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死亡フラグを回避しながら妹を育て始めました  作者: 音国 心
冒険者ギルド編
6/97

クリスタとギルドマスター

その翌日の早朝、本当に四時出発になった。

日が東から昇り、丁度真上に来る頃……。


「おいこら、俺は寝てないのにお前だけお寝んねしてるつもりか、起きろ、着いたぞ」

「あーうーっ」

「む……何よもぅ………え、着いた?」


ランの手の平ビンタを押さえて、アンリは荷台から飛び起きた。

馬車の先には、木で造られたアーチ状の看板が見えていた。


“国境の町、クリスタ“

「あそこがクリスタ………田舎ね」

「………ホント、可愛くねぇ感想ばっか言いやがるな……」


看板をくぐり、町の中に入ってアンリはランを背負い荷台から降りた。

小さいながらも、首都に似た活気の良さが目立つ町だ。獣人やエルフ族等、様々な種族も人の中に紛れている。


「国境の町だからな、自然と亜種族も来るんだよ」

「活気が無駄に良いわね……で、この町のギルドは?」

「そんなに行きたいか……けどまだ待機してろよ、折角此処まで着たんだ、ちょっと毛皮売ってくるわ」


六の言う毛皮は、昨日襲ってきたあの狼の毛皮だ。

あの後、アンリのナイフを借りて毛皮を剥いでいた。それに対してナイフが臭くなったとアンリが怒ったが。


「相当な数だ、全部で4000ギルにはなるだろ」

「そういうの、いきなり出てきて買い取ってくれるの?」

「俺はこの町には色々と縁があるんだよ」

「あら、汚い大人を一部を見ちゃったわ」

「安心しろ、お前も絶っっ対に、俺みたいになる」

「謹んでお断りするわ、さっさと行けおっさん」


アンリの言葉にも慣れたのか、毛皮を抱えて軽く手を振りながら六は人混みの中に消えていった。

恐らく馬を見ていろと言うことだろう、アンリは喜んで馬を見ていた。


「にしてもあなた、おっさんにすんなりと飼われているわねぇ」

「うーっ」

「ランも思うでしょ?しかも魔物に驚いてたけれど逃げなかったし………只の馬じゃないのかしら」

「ウィズシアシン種だからですの!」


いきなり、第三者の声が響いた。

アンリが下を見ると、フリフリのドレスを着た少女がいた。


「ウィズシアシン種は魔物の血を継いでいるとされていて、調教すればそこら辺の魔物なんて怖くないって思うですの!」

「迷子かしら?困ったわね……迷子センターどこかしら」

「迷子じゃないですの!あっ、赤ちゃんですの!お姉さんの妹です?」

「えぇ、抱いてみる?」


そう言ってランを抱かせれば、嬉々として少女はランに笑いかけた。

だが、本当にどこの子なのだろうか、とーーーー?


「こらこらシェル、困らせてはいけませんよ」

「あっ、マスター!」


声に反応して顔を上げる。

襟元と袖口にファーが付いているコートを着た、ウェーブが少しかかった髪を一つにした女性……ではなく男性がいた。

流石のアンリも登場してくる謎の人物の多さに目を回しかかったとき、聞き覚えのある声が此方へ来た。


「ったくよー、結局2500ギルでしか売れなかったじゃねーか畜生ー」

「あ、おっさん」

「ん?」

「聞けよアンリ、残念ながら予想の半額……って」


六は男性を見て、あ、と口を開いた。


「イヴァル、久しぶりだな」

「うん、六こそ変わってないようだね」

「お前に言われたくないっての、あ、どうせ聞くだろうから先に言っとくな」


男性を指さして、六は言った。


「こいつ、俺の昔馴染みでクリスタのギルドマスター」

「………………は?」


偶然による展開に、アンリの頭は珍しく着いていけなかった。

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