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世間は疑心暗鬼ばかり

今回は妹partです

ランが縄から解放されたチェリナと王都植物研究所に着いた時、入口には人集りが出来ていた。

一般市民から何故か騎士団、研究員らしき白衣を着た人もいる。

ふと、研究員らしき男とランの目があった。


「!ヴェストルドさんですね?」

「……はぁ、まぁそうですけど………誰ですか貴方」


ここで発動、姉と間違われる。

だが既に慣れたランは不思議そうに言うと、目を細められた。

はっきり言おう、全然知らない。恐らくこれがアンリ本人だったとしてもこう言うはずだ。


「貴方……自分の植物を管理している研究員の顔も忘れるんですね」

「あぁ……成程」

「ですが、呼びに行こうとした所でしたので手間が省けた」


疑問系が頭に浮かぶ。

呼びに行く、つまり……今はランが代役だがアンリを呼びに行こうとした。

ならばここに姉はいないのだろうか?


「こちらへどうぞ………そちらの方は?」


そこで研究員の視線がチェリナに移る。


「彼女の母です」

「こんな人知りません赤の他人です早く行きましょう」

「えっ、ちょっラン!?」


研究員の後について温室へ入るラン。

チェリナは追いかけようとして騎士に止められていた。無視した。


「ここでは貴重な植物の盗掘等を防ぐため、騎士団に巡回を依頼しています」

「はぁ……それは良い心構えですね……」


急に聞いてないのにそう話された。全く興味ないのに。

アンリだったら、きっとここで場違いに欠伸でもしているだろう。


「それがあんな事になるとは………国の犬共は………」

「え?」


国に遵守する研究員には相応しくない単語が出てきたので、ついランは目を細める。

そして口を開こうとして……研究員が急に止まったので急ブレーキをかけた。


「これを」

「へ?………っつ!?」


男の背中から先の景色を見て……目を見開いた。

その部分の花壇や機械が、ボロボロになっていた。


ーこの斬り口……剣?

「ヴェストルドさんの植物もやられています」

「はぁ!?嘘ッッ」

「御安心を、既に犯人は確保され騎士団本部に送られました」


そして、言った。


「王都騎士団第二部隊副団長、セリア・デュトロンです」

「!?セリア……!?」

「おや、ご存知でしたか」


ご存知も何も、つい昨日会いました。

だが、自分以上に真面目で姉をあんなにも敬愛していたセリアがこの様な事態を起こしたのだろうか。


「新品種登録協議会は花形イベントの一つです。その協議会に出品予定だった植物を意図的に枯らしたとなると……軽くても騎士団追放、でしょうね」

「追放!?何でそこまでっ……」

「彼女は逃走用の道まで作っていました。あれを」


研究員が指示した方を見る。

そこには……人一人分位の大きさの魔法陣が、草木の陰に隠れるように紫色に光っていた。


「魔力反応を感知したことにより彼女の犯罪行為を発見することが出来ました。つきましては、この後彼女の行動について簡易的ですが会議を行いますので出席願います」

「えぇ……そんな事言われても……」


ランの背中を、冷や汗が伝った。

考えたとおり、面倒事になっていた。しかもアンリは行方不明で花は斬られ、アンリの親友がそれの犯人になっている。

会議と言われてもランだってまだ十代、全く分からないのだがーーーー


「しゃがめアホ!!」

「っ!?」


聞き覚えのある声がして反射的にランはしゃがむ。

それと同時、近くの温室の壁が音と爆風を伴い、破壊された。


「なーーーーっっ!?」

「い、一体何が……ガブッ!!」

「ああっ!!えっと、名前よく分からない白衣の人ーーー!!」


立ちこめる煙の中から、何かが研究員の頭と腹部に飛んできた。

そのまま昏倒する研究員の足下に落ちていたのは、ゴム弾。


「くっくっく………流石は理系……簡単に倒れたな、モヤシか?」

「………まさか」


煙に人影が映る。


「私が調教してやろうか?頭を床にすり付けるところから始めるぞ……やれ下僕一号」

「誰が下僕だ」


ロケットランチャーを肩に担ぐセッカと、その後ろに神月かつきがそこにいた。

……一瞬、魔王が降臨したのかと錯覚した。


「セッカ、神月かつき!?ど、どうしてここにいるって…」


只でさえこの温室は広いのだ。こんな的確に自分のいる場所にぶっ放すなど運が良くなければ有り得ない。寧ろ奇跡だ。


「偶々ここら辺で急に苛ついたから撃った」

「そんな理由な訳ないよね!?器物破損で騎士団本部に突き出すぞ!!」

「冗談に決まっているだろう。話は後で聞く、お前は私と下僕一号と共にあの魔法陣に飛び込むぞ」

「はぁ!?」


移動系の魔法陣に無闇に飛び込んではならない、これは暗黙の了解の一つに挙げられる。

術者の罠の可能性もあるし、特殊な記号が複雑に重なっているのでどこに飛ぶかすら分からないからだ。

自分よりギルドにいるセッカが、それを知らない筈がない。


「時間がない、騎士団の奴らが来る」

「でも………うわっ!?」


と、神月かつきがランを担ぎ、一言。


「諦めろ」

「よく働くな下僕一号!後で褒美をやろう!」

「えぇーーーー………」


ランを担いだ神月かつきが消え、続いてセッカが後に続く。

……暫くして、壁に開いた穴から入ってくる人影。


「もぅー……人使い荒いなぁ………《変身メタモルフォーゼ》!」


金髪の色が、段々銀色へと変化していった。

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