戦闘によるフラグは出来れば立たせたくなry
狼を更に大きくしたようなその魔物は、この周囲一帯には余り姿を見せないとされている獣型の魔物だ。
それが何故此処にいるのか……敢えて知らないフリをする。
「ちっ……おい嬢ちゃん、そこの剣寄越せ」
「剣……」
視線を辿れば、アンリの足下に一本の剣が置いてあった。
手に取ると、六は奪うかのように素早くそれを手に取った。
「ちょっと、おっさん戦えるの?あなた[商人]でしょう?」
「何時俺が俺の職業が[商人]つったよ」
「え?」
不適に笑いながら、六は剣を抜いた。
同時に飛びかかってきた魔物を、剣で素早く一閃した
「俺の 職業は[侍]だ」
「………どや顔されても、侍って言うのが分からないわ」
「畜生最近の若い奴は!!」
職業、それはこの世界の人口のおよそ七割が所持している能力のことである。
冒険者ギルドに登録する際に自分の天職、職業が自動的に決まり、以降はそれを変えられないのだ。
稀に異なる職業に進化する事もあるらしい
因みに大体の人は職と略しているが、今はそのようなことはどうでもいい。
「[侍]は一刀攻撃に秀でてるんだよ!お前頭良いから分かってるって思ってたのによ、俺のどや顔返せ!」
「一万ギルね」
「守ってやってるんですけどぉぉぉお!?」
叫びつつも、的確に魔物の急所を狙っている六は凄かった。
荷台から見ていて、ふと気づけば………荷台を囲まれていた。
ー………ヤバいわね
「ちょっ、逃げろよ!?」
「逃げたら後ろから噛みつかれて終わりでしょ?」
ランを背負いなおし、鞄からナイフを出すアンリ。
「何だよ、自分の身は自分で守れるんじゃ……」
「これ、どう使えばいいのかしら?リーチ足りないわね…」
「なら何で持ってるんだよ!!ていうかラン危ねぇだろ!」
ー………あ、そうだ
アンリはふと思いついて………魔力を解放した。
人間の脳には《魔力源》が存在し、魔法が使える者はその部分が他人よりも発達している。
アンリも、アンリの母エリスも魔法が使えた人間だった。
「《炎》」
言葉を唱えれば、空気中に存在していた酸素が熱を帯び、発火する。
そのままナイフにまとわりつき、炎の刃が完成した。
「………熱いわね、まぁいっか」
炎に怯えたように後ずさる魔物達、だが一匹が意を決したのかアンリの喉元へ飛びかかってきた。
「私、剣なんて使ったこと……ないのよ!」
なので、ただ思い切り、振った。
ナイフから伝わる振動、感触、断末魔、魔物は呆気なく倒れた。
それを見て、アンリは首を傾げてーーーニコリ、と笑った。
「成程ね、使い方は何となく分かったわ」
「………怖ぇーな、おい……」
そう呟いた六の足下には、魔物達が転がっていた