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大切なものは  作者:
7/13

07 旅は道連れ?④

カイル視点となります。

時間としては06話の時・・・です。

本当に貴族というものは面倒くさい。と溜息がこぼれる。

隣には苦笑しているイグナールがいて、同感とばかりに頷いていた。



領主からの招待が来たのは、街について直ぐだった。

『お招きする準備は整っておりますので、是非城においでください』と拒否されるとは思っていない招待に呆れたが、隠密の為、招待は遠慮したいと伝え、使者にはお引取り願った。

しかし1時間も経たないうちに再度使者が訪れ、『では宿に領主自ら挨拶に伺いたい』との要望を伝えられた。使者を前にしてため息をつくことは出来ない。ぐっと堪えて、あまり人目には触れたくないため、こちらから城に伺う。ただ宿は城下に取ることは強調し、それでも良ければと返答すると、『明日にでも是非!!』との回答が来てしまった。


翌朝、レイ様にその旨を伝え、自分とイグナールで領主を訪問すること、護衛にアズールを残していくことを告げた。レイ様はアズールが護衛というところで、ちょっと困った顔をされたが、否やはなかった。


「では、行って参ります。なるべく早く戻るように致しますが、御身をお気をつけください」


そう、レイ様に伝えると、


「お気になさらないでください。どうぞお気をつけて」


と手を振ってくれた。ふっと今よりも幼いレイ様を思い出した。そういえば、あのころは怯えられていたが、出かける時にはそうやって見送ってくれていたな・・・。


「ありがとうございます。

 アズール、レイ様をしっかり護衛するように」


不承不承に頷くアズールに不安はあったが、部下として信頼していることを伝えるため、彼の肩を叩き、「頼む」と告げた。

アズールは城への護衛を強く希望していた。しかし貴族の対応に慣れているイグナールの方が物事が進みやすいと思った為、アズールを残すことを決めた。感情的になりやすい面があったが、それでも部下として信頼していた為、彼を護衛として残す。



領主からは過剰なほどの歓待を受けた。将軍を拝命している自分を招待できたことがよほど嬉しいらしい。そのうち領主の娘2人を紹介された時には隠密だと言っただろうと呆れてしまった。なんでこんなことに・・・と苦々しい思いでいっぱいだ。


「カイル様、うちの娘達はこの辺りでは春の女神とも謳われているのですよ!

 それはもう、王都のお嬢様方々にも引けをとりません!!」


領主は上機嫌に話し、上の娘(だろう)は媚を含んだ視線をこちらに投げかけてくる。

イグナールにはもう一人の娘が近寄っているのが見えるが、失礼がない程度の無関心な笑顔であしらっていて、苦笑する。

どこかで切り上げて戻らねば。そう思ったときだった。退出しようとイグナールに視線を向けたその時に・・・。



城下から一気に膨れ上がる魔力を感じ、慌てて席を立ち窓に近寄った。

イグナールも同じように窓から城下を見る。


「感じたか?」


「はい。これは風の魔術ですね。近くにアズールの魔力を感じます。これは・・・」


そう。感じた魔力の近くにアズールがいたのだ。これはどういうことだ。まさか、レイ様になにか・・・。


嫌な予感が胸を覆った。

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