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その1 

二話以降どういう展開にするか、考えていません。

ホントにノリと勢いだけで書きました。後のことはその時になってから考えようってヤツです。


※この物語は完結しない可能性があります。


ってヤツです。



それでも許せるという方のみどうぞ。

 間神恭司。私のクラスメイト。

 アイツのことを知ったのは席替えで偶然席が隣同士になった時だった。それまでは名前だけは知っているただのクラスメイトって感じで特別意識することもなかった。席替えでアイツは窓際の列の最後尾の席に、私はその隣になった。でもその時はお互い挨拶すらせず、仲良くなるつもりだってまったくなかった。

 アイツは授業中も休み時間もずっと窓の外ばかり眺めていて、教室内には見向きもしない。興味ありませんってオーラを出しまくってる。たまに教師がアイツを名指しして質問に答えさせることもあるけど、やる気なさそうな声でさらっと答えを出して、また窓の外に眼を向ける。授業を聞かなくても問題が解けることを他人に自慢することもない。ただ、興味なさそうにしているくせに、教師に当てられた後ちょっとの間は窓ガラスに映るアイツの顔の眉間に縦じわが刻まれる。それがなんだが拗ねている小学生みたいに思えて、アイツのことを可愛いなんて思ってしまったのは誰にも話すつもりはない秘密だ。ホントあの時の私はどうかしてた。血迷っていただけだ。

 ……話が逸れた。

 とにかくアイツは意味不明なヤツなのだ。

 アイツくらいの成績があればもっとレベルの高い学校に行けばいいのに、ほとんどなんの取り柄もないような三流の高校に通っている。ウチの高校は部活関係でもそれほど強豪校というわけでもないし、アイツが部活をやりにここに通ってるって印象はない。そもそも部活に入っていれば休み時間に話をする友達の一人や二人くらいいるだろう。

 つまり、間神恭司はそういう人間なのだ。誰とも関わろうとしない天才くん。それがアイツのクラスでの印象だった。

 だから当然のようにアイツはクラスで孤立している。

 女子からは、変な人だとか、お高く留まってるとか、感じが悪いとか、そういう風に思われている。男子の事情は……よく知らない。だってそんなことを話すような男友達いないし。でもアイツが孤立しているってことは男子も大体女子と同じようなものなんだと思う。

 努力しないってことはそれ自体が罪だ。だって怠惰は罪でしょ? 罪の代償ってのは自分で払わないといけない。だからアイツが孤立していることは友達を作る努力をしなかった罪の代償であって、なんら同情する余地はない。むしろアイツ自身が孤立することを望んでいる節があるんじゃないかって思う。

 だから私は、たとえ席が隣になったとしても関わるつもりはなかった。まして話しかけるつもりも。別にアイツのことが嫌いってわけじゃなかった。私は周りに流されてアイツを無視した。

 嫌いじゃなかった。でも好きでもない。どっちかって言うと「嫌い」に近かったと思う。でも、別に嫌いってわけじゃなかったよ。……うん。アイツがまともな社交性を持ってくれていれば……そこそこ好きになっていたと思う。「そこそこ」は、だけどね。だって血迷ったとはいえ、一度は可愛いと思ってしまったわけだし。

 ……でも。

『嫌いじゃなかった』

 過去形、ね。

 今。ついさっき。その事実が変わった。私はアイツを嫌いになった。

 振ったのだ。アイツは。私の目の前で。私の親友を。来嶋律子を。りっちゃんを。最悪の方法で。りっちゃんを傷つける言葉で。振ったのだ。

 りっちゃんは最初肩を震わせていたけど、たぶんアイツの前にいるのが辛くなったのだろう、走って逃げてしまった。私は追いかけようとしたけど、足が動かなかった。私の心を支配していたのはりっちゃんへの心配ではなく、すぐそこにいる間神への怒りだった。

 りっちゃんが走っていった後に残った、ドーンという屋上の扉が閉まる音。長く伸びる音が、私を嘲笑っているみたいで異様に気に障る。今すぐ駆けていって、扉を蹴って蹴って蹴り倒したいくらいだ。

