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死亡フラグを回避しながら妹を育て始めました  作者: 音国 心
怪盗キャットウォークマン編
44/97

ネコミミ女は部屋にいる

廊下中の扉という扉を開きまくるラン。

そんなランの様子を見て、アンリは珍しく呆れた様子で口を開いた。


「ランったら、そんな簡単にネコミミ出てこないわよ?」

「否、意外にいるかもしれないでしょ?可能性がある以上、虱潰しにいかないと!」

「まぁそうね、頑張って」

「働け!!」


ランの様子壁にもたれ掛かりながらアンリは無言で観察していた。

この、如何にも人が住んでますというオーラを出す廊下には先程到着したばかりだ。

ランが開け、放置していった部屋をのぞき込めば、使われていないのか蜘蛛の巣が張っていて、一歩も足を踏み入れたくない惨状が広がっていた。


「ねぇランー先に行きましょうよー」

「働けニート」

「ニートじゃないわよ失礼な子ね」


ニートではない、本職薬剤師と副職ギルド員だ。

それを今言うと、溜息すら帰ってこない気がして口には出さないが。


「言っておくけど、姉さんだけ先に行くとか止めてよね?早死にしたいの?」

「別に死んでも十分生きた……ランを道連れにして逝くわ」

「たち悪いな!!人生諦めるの早すぎるよ!!ったくもー」


自身の側に寄ってきたアンリに苦笑しつつ、扉を開くラン。

刹那、アンリの姿が消えた。


「………あれ、姉さん?」

「ネコミミ仕留めたわよ!!」


正面の部屋の中を見て、ランは固まった。

壁一面に飾られた、怪しげな仮面や人形、武器累々。

その中央で、アンリが棍とネコミミの襟首を握りしめてガッツポーズをしていた。


ーイヤイヤイヤイヤイヤ!!

「姉さん急展開すぎる!しかもそれ一見して悪役!」

「ぐ……何でここが分かったのよぉ……」

「地道な作業の賜よ」

「否何誇らしげに話してるの、姉さん一カ所も開けてくれなかったじゃん!」


ランの言葉に微笑して、更にネコミミの襟首を掴む手を握る。

逃がすわけにはいかない、面白いのだ、この怪盗自身が。

だが、ネコミミ……キャットウォークマンは服の袖の死角から折りたたみのナイフを掴んだ。

アンリの腰を狙い刺そうと、腕を横に振った、が。


「姉さんっ!」

「きゃっ」


女性らしい声をして、ランに引かれるようにアンリは下がることになった。もちろんナイフは空振り三振さよならである。

立ち上がり、キャットウォークマンは二人を見た。


「チッ」

「……女って怖いわね」

「姉さん人の事言えてないよ!?さっ、大人しく御用されなさい、キャットウォークマン!!」

「…………本当なら、私もこんな事したくないのよ」


急にぽつりとそう言いだした。


「だって……親近感を感じるんだもの」

「姉さん理由になってないから黙ってて」


アンリの言葉を一蹴し、両腰の剣にそれぞれ手をかけるラン。

それを見てキャットウォークマンは舌打ちし、指を一本立て、息を大きく吸いーーーー


「………っっ!?」


あの時の不快な音か再びランの耳に届いてきた。

素早くランは耳を塞いで、アンリを見た。


「姉さん!!」

「任せなさいーーーーー」


アンリの目が光ったと思うと、魔法陣がこの部屋全体に広がった。

そして手を挙げるアンリ。


「《レイン》」


下げると同時に、一気に雨が降ってきた。

ランはそれを見て………耳から手を外し、剣を手にした。


「!?」

「一刀流ーーー飛花落葉ひからくよう!!」


一気に間合いを狭め、鞘から一気に抜刀した剣がキャットウォークマンの腹部に突き刺さった。

軽かったのか、ナイフを持つ腕を操って襲ってきたが、その腕を掴み、体の軸を変えると同時に地面に投げた。


「っあ!!」

「アナタの傀儡術、姉さんが見切ってくれた」


剣の血を振り払い、鞘に納めながらランは続けた。


「人は年を重ねるごとに聞こえる音の周波数が下がる。それを利用して音波による術式を考えたんだよね?」

「傀儡術自体、余り知られてないから調べるのに苦労したわ……蓋を開けば一種の催眠術ね。こういった現象は昔から犯罪に対して利用されている」


とある映像に、他の映像を刷り込ませておくと、目には見えなくても瞬間的に脳が感じ取り、無意識の内にその映像が頭に残るという。

そういった犯罪が過去にある、それの応用みたいなものだろう。


「あなた、ジョブは本当は[盗賊]じゃなくて、[音律士]ね?」

「……………」



[音律士]……媒体から発せられる音波を操るジョブである。



アンリの言葉に、キャットウォークマンは、目を反らしたのだった。

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