教えて!女神さま
長いので概略を纏めるとこうなる。
・言語は文法は日本語と同様、文字はアルファベットを多少崩したような35文字。
・発音が一番手間取ったが、大小さまざまな国や村で訛りがある為、厳密にする意味は無いとの事。
・通貨単位はソル。銅貨1枚が1ソルで、銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚。その後は大金貨、白金貨と続く。
・出現するのはコルパという街の傍の草原。
・ウィンガーベルドでは「ステータス」と念じる事で自身のステータスが見れる。
・何事か行動を起こす毎に、スキルを習得する。スキルは成長し、上位スキルの前提条件などにもなる。
・ウィンガーベルドに降り立った瞬間、そちらの神の加護を受け、ギフトを得られる。
・ギフトは特殊スキルとの言うべきもので、スキルの様に成長はしないが使用し続ける事で派生はする。
・何かしら行動によってギフトを後天的に身に付ける場合もある。
・ステータスは成人男性で概ね10前後が平均値。スキルは10がMAXだが、5を超えれば一流と呼ばれる。
・冒険者ギルドがあり、魔物が存在する。魔王的なものはいない。
・魔物はマナが結集して生まれ、生殖能力を有している為、殖える。
・魔物は倒すと魔石と「素材」を残して消滅する。
・「素材」はその魔物のアイデンティティのようなもので、必ず存在する。
・例として、ウサギ型だったら耳、武器を持ったものならその武器と、どこか体の一部。
大体こんな所か。他にも一般常識的な事は細かく聞いたが、特筆するほどではない。
「よし、これで灯魔さんが向こうに行っても大丈夫ですね」
「ふぅ~・・。疲れた・・」
最終確認としてテストを受けさせられていた俺は、思わず机に突っ伏して脱力した。
「向こうに行ったら、まずはステータスを閲覧、パラメータ・スキル・ギフトを確認するようにして下さいね」
「あぁ、解ってるよ」
それらは次元の狭間であるココでは確認する事が出来ず、ぶっつけ本番的に現地確認となっていた。
どうか低くないパラメータと、ハズレでないスキル・ギフトでありますように・・。
「では、そろそろお別れですね」
「あぁ、色々ありがとうございました」
席から立ち上がり、深々とお辞儀する。
「いえ、私に出来る事はこれくらいですから・・。次元の狭間に飲み込まれるなんていう事故に遭った方への、せめてもの償いですよ」
「事故、ね・・。ちなみに、こちらの世界に戻ってくる方法はウィンガーベルドにはあるんですか?」
「すいません、流石にそこまでは・・。ウィンガーベルドには魔法と呼ばれる物が数多く存在しますし、ひょっとしたら、としか・・」
「いえいえ、良いんです。そこまで期待した訳でもありませんし。では、そろそろ行きますね」
そういって、一点を見つめる。
そこには、この混沌とした世界の中にあって唯一確たるもの、亀裂がいつの間にやら存在していた。
「一応確認ですが、あれに飛び込めば向こうの世界なんですよね?」
「えぇ、そうです」
「では、行ってきます。色々お世話になりました」
再度頭を下げ、亀裂に向かって歩き出す。
「はい、頑張ってくださいね」
女神の声援を背中に、俺は次元の狭間を抜け出したーー。