出会い
ギルドカードを落としかかったアンリを見て、六は苦笑した。
無理もない、只でさえ不幸体質だというのに、討伐クエスト死亡率40%の[棍術士]に決まるとは、神はもう自分に死ねと告げているようなものだ。
因みに40%は、パーティーでの数値なので個人だともっと高い。
「……私、てっきり[棍術士]って棒持って振り回すだけなのかと思ってたわ」
「安心しろ、俺もそう思ってた時期があった」
「おっさんと同じ価値観なんて持ちたくないわね……」
アンリの言葉にも慣れ、軽くあしらいながら煙草の火を消す。
そして立ち上がってアンリを見た。
「んじゃ、お前等の住むところ探さないとだな」
「そうね、じゃないと私たち野宿になるわね」
「けど条件が結構限られるな…赤ん坊の夜泣きに耐えられ、かつ世話できて、冒険者OKの宿」
「……宿限定なのね」
「ガキ連れてる未成年の女が簡単に一人暮らし出来ると思うなよ」
「あっ、まだ居やがったですの!」
声に振り返れば、シェルが手紙を持ってこちらに来た。
「居やがったって……シェル、お前一応見た目は女なんだからよ……んでどーした」
「マスターが六に弱み握らせたいからこれ持ってけ言われたから来たのです!」
シェルがアンリに差し出したのは、ギルドからの紹介状だった。ちゃんとギルドの証も入っている。
裏にひっくり返すと、店の名前らしきものが書かれていた。
“悠々亭“
「げっ……ウイングスの親父の所かよ……」
「丁度良いのです。そこの親父の息子も冒険者ですの!それにお姉ちゃんと同い年ですの!」
「あらそうなの?興味あるわね」
「ま、俺も薄々はここしかないとは思ってたが…イヴァルの奴、後で呪う」
立てかけていた刀を持ち、六はアンリを見て言った。
「良いか、変なところ見せつけられてもツッコミは入れるな、入れるだけ無駄だから」
「おっさんみたいに下品に叫ばないわよ」
「………まぁいいか、行くぞー」
六の後を着いて行き、町の中央にやってきた。
目の前には、木造の建物………“悠々亭“
「ここは宿屋だけど、昼間は食いもん売ってるんだ」
「包丁、飛んでこないと良いのだけれど……」
「それはどう考えてもお前次第だな」
そう言いながら六は入ろうとして………何かに足を引っかけられて前のめりになった。
転ばなかったのは刀を杖にしているからだ。だがーーーー
「うおっ、誰が引っかかったかと思ったらおっさんかよ!」
「……こんな事すんのは……セストか!」
宿屋の二回の窓が開いた。
顔を覗かせたのは、赤い髪の毛を後ろに流した、活発な雰囲気を見せる少年だった。
と、上を見上げていたアンリと目が合う。
「ん?お前、新入り?」
「え、まぁギルドで言えば新入りになるけれど……」
「おぉ、そうかそうか!」
少年…セストは笑い、二階から飛び降りた。
アンリの隣に着地して……六の背中を押した。
「うごぉぁ!?」
「ははっ、おっさん鈍った?」
「んだとゴラァ!!」
「おおっとヤベェ、行くぞ!」
「え、え!?」
六が立ち上がったのを見て、セストはアンリの手を掴んで走り出した。
「ちょっ、あんた誰よ!」
「俺か?俺はセスト・ウイングス、宜しくな、新入り!」
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次回は……出来たらやりますが、無理だったら日曜日




