炭坑の依頼を突破せよ
何故か急にイヴァルに呼ばれ、ギルドに行くと開口一番にこう言われた
「依頼に行って貰いたいんだ、ここの近くの炭坑に住む魔物退治だよ。死なないように頑張ってね」
「行かないって言う選択肢は無いのか!!」
ギルドからでて、盛大にセストは溜息を吐いた。
顔には出さないが、アンリとアストリッドもげんなりとしている。
そう、本当に急に言われたのだ。
「………面倒ね………あの若作りのおっさん死んでくれないかしら」
「そんなに嫌なのかよ……まぁでも、今回なら俺は協力する」
「二人とも返り討ちに合うぞ」
アストリッドの言葉に再び溜息がアンリの口から自然と吐かれた。
イヴァルの話を簡潔に纏めると、本来依頼を請け負っていたグループが急な用事で行けなくなり、なら最近働いてない奴らに任せよう。と勝手にイヴァルが決めたらしい。
因みに、その急な用事、というのは何故か教えてくれなかった。
「…………何となく想像できる俺が嫌いだ」
「セス君何言ってるの?」
「いんや別に。まぁ請け負っちまった物は仕方ないしな……腹括ってやるとしますか」
「分かったわ、早く行きましょ」
「おう!」
………ぎょっとした表情で後ろのアンリを見たセスト。
その驚愕した顔を見て、アンリは目を細めた。
「何よ、こっち見ないでくれる?石化するから」
「俺の目は邪眼とでも言いたいのかお前は」
「アンリ、今日はやけに素直だな…何かあったのか?」
アストリッドの言葉に、何故か小さく笑うアンリ。
「今日家に帰ったら昨日買ったばかりの本を読むのよ!」
「アホかお前はーーー!!そんな分かりやすいフラグを立てようとすんなーーー!!だから何時までたっても《幸福刈り》消えないんじゃねーかよえぇ!?このあほんだら!!」
「黙りなさい猫舌が!」
「いやそれ反論してねーし!!」
「……………早く行かないのか」
二人の言い合いは、くだらない内容だったのに20分も続いた。
その様子を見ていたのは………?
クリスタの周囲には、森もあれば洞窟もある。
今は使われず、廃れてしまった炭坑に足を踏み入れる三人。
アンリが松明に火を灯しつつ、依頼内容が詳しく書いてある紙を見る。
「“サンドリオンモンキー“……何か、よく分かんない名前だな。洞窟に猿が住んでんのか?」
「サンドリオンなんて名前なんだから、元々は砂漠にでも住んでたんじゃないかしら?」
「随分とありきたりな名前だな………言いずらい」
「何でかお前だけズレてるんだよなぁ………」
少しズレた発言をしたアストリッドを呆れ気味に見つつ、四人は奥へと進む。
「なーなー、この炭坑って何でこんなに人居ないんだ?」
「もう潰れたからだよ…………って、気付かないとでも思ったかラン!!」
「ギャフン!!」
町から後を着いてきたらしいランの頭をセストは鷲掴みにした。
解放された頭を撫でるラン。
「人が居なくなって、魔物が増えたらまた討伐する……私は嫌ね、生き物だって生きてるのよ?生命の尊重をしなさい!」
「それお前が一番言えないぞ……ったく、俺の肩に乗っるか?」
「セストの方は細いからイヤだ!骨が当たる!」
「ようし、その体を血祭りに上げてやる」
ランは抵抗したが、呆気なくセストに肩車された。
そのまま奥に進む四人。
「………ふぁー…………眠い………」
「寝んな、サンドリオンモンキーに餌として食わせるぞ」
「頑張れ、手繋ぐか?」
「いえ結構よ」
アンリが遂に欠伸をし始めた。
それと同時にーーー炭坑の天井から砂がパラパラと落ちてきて、何かの足音が大きく洞窟中に響いた。




