第12話 不穏な予感
「とりあえずこれからどうする?」
「そういえば何も決めてなかったな。」
「だったら映画見に行こうぜ!」
「映画?」
「おう!」
「映画のタイトルは〜!!」
「天下灯籠だ〜!!」
「少しだけ静かにしてくれるか?」
「あっははは、わるいわるいついな。」
「天下無双って確か大昔の侍の戦いの後を描いた物語だよね。」
「わかるのか...」
「クラスメイトが天下灯籠の話をしていたのを聴いてただけ。」
「僕はそれで良いよ。」
「私も。」
「どちらでも。」
「よし!決定だな。」
「それじゃあ今から行くぞ!」
「その前にもう昼飯時だ。」
「何か食いたい。」
「私もお腹すいた。」
「僕はおにぎり2個食べたからまだ平気。」
「うーん....」
「わかった。では先に昼飯にしよう。」
「何か食いたいものはあるか?」
「.......」
俺は黙った。
なぜなら食べたいもの無かったからだ。
「みんな食べたいものない?」
「それなら私オムライスが食べたい。」
「オムライス?」
「うん。」
(なかなか良いチョイスだな。)
「みんなは他に食べたいものはあるか?」
「なし。」
「僕も。」
「じゃあオムライスを食べに行こう。」
「....ありがとう。」
かくして俺たちはオムライス専門店「オムオム」
に着いたのであった。
「おお....!」
(すごいな...オムライスってこんなに種類があったんだ。)
「仙はどうするんだ?」
「俺はハヤシオムライスにする。」
「そうか...なら俺もハヤシオムライスにするか。」
「式はどうするの?」
「僕はジンジャエールで充分だ。」
「そっか。」
「そういう結衣はなににするんだ?」
「ホワイトソースがかかってるオムライスにする。」
「いいね。」
「すいませーん!」
「ご注文の品はお決まりでしょうか?」
「えーと...ハヤシオムライス2つと。」
「ジンジャエール1つ。」
「ホワイトソースオムライス1つで。」
「ご注文ありがとうございます。」
「ハヤシオムライスが2つ、ジンジャエール1つ、ホワイトソースオムライスが1つ。」
「以上でよろしいでしょうか。」
「はい。」
「それでは少々お待ち下さい。」
店員はすぐさま厨房に入って行った。
「ふぅ。」
「......」
「.......」
「.......」
しばらく沈黙が続いた。
みんなスマホや本を読んでいる。
「そういえば...」
「ここら辺で最近事件が起きたみたい。」
「事件?」
「うん。」
「10代の女性が誘拐されたんだって。」
「.....」
「確か...ニュースでも放送していたな。」
「いや、多分それ行方不明のやつだから。」
「え!?そうなのか!?」
「そりゃそうだよ。」
「放送規制があるんだから。」
「うーんそうだったのか。」
「もしその事件があったなら帰り道とか気をつけた方が良さそうだな。」
「うん。」
「何時にさらわれたのかとかわかるのか?」
「えっと....午後5時に三九流川の河原でさらわれたみたい。」
「なるほどな...」
(もし仮に巻き込まれるとしても絶対に守り切る。)
俺はそう固く決意したのであった。