03 旅立ち
アリア様に旅立ちの挨拶をし、働かせてもらっていたパン屋のジンに挨拶をし、部屋に帰ったのは夜も更けた時間だった。
明日も早いことだし、と早く寝ようとするが、なかなか寝付けず、結局眠ったのは明け方近くだったと思う。
しかし、習慣というものは怖い。パン屋での仕事が早い為、いつもどおりの時間に目が覚めてしまい。たいして眠れなかったと思ったが、仕方ないと諦め旅支度をした。
準備をし終わり、さてどうしようかと思ったところで、ノックが響く。
扉を開けるとそこには旅装束の将軍閣下がいた。
「準備はよろしいでしょうか」
「はい。ああ、すいませんがちょっと寄りたいところがあるのですが、いいでしょうか。
この部屋の鍵を大家さんに返したいんです」
「かしこまりました。では、どうぞ」
馬鹿丁寧な対応にため息が出そうになるが、ぐっとこらえて一緒に建物を出る。
そこには昨日彼と共に部屋に来た配下の他にもう1人いた。
「紹介致します。昨日私と一緒にお伺い致しましたアズール・ドレイク。そしてこっちがイグナール・レフォンヌと申します。私とこの2名にてお連れ致します」
「お世話になります。私はレイと申します」
彼、カイルが紹介する。ふーんと思いながら、私も挨拶し、ぺこっと頭を下げると、昨日部屋に来たアズールは不承不承というように、イグナールは人好きのする笑顔を浮かべながら頭を下げた。
それから4人でアリア様の家に行き、アーライ様に鍵を返すとともに、改めて今までのお礼を言った。
アーライ様は優しい笑顔で、「幸運をお祈り致します」と言ってくれた。
この状況で幸運なんて望めるのか・・・と思うが、優しい笑顔を見ていると頑張ろうと思えた。