やんちゃな姉妹
柔らかい風が巡り、四年の歳月が過ぎた。
クリスタの門近くの大木に、金髪の少女の姿があった。
長い髪をツインテールにし、青いリボン結っているその少女は、涙目で木の上を見上げていた。
「うぅ……ラン、あぶないよぉー!」
「まかせてサラ!取る!」
「だから、もう良いからおりてきてー!あぶないー!」
枝の上でバランスを取る、銀髪の活発そうな少女。
ラン・ヴェストルド、齢四歳である。
と、枝の先に引っかかっていた兎のぬいぐるみを掴む。
「うぉーーっ!取ったどーー!」
「何が取ったどだ馬鹿!!」
「およ?」
下を見るラン。
サラの隣に、赤髪の少年が居た。
「セスト!仕事どーした?」
「仕事もクソもあるか!危ねぇだろ降りてこい!」
「そう言われて降りてくる奴はいない!」
「馬鹿か降りてこいよ素直に!!?受け止めてやるから!」
「…‥…‥…‥いーだっ!」
ぬいぐるみを頭に乗せて木の幹に手をかけるラン。
そのまま下に滑り落ちるかのように、器用に地面に降りた。
「百点!!だぁぅ!?」
「何が百点だ!俺だって取ったこと無かったぞ!」
「あ、姉ちゃんから聞いた。セストはオール2なんでしょ」
「アンリの奴何教えてんだよドチクショウ!!」
怒りの余りセストが幹を殴る間に、サラがランに駆け寄る。
「ラン~」
「お、サラほら、ぬいぐるみ取った!」
サラにぬいぐるみを渡せば、大事そうに抱きしめるサラ。
このぬいぐるみはサラの両親が、サラの四歳のお祝いに贈った物だ。とても大切にしている。
「つーか、何でぬいぐるみが木の上に引っかかったんだ?」
「ウサギと一緒に縄飛びしてたら飛んだ!」
「十中八九お前が悪いって事か…‥悪かったなサラ」
「ううん、大丈夫」
セストに頭を撫でられながら笑うサラ。
そんなサラに笑い、セストは辺りを見渡した。
「で、お前の姉貴はどうした?」
「森の方に行った。子守なんかセストに任せろって」
「否任せるなよ姉貴が…‥…ま、アンリはアストに任せるか。ほら帰るぞ、母ちゃんがピーチパイ焼いたから」
「ピーチパイ!行こうサラ!」
「うんっ」
そう言えば、一目散に走っていった二人。
その二人の背中を見つつ、セストは自然に溜息が出た。
ー……‥姉妹揃って人騒がせだなオイ…‥。
ー……‥まぁ、良いけどよ。
森の中の花畑にて。
本に載っている目的の花を見つけては毟り、籠に入れる作業。
ー……‥結構採れた、草丈も良好。
ー……‥圃場は蒼姫のを借りましょ。
「……‥…‥アンリ」
本を閉じて、思考を続ける。
ー……‥花色は…‥まぁ良いか。
ー……これを培養して苗が出来たら、売れるわね。
ー……‥おっさん辺りに売りつけますか。
「おい」
「ぎゃんっ!?」
本の角が頭に当たり、変な声が出た。
後ろを振り返ると、青髪の少年が凶器となった本を籠に入れるところだった。
「アスト……何するのよ」
「俺は呼んだぞ?気付かなかったお前が悪い」
「もう……何よ、ランが川から落ちて頭でも割った?」
「否、アリスさんがピーチパイを焼いたから呼んでこいって煩くてな、呼びに来た」
「ふぅん。よくここが分かったわね」
「勘だ……‥…行くか」
そう言いながら手を差し出すアストリッド。
それに対して、アンリは笑いながら手を取った。