 でも私が蹴り倒すべきは扉なんかじゃない。

 八つ当たりは身体が痛いだけだ。元凶に当たるのは、心が痛いだろうけど。それでも、まだマシ。

 私は間神を睨む。でも間神は私のことなんて眼中になくて、りっちゃんに向けたひどい言葉なんて忘れているかのように、グラウンドで練習をしてる運動部の連中とか校舎の外周をぐるっと一周囲うように植えられている背の高い木とかその向こうのちょっと赤色に染まりかけた青空とか、そんなどうでもいいものを無表情で眺めている。

『君が俺を好きなのは分かった。でも俺は君のことが嫌いなんだ』

 間神は即答した。『俺に近寄らないでくれ。迷惑なんだよ』

 分かっていた、間神がこういうヤツだって。

 間神が好きなのだとりっちゃんに相談を受けたとき、もちろん反対した。アイツは他人と関わりたがっていないから、やめといた方がいい。それに万が一間神と付き合うようになったりしたら、りっちゃんまでクラスで孤立させられるかもしれない、って。

 私に反対されても、りっちゃんは自分の意見を変えようとはしなかった。

 その強い意志に安っぽい感動を覚えて、応援すると言ってしまったのがそもそもの間違いだったのだろう。最後まで反対していれば、こうもモヤモヤした気分になることはきっとなかった。

 今思えば、私たち二人は恋愛というものに酔っていたのかもしれない。報われない恋だと分かっていても、恋そのものに酔わされていた私たちは後先考えずに行動して、こうなった。自業自得だ。

 りっちゃんだって叶うことのない恋だって自覚していたはずだ。それで告白して、玉砕して、逃げ出して。

 結果なんて初めから予想できていたのにどうして逃げるのだ、と。私のモヤモヤはりっちゃんに対する苛立ちでもある。せめて引っ叩くことくらいして、「あんたなんてこっちから願い下げよ」とか、無理に強がってから逃げればこんなに惨めな気持ちになることもなかっただろうに。

 ……親友が振られただけなのにどうして私がここまでモヤモヤしなきゃいけないのって気持ちもある。それも含めてモヤモヤ。なんだか自分の気持ちに整理がつかない。

 とにかく今は無神経なことを言った間神にモヤモヤをぶつけよう。そうすればきっとモヤモヤも晴れるはず。

 男子に喧嘩で勝てるとは思えないから、まずは口で。どうしても耐えられなくなったらボコボコにされるの覚悟で殴りかかろう。うん、その後のことはその時になってから考えよう。

 両脚を肩幅に開いて、しっかりと屋上の床を踏みしめる。ジャリと靴に踏まれた砂が音を立てる。間神を睨んで、お腹に力を入れる。

「間神!」叫ぶ。

 これから口論をするだけでいきなり殴りかかるというわけでもないのに、両の拳をぐっと握りしめて臨戦態勢を取ってしまっていた。

 間神が首だけで振り返り、私を見た。

 ――怖っ!!

 竦みそうになった。男子に本気で睨まれたのはこれが初めての機会だと思う。

 ぶっちゃけ相当機嫌悪そう。実際に自分に向けられる眉間の縦じわは、窓ガラスに映ったものと威力が段違いだった。殺気とかオーラとか、そういう目に見えないものはガラスではあんまり反射されないらしい。

 正直に言えば、速攻で「なんでもない」って言い捨てて帰りたい。

 でも怖気づいて逃げ出したりなんてしたら、帰ってからさらにモヤモヤすることになる。それはもっと嫌だ。

「ま、間神……」

「なんか用か?」

「……え、えっと、用っていうか、その、さっきの……」

「さっき?」

 ごめんなさい、怖すぎです。取り敢えず眉間のしわが冗談じゃなく怖いです。伸ばしてください、横に、ビヨーンと。声色は別に怒っているって感じじゃないんだけど、表情だけはすごく怒ってる。結局どっちなのか分かんない。

