第15話 終わりと始まり
ガキィン!
「くっ!」
「うるあ!!」
刀で拳をガードするが相手の力が俺の力を遥かに上回っていたため俺の体はぶっ飛んだ。
ドゴォン!
「ぐっ....!!」
「はぁ、はぁ。」
「所詮はこの程度。」
「雑魚がでしゃばるからだ。」
「見逃してやる。」
「......!!」
「お前みたいな雑魚の相手している暇はない。」
犯罪者が後ろを向き歩き出す。
(諦めるな....)
俺はほんの少しのチャンスを待っていた。
(この世の生物は勝利を確信した時に隙が出来る.....)
「はぁ...!はぁ...!」
俺は刀に力を込める。
(この一撃に全てを込める。)
ジャリッ
俺は眼を瞑った。
(足に力を込める....)
グググッ
(息を整えて....)
スゥー...
(斬る!)
トッ!
俺は一瞬で犯罪者と距離を詰めた。
犯罪者はすんでのところで気づいた。
だが、気づくのが遅すぎた。
仙の刀が犯罪者の首を切り裂く!
.....はずだった。
バキィン!
「!!」
今までの戦いで犯罪者の攻撃を殆ど刀で受けていたのだ。
その結果、刀の耐久値が減り限界が来てしまったのだ。
「.....最後の一撃は良かったぞ。」
「もし、その刃が折れていなければ......」
「俺は負けていた。」
「運が悪かったな。」
「.....運じゃない。」
「.........」
「俺が弱かったから....俺の判断が間違っていたからこうなった。」
「負けた理由は運じゃない。」
「単なる俺の実力不足だ。」
「....完敗だな。」
「....やれ。」
「わかった。」
「言い残すことはあるか?」
ピロンッ
不意にスマホの着信音がなった。
メッセージにはこう書かれていた。
.....うそつき
「....ふっ、はははは!」
俺は満面の笑みでこう言った。
「満足だ。」
「......そうか。」
俺は目を閉じた。
直後、体全体に激痛が走り何も感じなくなった。
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(う.....ん....)
(ここは....?)
意識が戻るとそこは見たことのない場所だった。
赤い月に黒い空。
黒い雨も降っている。
地面には骨や黒い花。
白い花もある。
そして周りには様々な色の人魂のようなものがふわふわと漂っていた。
(....此処はあの世か。)
(ただ...彼岸花は咲いていないんだな。)
あの世といえば彼岸花というイメージがあったのでそれはそれで新鮮な気持ちになった。
(この雨....止みそうにないな。)
(まぁ、雨は嫌いじゃないから良いけど...)
(.....!!)
バッ
(何か来る!)
俺は構えに入ったが、刀を持っていなかった。
(あれ.....これ詰んだ?)
「おい。」
(うお!?)
俺の目の前には俺の身長を優に超える大きな鬼がいた。
「お前が高島仙だな?」
(なんで俺の名前を....?)
「閻魔大王様からお前の事を聞いている。」
(閻魔....?)
「ついて来い。」
鬼は歩き出す。
俺はこの世界のことをよく知らないのでとりあえずついて行ったのであった。
つづく