12 旅は道連れ?⑨
大変おそくなり、申し訳ありません。
今年もよろしくお願いします。
いきなりの轟音に私の意識は一時停止してしまったみたいだ。
それは会場にいた人を人とも思わないような人でなしの紳士・淑女の方々も同じだったみたいだ。
だが、我に返った人々は我先にと出口へと向かう。他の人などお構いなし。むしろ邪魔だと言いだけな行動はさすが人でなしだ。
さながら阿鼻叫喚の世界の中、私はぼーーーーとそれを眺めていた。
そんな混乱のさなか、開いた穴から制服をきた人々が突入し、出口に群がる人々を捕獲していく。
離せ!、無礼な!、おとなしくしろ!などの怒鳴り声や叫び声が飛び交う中、私を捕らえていた鎖がガチャっとはずされた。
はえっっと周りを見渡せば、ゼスがにやっと笑っていた。
「なにのんびりしてんだぁ~?ぼやっとしてると怪我するぞー」
なに?なんで鎖を外せるの?なんでそんな落ち着いていられるの?
あれ??これは私が起こした騒動ではないってことか・・・????
ぽけっとしながら、ゼスをただただ見つめるだけだった私の様子がそんなに面白かったのか、
「大丈夫かー?あいつらは以前から目をつけられていたんだよ。最近、派手な行動が多かったんだけど、なかなか尻尾がつかめなくてな。ちょいとあせってたんだよなー」
にやにやしながら私の腕を引き、立ち上がらせる。
「・・・・こうなることを知ってたの?てか、あの制服のおにーさん達のお仲間ってこと?」
「お仲間ってかー。まあ、今回は手を貸してあげったつー感じかなー。俺は内部情報を伝えるってことだけだから、このあとの面倒くさいことに関わるのは勘弁なんだよ。お前は?逃げるっつーなら途中まで連れてってやるけど?」
ふむ・・・。なんか釈然としないことが多いが、はっきり言って私も面倒臭いことは御免だ。
ただでさえ、お城に連れて行かれるなんて面倒・・・・・。あ、忘れてたなー。
逃げちゃ駄目かなー。駄目だよなー。見つかったら怒られちゃうよな。怒られるだけですむかなー。
色々考えたけど、面倒になってきた。
「いや、いーよ。自分で適当に逃げる。あ、いや、ここかどこか分からないかー。じゃあ、分かることまで連れて行ってもらっていいかな?場所が分かれば自分でなんとかする」
「ふーん。いいぜ、それでも。じゃあ、移動すっか。いつまでもここにいるわけにはいかないしな」
あ・・・、そういやまだ騒動は収まってないデスネ。なのにこんなにのんびりしてるのは良くないよねー。
もちろんゼスの意見に全面賛成だ。裏口から抜けるつもりらしい彼の後を追って小走りになった途端、
ゼスが止まり、彼の背中に鼻をしたたかに打ちつけた。うう、低い鼻がさらに低くなってしまうー。
抗議しようとしたが、ゼスに横に突き飛ばされてしまい、今度は身体を床に打ち付ける羽目になってしまった。
なんだよー。私が何したんだよー。泣いちゃうぞー!!と顔を上げた先では、ゼスと向かいあっている一人の男・・・。
ヒキガエルもどきの醜男の後ろに控えてたオジさんだった。