「さっきって、告白のことか?」

「あっ、うん……」

「それがどうかしたのか。俺は自分の気持ちを正直に言っただけだろ」

「で、でも、他にもっと言い方があったんじゃないかなって……」

「―――で?」

「えっ?」

「それで、お前はなにが言いたい? 今からもう一度、懇切丁寧に振り直して来いって言いたいのか?」

「………」

 自分でも、自分がなにを言いたいのかよく分からない。だから質問には答えられない。私の中には、とにかく間神と口論で言い負かしてモヤモヤを晴らしたいという気持ちしかなくて、具体的になにを言うのかなんて決めていなかった。

「俺に文句を言いたかっただけか?」

 間神の言うとおりかもしれない。

「用がそれだけならさっさと消えてくれ。邪魔だ」

「で、でも」

「もう一度言う」間神は身体をこちらに向けて、改めて私を睨む。「邪魔だ。俺を独りにしてくれ」

 なにも、言えなかった。なにを言うべきか、頭をフル回転させて考えるけど、間神の怖さがそれを妨害して、結局全部空回りに終わる。

 どうしよう、どうしよう、どうしよう。そうやって、答えることのできない疑問を繰り返すだけ。行動を起こせない。

「はぁ」と間神がため息を吐いて、私から視線を外す。

「……それにお前がどうこう言う問題じゃないだろ、告白って。これは俺とあいつ……名前出てこねぇけど、とにかくあの女子、俺ら二人の問題だろ?」

 確かにそう。間神の言うとおり。ここは私の出る幕じゃない。二人だけの問題だ。私は場違い。もともと、りっちゃんの告白に付き合う気もなかった。でもりっちゃんがどうしてもって言うから仕方なく付いてきたのだ。本来、私はここにいるべきじゃない人間。口出しする資格はない。屋上に残ることなんかせずに、りっちゃんを追いかければよかったんだ。間神の言っていることは正論で、だから私はきっと言い負かせない。

 ――でも。

 それでも。

『名前出てこねぇけど』

 間神の言葉が蘇る。

『名前出てこねぇけど』

 リフレイン。

『あいつ……名前出てこねぇけど』

「………」

『名前出てこねぇ』『名前出てこねぇ』『あいつ……名前出てこねぇ』

 間神は悪びれもせず、そう言った。自分に好意を寄せているクラスメイトの名前さえ思い出すことができないと。

 私の親友の名前、りっちゃんの名前を、思い出せないって言った。

「……なんで」

 気持ちを整理できない。別に怒ることじゃない。ここは呆れる場面だ。間神がこんなヤツだってこと、分かってたはずだ。それを改めて確認しただけ。間神がりっちゃんの名前を知っている方がおかしい。クラスメイトに興味のないヤツが名前をわざわざ覚えるわけがない。

