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大切なものは  作者:
2/13

02 旅立ち前夜

彼の迎えを了承した後、すぐにでもと行動を起こそうとした彼に1日だけ時間が欲しい旨を伝え、渋々ではあるが、了承してもらった。

・・・彼の配下には睨まれてしまったが。


彼らが去った後、ため息をついて家の整理を始める。

すぐ解放されればよいか、長期間にわたって拘束される場合もある。もしくは殺されるか。

そんなことを考えながら整理をし、旅の支度をする。

物はたいしてない為、すぐに終わる。

一年半暮らした部屋を見回した後、部屋を出る。

夕方近くで人が多くなっていたこと、将軍を拝命しているお偉い方が来たこと、そして彼の配下が怒鳴ったためだろう。少なくない人がこちらを伺っていた。

またもやため息がでる。話しかけるなオーラを発しながら、人ごみを抜ける。

行き先は大家さんの家だ。

私の部屋がある建物より2軒先に大家であるアリア様の家がある。

玄関でノックをすると年配の男性が顔を出した。アリア様のお世話役、アーライ様だ。

アーライ様は私の顔を見て苦笑し、応接間へ通してくれた。


少し待っていると、車椅子に座った年配の女性が姿を現した。

私の家主であり、恩人でもあるアリア様だ。アリア様もアーライ様と同じように私の顔をみて苦笑した後、椅子を勧めた。


「で、いつ行くの?」


挨拶する間もなく、決定事項のように言われ、さらに膨れっ面になった私だが、はぁっとため息をついた後、明日出立すること、部屋にあるものは好きなように処分して欲しい旨を伝えた。


「あら、帰ってこれないのかしら」


「分かりません。あれから3年も経っています。いまさら私をどうするつもりなのか検討もつかないので」


「それでいいの?まぁ、あなたがそれでいいのなら私はかまわないけど」


「お世話になっておきながら、恩も返せず、大変申し訳ありませんが・・・」


「別に楽しかったからいいわ。あなたにはほーんとに楽しませてもらったわ」


頭を下げているとくすくす笑い声が聞こえ、いわれた言葉に冷や汗をかいた。


「では、これは私からの餞別よ。受け取ってくれないかしら」


アーライ様より受け取ったものは碧い石、レイルのペンダントだ。レイルは魔石といわれる物で価値の高いものだ。そんな高価なものは受け取れないと断ろうとすると、


「たいした価値はないものよ。でもあなたを守ってくれるわ。私の心配を少しでも減らすと思って受け取ってくれないかしら?」


と首をちょこんと傾げながら言われてしまった。そんなこと言われたら断れないじゃないかー!と心の中で叫びながら、


「・・・・ありがとうございます。大事にします」


受け取った瞬間、一瞬光ったような気がしたのは気のせいだろうか・・・?




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