孤児転生その2
8 孤児転生-2
不自然っていうのは、ガリガリに痩せてなくて身形が綺麗で孤児院に入ってからは何かを探す仕草をして、この女しか相手しない、って事。ほら不自然。
シスターナタリエが、本当に弱い子達を奴等に気づかれないように他所へ匿ってくれたお陰で死者は一人も出なかったのが救いである。裏を返せば、今残ってる子どもは私含めて全員小賢しいって事に……うん、まぁ、よしとしよう。
それに奴等は、金髪の私を虐めて追い出そうと躍起になっていたから、私が囮になったとも言えるんだけどね!ブライトン神官が死に関わりそうないじめを予め回避してくれたお陰で、ちまちましたやつしかなかったよ!
……私転生してもこんなんかぁーって遠い目をした。
シスターナタリエが持っていた鈴を鳴らすと、この場に現れた神殿騎士4人。リーダーっぽいのが私含めた子達とシスターナタリエを保護し、後の3人で勘違い女とその手下の子ども(後に調査した結果、女の家の使用人の子達と発覚した)を捕縛。
王都の教会へと連行していった。
シスターナタリエに深く頭を下げた後、私の方をチラ見したリーダーっぽい神殿騎士も後に続いて孤児院を出た。
「もう少し泳がせるのかと思いました」
「騎士様にもそう言われたのですが、のっぴきならない事情があって早めてもらったのです……今までよく耐えられましたね、クレア……本当にありがとう、そしてごめんなさい」
「シスター…」
シスターナタリエ、いやもうあの見習いはいなくなったんだからシスター呼びに戻そう。見習いとはいえ、あの女をシスターと呼ぶことに最後まで抵抗していたわたくし。
シスターは涙ぐみながら私を抱きしめる。
特別優しいお人好しな性格という事でもなく、これがこの人の演技じゃないのも分かってはいるが、泣かれるとは思わなかった。
……違う、この人は"良い人"なんだ。
門前に捨てられた赤子という訳でなく、誰かに連れて来られた子でもなく、自主的に門を叩いて居座った私を、他の子と同様に慈しみ教育し平等に愛を注いだ、普通の大人の女性。
何故シスターが、"シスター"になったのか知らないが、前世にこういう大人がいたら、私はどうなっていたのかなんて、ふと思ってしまった。
「……グスッ、貴女にお話しなければならない事があります…いえ箒の事では、また壊したのですか?…いえ、そうではなく…いえ、シスターベロニカの横領でもなく、待ってください。それは初めて聞いたのですが」
勘違い女が寄付金をちょろまかしてシスターがいない時に遊び呆けていた話でもないとすると…じゃあ何だろう。勘違い女がシスター不在時に、シスターのベッドで村の若い男とまぐわっていた事?これも違う?えー、勘違い女の手下の子が老犬をどこからか攫ってきて暴行しようとしたから、落とし穴に落として犬の糞まみれにさせたこと?
「……」
「?」
「「「……(クレアはこれ以上喋らない方がいいと思う)」」」
なんか心なしか、シスターの周りの気温が下がっているような。そして仲間(孤児院の子達のこと)達よ、何故そんな可哀想な子を見るような目で私を見る?
「貴女も私に報告が幾つか、えぇ幾つかあるようですね…ブライトン様、後のことはお任せします……いえ、その前に私のベッドを焼却処分して新しいものにしなさい。費用はあの女の部屋にある物を全て売るなりしなさい」
「はい!!」
いつの間にか村の会合から戻ってきていたブライトン神官が、ビシッと敬礼してすぐさま仲間達を引き連れてこの場を去った。
……うむ、訓練されておるな。そして私の肩を掴んでいるシスターの手が段々強くなっていくのが気になる。
痛いなーって言える雰囲気ではないのは私にも分かる。
そして孤児院の隣にある教会の一室へと連行される私。
……私が断罪されそうな何か。
シスターのこめかみがピクピクしてるのは私の不用意な発言のせいだろうけど、それでもシスターの報告とやらを聞きたくないので言わずにいた事を喋っていたのだが、シスターは落ち着いて対処して、私を逃がしてくれなかった。
……落ち着いているよね?そりゃチョイスミスったかなって思う事も言っちゃったけど………………大丈夫だよね?