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将来のこと

その日の内に二人は帰ってきたらしい。

そう門兵に聞き、アストリッドはランと共にギルドへ向かった。


「姉ちゃん!!」

「よっ」

「あら、二人ともお迎え?御苦労様」

「お前はブレないな……」


カウンターに、イヴァルを挟んで二人は居た。

ランがアンリに抱きつき、アストリッドもその側へ。


「アスト、そういえば用事って何だったの?」

「これだ」


先程恩師から貰った募集要項を二人に見せる。

………段々と表情が変わっていくのが、内心面白かった。

暫く紙を見ていたかと思うと、アンリは顔を上げてアストリッドを見た。

笑って、一言。


「子供に好かれて親に嫌われる教師になるわ絶対に」

「お前は何時から予言者になったんだ?」

「アストお前………何時から考えてたんだよ」

「別に、気付いたら興味が湧いていたんだ。先のことも考えておかないと後悔する選択に出会うかもしれない」

「選択って……例えば何だよ」


話に着いていけず、疑問系を浮かべているランの頭を撫でながらセストが問えば、ふむ、と考え込むアストリッド。

そして、口を開いた。


「俺がお前を殺す選択……とかな」

「おいおい………冗談やめろよ、しかも真顔で」

「俺達だってずっと一緒な訳ないしな、もしかしたら俺はこの町を出る選択をするかもしれない……」

「つまり、方向性を決める選択を誤りたくないのね?」


アンリの言葉に頷く。

と?


「うーん、僕のこと無視しないでくれるかなぁ。改造して体の骨全部木にするよ?」

「発想が怖すぎるだろ」

「イヴァルさんは、将来の夢は何だったんですか」


聞き飽きたのか、そう口を開いて話に混ざってきたイヴァルに問うアストリッド。

それに対して、微笑したイヴァル。


「下剋上かなぁ、このギルド乗っ取るって夢を抱いてたよ。あっ、今の地位は前任のマスターが引退したから居座ってるだけで実力行使じゃないよ?ちょっと毒入れてたけど」

「どこまでが本当なんだよこの犯罪者」

「良いんじゃないかしら?バレてなければ」

「え………そこか?」

「アンリは?」


そこでイヴァルから目を離して、再びアストリッドを見るアンリ。

以前将来について話したな、と思いつつも自信の将来図を描いてみる。


「そうね、薬剤師とか植物研究に興味あるわ」

「……意外だな、お前の性格とは真逆の職柄だぞ?」

「つーか、俺だったらアンリの薬は使いたくねぇな」

「あら失礼ね、元々興味はあったのよ?私的にはアストの方が意外だもの、そうやって人の思いを突っ込むセス君は?」

「ぇ」


アンリに唐突に言われ、固まるセスト。

そして首を傾げた。


「やっぱし、悠々亭継ぐんじゃねぇか?」

「何で君が疑問系かなぁ」

「うっ、うっせーな……そんなの、考えてる訳ないだろ。学校じゃ、宿題徹夜でやることとか、テストの点数上げねぇとっていうのしか考えてなかったし………」


そして、視線を床へと向けるセスト。

また先のことだと、本気で考えたことがなかったのだ。悠々亭を継ぐとしか考えていなかったが、アストリッドが言ったように他の選択もあるのだ。


ー……俺、将来どんなんだろ。

ー………別れるなんて、考えたこともなかったよ。

「僕から言うと、セスト君は考えるだけ無駄かなぁ」

「てめぇ俺の思いを一気に踏みにじりやがったなコラ」

「だって、この世の中は学力とか武力とか、力のある人間が上に立ってるんだよ?頭が悪くて動きが悪い君がそう言うの考えて生きていけるかって言ったら…………はっ」


小さく笑われて、セストの額に薄く血管が浮いた。そしてこのギルドマスターに見えないギルドマスターを一思いに殺してやろうかと珍しく思ったほどセストは怒った。

がーーー隣で頷くアンリに目がいき、一気に冷める。


「…………何、納得してんの?」

「セス君いっそのこと人と関わらない仕事に就いたら?」

「疑問が解消できてねぇよ、説明しろ説明」

「だって、そもそも考えるって言う行動自体あなたに合ってないもの。きっと一人の方が本領発揮するタイプよ」

「……………」


確かに一人の方がセストは好きだった。

髪の毛下ろしててもからかわれることはないし、実際その方が楽だと思っているからだ。

そこを指摘されたら、何ともいえなかった。


「…………姉ちゃん、何の話してるんだ?」

「ふふっ、セス君が将来野垂れ死ぬか賭けをしてるのよ」

「それが本気だなよしお前そこに座れぶっ殺す」

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