「……なんで」

 理性では納得していても、感情を納得させることはできないみたい。胸の中のモヤモヤしたモノがトゲトゲしく変わって。私を突き破って溢れそうだ。

「……なんで」

 物に八つ当たりするのは身体が痛くて、人に八つ当たりするのはきっと心が痛い。でも抑えられない――。

「なんで……なんで、間神はりっちゃんの名前覚えてないのよ!」

 そして、溢れ出す。

 間神はもう一度視線を私に向けて、目を見開いた。

「お、おい、お前……」

「なによ! 間神がりっちゃんの名前覚えていないのが悪いんでしょ!」

「……どうして、お前が――泣くんだよ?」

 感情が溢れ出す。それは口から言葉として、目から涙として。止め処なく。

「しょうがないじゃない! 勝手に出てくるのよ! 全部間神のせいなんだから!」

「意味分かんねぇ。普通、泣くのは『りっちゃん』ってヤツだろ。どうしてお前が……?」

「知らないそんなの。私も分かんないんだから!」

 クラスメイトの前で涙を流しているという恥ずかしさは、この感情を押し留めるには不十分だったみたいだ。

 制服の袖でごしごしと目元を拭う。けれど後から後から涙が溢れてきて、一向に止まる気配がない。視界は常にぼやけっぱなしだ。

 間神を睨む。ちゃんと目を見れているのかすら怪しい。微妙にずれた場所を睨んでいるようなら失笑ものだ。

 間神の表情はまったく分からない。でもどこにいるのかくらいなら分かる。それくらいなら余裕だ。

 だから私は全力で走り出す。間神に向かって。

「え? ちょっとお前どうし――」

 どん、と肩に衝撃。ぶつかったモノに抱きついて、勢い殺さず押し倒す。どん、と再びの衝撃。制服の前面を掴んでいた手を間神の背中に回して、ぎゅっと絞めるように抱きつく。ジャリと地面の砂が手の甲を擦って痛むが、意識の外に追い出し、間神を逃すまいと身体を押し付ける。

 クラスメイトを押し倒して胸を押し付けているなんて事実は忘れるしかない。この際、もうどうにでもなれだ。こんなところを誰かに見られたら噂を立てられて悶絶すること間違いなしだが、その時のことはその時になってから考えるとして、とにかく今は間神を逃がさないことが最優先だ。

 強く抱きしめて間神の制服で涙を拭う。……ざらざらして痛い。

「痛っててて」

 顔を上げると、間神は咄嗟に頭を庇っていたのだろう、両手の平を後頭部に添えて腹筋でもするような姿勢で顔をゆがめていた。

「はぁぁー」間神が深く息をはく。「背中痛ぇー」

 私は手に力を込める。

「いっ、痛い痛い、痛いからや、やめろって」

「逃げない?」

「ああ、約束する、約束するからっ」

 力を緩める。また視界が滲んできたため、制服にごしごし顔を擦りつける。やっぱり痛い。

「おい、お前どこで涙拭いてんだ」

「まはみほへいふふ」

「顔上げてしゃべれ。なに言ってるか分からん」

「……やだ」

 口をちょっとだけ上げて答える。今になって泣き顔をクラスメイトに見られるという羞恥が威力を発揮してきた。

「なんで」

「だって……はふはひーし」結局途中から口を制服につけてしゃべってしまった。しょうがないじゃん。だって恥ずかしいんだよ。もう無理。恥ずかしすぎて死ねる。どうか誰も屋上に来ませんように。

 だってなに、この状況。泣きながらクラスメイト押し倒してるって。どういうシチュエーションなの!?

「言ってること、意味分からんし」

 はぁ、とため息を吐きながら、間神が後頭部に添えていた手を離して腕を左右に伸ばしているのを視界の端で捉えた。そっと顔を上げて上目遣いで様子を窺ってみる。間神は真上に広がる空を見上げ、両腕を投げ出していた。抵抗する様子は見られない。

