エピローグ
ある文献には初代オローナ公、ルーセル・アルカヌムの妻に関して、『英雄である彼に神が応え、天から舞い降りた女神』と記されている。
彼に関する文献は多数残っているが、彼の妻とさせる女性の記載は他にはない。
何より彼の私生活は謎に満ちており、歴史家達はこぞってそれを解明しようと躍起になっている。
大戦により多くの書物が消失したせいか、彼が生きた時代には不明な点が多い。
いきなり現れた勇者、行方不明の聖女、そして歴史上初めて未婚の身で国を納めた女王の突然の死──、いくつもの謎が何百年の時を経て人々の心をくすぐり、それを題材とした創作物も人気を博している。
中でも整った容姿として有名な初代オローナ公は女性にも人気が高い。
その為、彼の人となりやロマンスなども注目されているが、手記さえも残っていない彼に関する話は極端に限られていた。
彼が結婚し子孫を残した事は間違いないが、その妻に関する記載はほとんどない。
残っているのは、初代オローナ公とその妻と思われる女性が描かれた肖像画のみ。
その女性は飴色の美しい髪をしていたが、当時としては珍しい短めのその髪を色のはっきりしない簡素な髪飾りで一つにまとめ、ソファに座ってこちらを意思の強そうな目で見据えていた。
初代オローナ公と思われる男性も同じくソファに腰をかけていたが、その瞳はひたすらにその女性に向けられていた。
貴族の夫婦の絵としては珍しいその構図もまたしても人々の憶測を呼び、今もなお人々の関心を集めている。
これにて物語は完結となります。
エピローグは蛇足かなと思いながら、でもスッキリすよなと思って書きました。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。




