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大切なものは  作者:
8/13

08 旅は道連れ?⑤

カイル視点②となります。

引き止めようとした領主一家を振り切り、魔力を感じた場所へイグナールと共に急ぐ。

その途中でこちらに血相抱えて走ってくるアズールの姿を認める。


「アズール!何があった!レイ様はどうした!?」


「あっ!カ、カイル様!!申し訳ございません。見失ってしまいました!!!!」


事情を聞こうにも慌てまくっているアズールの話では、どうしてなのか要領を得ない。


「イグナール!アズールを連れて宿に戻れ。落ち着かせたら、事情を聞け!

 私はレイ様を探す!!!!」


「カイル様、お待ちください!!闇雲に探しても時間を浪費するだけです。まずは状況を把握するためにもカイル様も宿にお戻りください!冷静さを欠いた貴方様ではレイ様をお探しすることは難しいかと存じます!!」


焦燥に駆られるが、イグナールの言にも一理あると思い、逸る気持ちを抑えて、宿に戻った。




宿に戻り、アズールを落ち着かせると、彼はぽつりぽつりと話し始めた。


「カイル様達が外出された後で、あいつ・・・レイ様が外出したいと言われました。駄目だと言ったのですが、1時間だけでも良いからと言われ、渋々外出しました。色々軒先を見ていたレイ様を見ている内に、段々と何の用事もないのに外出したいと言われたことと、・・・カイル様のお供が出来なかったことで苛々してしまい、つい、レイ様に当たってしまいました。

そうしたらレイ様から『うるさい』と。『なんであんた達の都合に振り回されなきゃいけない。いい加減にしろ』と怒鳴られた瞬間、風が舞い上がり、刃となって、俺に向かってきました・・・。

 駄目だと思った瞬間には風の刃は霧散し、事なきことを得たのですが、状況を把握できなくて呆然としているうちにレイ様のお姿が見えなくなり、探しておりました・・・」


アズールからは後悔が見て取れるが、今は彼よりもレイ様を見つけ出すことが先決だった。


「処分は追って言い渡す。まずはレイ様の御身の無事を確保する。アズールは残れ。イグナールは街の警備団にレイ様捜索の要請を」


「お、俺も探しに行きます。元はといえば俺が原因ですから!!!」


「お前が見つけたとしても、レイ様が素直に従ってくださるか分からん」


ぐっと押し黙ったアズールを一瞥し、イグナールに視線を向けると、


「では、警備団への要請をアズールにして、カイル様と私はそれぞれ捜索にあたりませんか?

 そうすれば、それだけ広範囲で探せます」


とイグナールが妥協策を提示し、アズールは縋る視線を向けてくる。

考え込んでいる暇はない為、それで良いと告げ、外に出ようとしたところで、イグナールから声が掛かる。


「カイル様。レイ様はいったいどういった方なのですか?極秘任務と聞いていましたから、今までかの方の素性をお尋ねすることは差し控えておりましたが、こういったことになってくるとお聞きしたほうが捜索が円滑に進むと考えております。かの方は魔術士なのですか・・・?」


「レイ様の素性は近いうちにお前達の知るところとなるだろう。だが、今はそのような詮索は無用だ。

 また、俺はあの方が魔術を使用されたことは見たことは無い」


「では、風の魔術を行使したのはレイ様ではないと・・・。そうお考えですか?しかしアズールの話を聞くと行使したのはレイ様で間違えないかと・・・」


「レイ様が魔術を使用できないとは言っていない。ただ俺は見たことがないと言っただけだ。行使できる可能性は高い。アズールの話どおりならば、行使できると考えて間違いないだろう」


「・・・・かしこまりました。では、それも考慮して捜索致します。ただ警備団にはその情報は伝えたほうがよろしいでしょうか?」


「いや・・・。魔術を行使できるかもしれないことは伝えるな。レイ様に注目が集まるのは良いことでない。単なる人探しと情報収集でいい」


「分かりました。・・・アズール、分かったな」


頷くアズールを見て、イグナールとも視線を合わせる。軽く頷いてからそれぞれ行動に移した。

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