「女は感情で動く生き物って聞いたことあるけど、本当だったな」

 しみじみとした呟き。思わず、顔をぱっと上げていた。

「そんなこと……っ!」

 間神と目が合った。すぐに顔を伏せる。涙はちゃんと拭いたけど、きっと赤くなってる目元を見られた。やばい、恥ずかしい。

「………ない、もん」

 声は小さかった。否定してみたものの、今までの自分の行動を省みれば、どちらの言い分が正しいかなんて考えるまでもない。

「で、これから俺はなにをされるんだ? 泣きながら俺を押し倒して。本日二度目の告白タイムでもやるつもりか?」

 私は質問には答えず、間神の背中に回した腕に力を込める。

「いっ、いででで。ギブギブ、ギブだから。分かったもう冗談は言わないから」

 力を緩める。「分かったなら、いい。絶対、逃げちゃダメだよ」

「逃げねぇって」

「抵抗もダメ」

「分かってる」

「もし抵抗するようなら……」

「そんな心配しなくても大丈夫だって。俺は泣いている女に手ぇ出すようなところまで腐った覚えはねぇよ」

「……抵抗するなら、悲鳴上げて間神に襲われたって言いふらす」

「……………頼むからそれだけはやめてくれ」

「分かった」

「それで、お前は俺になにをしてほしいんだ?」

「………」

「まさか、考えてないとか言うなよ?」

 その通りだけど、認めるのはなんか癪だ。

「べ、別に考えてなかったわけじゃないし。ちょっと、そう、ちょっとだけド忘れしてるだけなんだから。待って、すぐ思い出すから」

 考えろ。考えろ、私。私の目的はなんだ? なにを間神にやらせれば気が済む? 絶対考えてなかっただろ、とか空耳が聞こえたから、腕に力を込めて黙らせておいた。……どうすればいいんだろう。できれば私も早くこんな体勢から解放されたい。だって今この瞬間も、屋上に誰かが入ってきて抱き合っている私たちの格好を目撃される可能性があるのだ。りっちゃんがここに帰ってきて私たちを目撃するなんてことがあったら目も当てられない。絶交の危機だ。

「なぁ、いい加減に決まったか?」

「まだ考え………思い出し中」

「素直に認め――ぐっ」

 照れ隠しについつい絞めてしまったのは仕方がないことだと思います。

 ……はぁ。それにしてもどうしよう、この状況。今更なにをさせるか考えるなんておかしいよね?

 正直に言うと、間神を押し倒して屈服させて主導権を奪っちゃった時点でモヤモヤは晴れちゃってるんだよね。よくあるじゃん。泣いたらすっきりしたってヤツ。あれだよ、あれ。

 でもこのまま間神を解放するってのもなんか馬鹿みたいだし。

 ……………。

 よし。決めた。

「間神、起きてる?」

 さっきから身動きしていない。眠っているんじゃないかと疑ってみる。クラスメイトの女子に抱きつかれながら眠れるほど神経が図太いとは思えないけど。

「……お前に殺された」

 そーですかー。

「思い出したから。よく聞くこと」

「お前こそ、よく聞こえるように人の顔見て話したらどうだ?」

 やだよ、恥ずかしい。

 額をぐりぐりと間神の制服に擦りつけて、顔を上げる気がないことの意思表示。

「命令一つ目。りっちゃんに誠心誠意謝ること。二つ目、りっちゃんと友達になること。三つ目、りっちゃんを振った理由を私にちゃんと説明すること。四つ目、私とメルアド交換」

「……思い出したものにしては、多すぎるだろ」

「どうでもいいのっ! で、どうするの。イエスかノーか」

「……ノーとは言わせてくれないんだろ?」

「もちろん」

「『りっちゃん』に謝るってヤツだけで妥協しない?」

「ダメ」

「メルアド交換も付けるから」

「ダメ」

「駅前のパフェ奢るから」

「……………ダメ」

 不覚にも決意が揺らぎそうになってしまった。ダメだダメだ、私。気をしっかり持て。いくら今月のおサイフ事情が厳しいとはいえ、りっちゃんの幸せに勝るものなんてない。

「パフェ三回」

「ダメ」

「パフェ五回」

「ダメダメダメ。何回でもダメなの」

「……ホントにダメか?」

「うん。全部じゃないとダメ」

 そうじゃないと私の『りっちゃんと間神をくっつけちゃおう計画』が台無しになってしまう。この計画は、取り敢えず二人を友人の距離から始めさせておいて、私が間に入って仲を取り持つことによって、間神のほうもいつの間にかりっちゃんを好きになっていた、みたいなシチュエーションを作るという計画だ。さっき考えた。具体的なことはそのうち考える予定だ。

「……はぁ、仕方ねぇな」

 姑息な手を使って私を惑わせようとしていた間神もやっと決心がついたみたい。

「お前のお遊びに付き合ってや――ぐっ」

 恰好つけようとしてたから取り敢えず絞めておいた。……でもこういうところとか、やっぱ普通の男の子なんだなーって改めて思う。ちょっと子供っぽい気もするけど。

 ……別に可愛いな、なんて思ったわけじゃない。

 私、間神のことは嫌いになったんだから。

 でもりっちゃんは間神のことが好きだから、仕方なく付き合うのだ。

 そう、仕方なく。

ここまで読んでくださった心の広い方、ありがとうございます。


よければ感想とかお願いします。一言でもいいです。

それと、できれば続きが読みたいなーと思った方、もしいましたら感想にて作者にその旨をお伝え下さい。頑張って続きを考えてみます。

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