告白
恋愛の告白ではありません
それから、みっちりと地獄の勉強会が始まった。
アンリがペンを立てればセストが死亡し、アストリッドがそれを起こすという役割が出来るほどに勉強会は続いた。
そうして日が暮れ、月が窓から見えるようになった頃。
セストが机に突っ伏して眠るのを見て、アンリはペンを握った。
「取り敢えず“アスト参上!“とでも書こうかしら……」
「俺に罪をかぶせる気か?」
声に反応すれば、セストとは違い鞄を枕代わりにして眠っていた筈のアストリッドが目を開いてアンリを見ていた。
上半身を起こすのを見て、ペンを置く。
「残念、セス君の反応が見たかったのに」
「アンリはセストをからかうのが生き甲斐なのか?」
「ふふっ、だってリアクションが面白いんだもの。今やってる勉強会だって半分はセス君を脅かすためにしてるようなものだし」
……楽しそうに笑うアンリから目を反らしたアストリッド。
「…‥なぁ、アンリも学校に行かないか?」
「素敵なお誘いだけれど止めとくわ。私、学校なんて殆ど通ってなくて…‥義務教育だから別に行かなくても赦されるし」
「それは頭が良い奴だけ言える言葉だな」
呆れ気味に言うアストリッドに笑う。
実際は誘いは嬉しかった、だが《幸福刈り》の影響が現れるかもしれない。
そえなれば、折角出来た気が合う仲間に危害を加えることとなる、それは嫌だった。
「学校で思ったが、ランはクリスタの学校に通わせるのか?」
「えぇ勿論、私の妹が馬鹿だなんて許されるはずがないわ」
「随分自信に溢れた自分評価だな……」
「……‥それに、ランには普通に生きてもらいたいし」
スヤスヤと眠るランを見ながら、続けた。
「私なんか母さんに英才教育叩き込まれたからこんな性格になっちゃって、ランにはもっとましな性格になってもらいたいもの」
「……自分の性格に欠陥があること気付いてたのか……」
「とっくに自覚してたわよ失礼ね」
その言葉を是非とも普段の自分に言ってやれ、とアストリッドの喉の所まで出かかったが、何とか飲み込む。
アンリの“本音“を聞けるという滅多にないことが今起こってるのだ、野暮なことを言って止めたくはない。
「それで私を将来楽させて欲しいわね」
「……‥…それはどうかと思うが」
「ふふっ、それで私がお婆ちゃんになるまでに結婚してほしいわ」
「……‥…アンリ」
アストリッドを見るアンリ。
そんなアンリに、アストリッドは微笑みかけた。
「ランが結婚する前に俺と結婚するか?」
「……‥…何馬鹿なこと言ってるの?」
「ははっ、冗談だ」
アンリの頭を乱暴に撫でるアストリッド。
そんなアストリッドの本心を、アンリはまだ読めなかった。
「……‥……‥…」
寝たふりをしながら、楽しげな二人の会話を聞くセスト。
ー……‥お、起きらんねぇ……!!
次回、あの人の妹登場




