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ウイルスの使用は許可を取って計画的に

……一瞬、自分の耳に膜が張ったかとアンリは思った。

この子供は、何を言った?


「世界征服……ぶっ!!あひゃひゃひゃひゃひゃ!!何なのその初等部半ばの男子が語る将来の夢の一つに入りそうな勧誘理由!?あはっ、あはははは!ぶひゃびゃっゴホッゴホッ!!」


笑いすぎて息が一瞬詰まり、深呼吸。

そして落ち着いた所で、ユーグレナを見た。


「笑えないわね」

「思い切り笑ってた癖によく言えるね」

「何の事かしら?あれは発声練習よ、花祭りが終わったらギルドで歌唱大会があるのよ。あーあー」

「言い訳は良いからさー、どうなの?入るの?」


自分でも痛々しく思えてきた言い訳を止め、ユーグレナを見る。

その目は真剣さが伝わってきて、本気で言っているのは分かった……が、ついイジりたくなるのは何故だろうか。


「世界征服なんて現実的じゃないわねぇ、もっと儲かりそうで人が飛びつく勧誘はないのかしら?」

「僕ちん本気だよー、だってずーっと昔からアンリちんの事誘うって決めてたもんね!」


昔から、その言葉にアンリは自然と目を細めた。

それに気付いていないのかワザと気付かないフリをしているのか、ユーグレナは続けた。


「ねぇアンリちん。アンリちんは世界の皆の敵なんだよ?分かりやすく言えば病原体、ウイルスなんだ」

「……どういう、事かしら?」

「その場にいるだけで親族諸共不幸に陥れて、関係ない人も生死に関わるような事に巻き込む……それってウイルスでしょー?」

「言ってる意味が分からないのだけれど、簡潔に言って貰える?」

「《幸福刈りアンチハピネス》」


ニヤリ、と音が付くような悪い笑みを、顔に似合わずユーグレナはアンリに向けた。


「アンリちんがいれば、国だって一気に傾けられるよ」

「……成程、だから世界征服なのね」

「そー!!あのね、僕ちんアンリちんとなら仲良くなれるって思ってたんだ!ねぇねぇ、まだ返事貰えないって分かり切ってるし、色々話そうよ!」


その言葉に、緊張の糸が更に強く引き締められた。





その頃、ランはチェリナを何故か縛り上げて担いで街を走っていた。

日頃鍛えた成果だ、女性一人くらいなら担げるようになった。と言っても得もないし実用性はないが。


「待って待って待ってランッ!!そんな趣味お母さん持ってないよぅ!?何処に連れてく気なの人身売買市場とか奴隷市場!?」

「発想が物騒すぎるしそんな市場首都にあると思えないから!!姉さんの魔力の残り香を辿れるのチェリナだけでしょ!?」

「じゃあ何で縛ってるのーー!?」

「途中でフラフラどっかに行かないように!」

「信用度ゼロ!?」



[魔術師]の固有能力スキルの一つ、 《魔力感知》。


高い魔力を持つ人物の魔力を感知すると言うだけの単純な能力スキルだが、森林や雪山での人の姿が見えにくい場所では重宝されるモノである。



「でも、姉さん本当にどこ行ったんだろ……無事だと良いけど…」

「大丈夫だよ、だってあの子しぶといもん!」

「フォローになってないと思うし信憑性がほぼ皆無なんだけど。私が居ないとすぐ危ない目に遭うじゃん!」

「……………」


……無言でランの服を見るチェリナ。

因みに着替えていないのでアンリの服であり、スカートを着用している。


「…………パンツは見えないか……なんちゃっグフゥ!!」

「おっとゴメン手が滑った」


チェリナの頭を近くにあったゴミ捨て場に突っ込んだ。

周囲の目が凄く痛いが仕方ないと思う、社会環境適応性の問題であるし個人の性格の問題でもあるからだ。

縛られて動けないので、芋虫の様にもぞもぞとチェリナは顔を出した。


「ラン、暫くここら辺歩けないよ?」

「うっ……ち、チェリナのせいじゃんか!」

「責任転換は駄目だよ!そんな風に育てた覚えはありません!」


無言でチェリナの頭を掴んで、ゴミ袋に向かってスナッチした。

完璧にダウンしたチェリナを一別し、溜息。


ー姉さん……大丈夫かな。

ー顔の皮剥がされて火に炙られてなければ良いけど。





「良いこと教えてあげよっか、アンリちんが今まで死ななかった理由」

「…………は?」


ユーグレナと物体転移魔法についての実用化について話していると、ふとユーグレナはそう言った。


「って、まぁアンリちんも想像出来てるんだろうけどねー」

「…………何の事かしら?」

「とぼけちゃ駄目だってば。僕ちんとアンリちんの思考回路は少し似てるって分かったし、多分合ってると思うんだー」


まるで好きな玩具を話す子供のように、ユーグレナは言った。


「アンリちんはね、妹ちゃんが居ないと計5475回死んでるんだよ~」

「……それ、毎日じゃない」


ランは今15歳なので、単純計算で5475になる。


「えっと……花の名前の妹ちゃんの《幸福》!あれはアンリちんの《幸福刈りアンチハピネス》対策で世界の意志が産み出したって考えて良いかもねー。白血球みたいな感じ?」

「……確かに、私はあの子とは相対する関係上にあるとは思っていたわ。あの子と居ると自然と不幸と呼べる出来事が少なくなるもの」


但し、それにも限界はある。

アンリの方が魔力が高いため、度々その相対関係はバランスを崩す。シーソーに乗っているような状態だ。


「そもそもさっきから世界の意志とか、なんなのよ?幾ら子供の例えでも痛々しくて目も当てられないわ」

「……‥‥アンリちん、アンリちんって僕ちんの事何歳って思ってる?」


は?となるアンリ。

外見から考えておよそ14歳ほどだろうか、身長は約135cmといった所だろう。

子供にしては物凄い知識量と理論とは思っていたがーーー


「僕ちん、34歳だよ?」

「……‥‥‥‥‥嘘は駄目よ?お菓子あげるから本当のことお姉さんに話してご覧なさいな」

「子供扱いするなーーーーっっ!!」

最近vitaのブレイブルー買いました

やばい楽しすぎて投稿遅れましたすみません

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