう言っていると……腕を掴まれた。

それはセッカも同じらしく、驚いたような表情を浮かべている。


「こっちだ、早く来い!」

「な……………っ貴様引っ張るな!!蹴るぞ!!」

「ちょ、でも神月かつきが…………えぇぇぇ………」

「何ッスかこれ!?酷いッス見えないッスよ!!」


そして変な音が響いて……一気に煙が晴れた。

犬少女が抱えているのは、そこら辺でつい数秒前まで植わっていた木だった。

だが……三人の姿も、所々にあった気配も、誰もいなかった。


「うぇえ!?誰もいない!?逃げられたッス……今すぐ追わな……んうぃ?」


走り出そうとした犬少女の頭に、少し鈍い感覚が響いた。

これは自分が尊敬する仲間の《念話テレパシー》だ。使いすぎは頭に響くが、彼はいつも必要最低限のことしか話さないので楽である。


「《駃騠けってい》しゃん?どうしたッスか?」


端から見れば、一人で話している変な少女である。

がーーー首を、傾げた。


「撤退ッスか?けどまだ、《獅鋼之爪レグルス》の奴等殲滅……じゃなかった、ある程度倒してないッスよ?」


暫くして頷いた後、服の袖に手甲鈎アイアンクローをしまう犬少女。


「なら帰るッス!そーだ、さっき《鬼門》しゃんに会ったッス!《鬼門》しゃんはどうするッスか?」


再び、沈黙。


「放置で良いッスか?了解ッス!帰ったらプリン食べるッス!」





ある程度離れた場所まで走るとやっと手を解かれ、ランは一息を吐いた。

頭上からは木漏れ日が差し込み、先程の場所よりは周囲の景色が見やすく感じた………一面森だが。


神月かつき、大丈夫?」

「あぁ、特に問題ない」


その言葉に安堵し、自分達を引っ張ってきた人達を見る。

動きやすそうな軽装で、だが木こり等の職人には見えない…言っては悪いが、育ちの悪さが目に見える。


「ふむ……山賊、には見えんな………調教のしがいがありそうだ」

「何言ってるのセッカ!!ごめんさない危ないところを助けてもらって………あの、何で助けてくれたんですか………?」

「……………っぶ!!」


と、いきなりランが話しかけていたフードを被った男が吹き出した。

何が面白かったのか近くの木の幹を叩いている……何だあの人。


「?ど、どうしたんですか……へ、変な人に話しかけちゃった…」

「っあー………何つーか、普通に育ってくれて安心したわ……」

「?」

「………その声、やはり貴様か」


状況がよくわからないランはセッカを見る。

セッカの知り合いなのだろうか、この男は自分とも会っている口振りなのだが………分からない。


「俺だよ、俺!って普通覚えてねぇか」


そしてフードを外して……赤い髪が下に流れた。

…徐々に目を見開いていくラン。


「せ………セスト!?」

「何だ、覚えてんのか?久しぶりだな」



クリスタ所属の[投擲士]、セスト・ウイングス

長らく行方不明生死不明の彼が、そこにいた。




補足説明


双銃士:両手で扱えるほどの銃を使う職

砲撃士:小銃から大砲まで使う職

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