プレイマジックボール
ある晴れた日の唯一の学校の校庭にて。
「ふっふっふ……四年間で鍛えた俺の腕、ナメんじゃねぇぞ…!!」
「ふん、当然だ……本気で来ないと撃ち殺す」
腕を回すセストと、セストと向かい合うように立ち、バットを手にするセッカ。
それをのんびりとブランコに乗り、眺めるミライとアストリッド、ランとサラ。
そしてーーーセストの目が光ると同時に光の球がセストの手に出現した。
「喰らえ!!スーパーライトボール!!」
「ーーーーーふん」
投げられたそれを一瞥し、セッカは笑って………打った。
球はセストの頭上を越えていく。
「それが貴様の四年の修行の成果なら、まだ甘いな!」
「ぐっ………って!!」
「あら、ラン此処にいたのね?」
運悪く、アンリが校門から入ってきた。
そして運悪く、球がそこへと飛んでいった。
「アンリ避けろーーーー!!!」
「え……………ガフッッ!!」
叫ぶが時既に遅く、アンリの顔面に球が激突した。
※何か飛んでくると必ずアンリに向かっていきます。
顔面ホームランから数分後。
セストの首を腕を回して絞める笑顔のアンリがいた。
「私が魔法慣れしてるから良いけれど、一般人だったら顔面消えてるわよ………?」
「やめてあげて!セストの首が極限まで細くなってるから!」
ミライが無理矢理剥がし、セストは咳き込みつつ息を吸う。
アンリも渋々止め、セストとセッカを見る。
「で、何していたの?というより魔法弾セス君作れたのね」
「セッカに頼んでよ、その魔法弾を作る修行してた」
「私はこいつの挫折する姿が見たいだけなのだがな」
「それが優しさでもドSすぎる発言だよ!!」
「ミライちゃんは少し黙ってて。魔法弾なんて……ほら」
手に意識を集中させると、アンリの手にも魔法弾が現れた。
魔法弾とは、術式が組めない一般人でも魔力が少しでもあれば作れる、初歩的な魔法だ。
これを応用して、火や水が出せる魔術が完成する。
「こいつのことだ、只やるだけじゃすぐに飽きるだろう」
「あぁ確かに」
「お前等俺の扱い酷くね?」
「だから遊びながらやっている、今じゃ技名まで言っているぞ?」
「やめろ恥ずかしいから!!」
言い合っている二人は放っておき、四人を見るアンリ。
ランとサラはともかく、何故アストリッドとミライがいるのだろうか?
「俺達は……」
「順番待ち……だねぇ。何か一緒に参加させられてるって言うか………居ないと怒られるって言うか………ねぇ?」
「…………」
無言の肯定、つまりは強制参加らしい。
あのセッカの性格上からして、恐らく言った通り本当に挫折する姿が見たいのだろう。性格が黒い人間は恐ろしい。
ー……いや、この場合は性格が黒いエルフかしら?
ーなんにせよ、此処にいれば私も被害に遭う。
「そぅ、じゃあ頑張ってね」
「お前もやるんだよ」
「……………………チッ」
「舌打ちすんな」
無理だった。
セストに肩を掴まれて、つい舌打ちするアンリ。
それを見て、セッカはニヤリと笑った。
「ほほぅ?超不幸体質が魔法弾如きを怖がるとは……これは見物だな」
「……………今のは聞き捨てならないわね」
「あ、姉ちゃん怒った」
ランの言うとおり、表面上は笑顔だが……セストの手を握る力が強くなったのが目に見えて分かった。
勿論、セストのリアクションでも。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いって言ってんだろっっ!」
「セスト、今のはお前が悪い」
「良いわよ、最大級の魔法弾投げてあげる、打ってみなさい」
「そうこなくてはな……!」
セッカがバットを握って移動したのを見て、アンリも先程セストが居た位置に移動する。
そして、意識を集中し始めた。
「アンリの奴大丈夫かよ……前に魔力切れ起こした癖に」
「俺たちに止められる性格じゃないのは、もう知ってるだろ?」
「姉ちゃんガンバれーー!!」
「が、がんばって………!」
「もうこの応援可愛すぎて悶え死ねる!!」
トスッ、アンリの投げた木の枝がミライの頭に刺さった。
「ギャース!!刺さった、枝が刺さった!!」
「全く、人の妹に欲情しないでよミライちゃん」
「もう少し言い方!!欲情はさすがにっっ」
今度こそ、手のひらに集中するアンリ。
そして……セストよりも小さな魔法弾が現れた。
それを見て目を細めるセッカ。
「あれ?セス兄のよりもちっちゃいね」
「姉ちゃん手加減してるのか?」
「………二人とも、向こう行くぞ」
「「?」」
疑問系を浮かべる二人を連れ、校舎側に走るアストリッド。
「は?おいアスト何して」
「よいしょっと」
同時にアンリが投げる。
その球を見てーーーセッカの背筋が凍り付いた感覚がした。
「っっ」
すぐさまバットに物体強化魔法かけ……ボールを受け止めた。
嫌な音がバットからし、セッカの足の軸が少しズレる。
「あら、受け止められちゃったわね」
「………っどりゃぁぁあ!!」
腕に力を込め、アンリの方へと球を打ち返した。
あの魔法弾は一見弱そうだが、薄く形作った魔力の膜に詰めるだけ詰めた魔力、そして回転を加えた投げ方。
あれこそ、アンリが言っていたように人に当たれば大怪我じゃ済まない威力を誇りーーーー。
「よっと」
「……………は?」
アンリが目の前で、棍で球を軽く打っていたのが見えた。
恐らくアンリも物体強化魔法を使用したのだろう、それもセッカよりも頑丈に術式を組み上げたモノだ。
そのまま再び豪速球で飛んでくるので、すぐさまセッカは球を避けて………背後にいたセストとミライの方へ。
「「………………………は?」」
その日、クリスタ中に悲鳴と爆音が響いたらしい。




