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保健室の先生 ~ほけせん~  作者: 漢字かけぬ
プロローグ
2/18

足回りおせちセット

 先生  「前回のあらすじは、不良達に宣戦布告したところだ」

 リーダー「変態なところは隠すんだな。これが大人ってやつか」



 ー 現在  謝肉祭公園 河原 夜 ー


 「じゃあ母さんはいじめじゃなくて病弱を理由に保健室登校を?」 

 「そうだ。レンジ君の前でシユ君が実は病気でした、と言えるわけがない」 

 「先生、嘘をつくとそのすべての話がうさん臭くなりますよ?」

 「ああ、”いじめグループがシユ君の保健室登校をばらしたことも”

 ”いじめグループが自主退学してシユ君が普通の教室に戻った”こともな」


 「なんで母さんとシユさんはそんなことを?」

 「親だって人間だ。少しは過去話を盛りたくなるもんだ。

 勿論嘘は悪いことだが、見栄ってもんだ」

 「大人って信用できないんだな」

 「そりゃ君たちは当事者じゃない、実際に見てないからな。

 話は盛られ放題。ネットが全て真実で構成されてるわけじゃない」

 「おいしい話が詐欺だったり闇バイトに釣られる層も問題になってるっけ?」

 「私を信じろとは言わないさ、けどシユ君は今回の件で少しも悪くない。

 結果的に被害者役が回っただけだ」

 「救われないな」

 「ああ、現実は熱血学園ドラマのようには回らなかった」





 ー シユ君の学園生活過去回想 市営体育館 夜17時55分 ー


 どうしよう!!!不良3人娘、通称胃袋空腹連合が来ない!!

 もしかしてバックレた?熱血教師デビューがああああああ。


 頭をぶん回してああああああと叫ぶ奇天烈オブジェをスルーしていく街の住人。

 関わったらまずいと判断されたか。

 それは彼女たちも同じ。

 テストの点が悪いとか教育態度が悪いとかで見向きもせず蓋をする教師陣。

 普通なら最初からいい生徒を評価するしな。


 「どうしよう?シユ君、サボられたよ!私達!!」

 「先生、携帯電話!!」

 「流石だ!シユ君!」

 「あー、もしもし先生だが、ゑ?もう中にいるって!!!

 自販機前?分かった。すぐ行く」

 「先生!遅刻!」

 「ったく教師が遅れるとは情けない。けどシユ君の体調も大事だ。

 歩いてくぞ?」

 「手繋いでいい?」

 「ああ、無理するなよ?」


 ー 市営体育館 自販機前 ー


 「じゃ遅かった先生(せんこー)は罰ゲームで奢りってことで。ブラックコーヒー」

 「リーダーがリーダーでホントよかった。わっちはコーラ!」

 「こ、小恋阿ココア

 「じゃ~あ、シユはジンジャーエール!!」

 「へ?君達図ったな!!」

 「味方と思っている兵こそ用心深く疑え。敵を欺くにはって奴だ」

 「先生?シユは大人を完全には信用していませんよ?」


 思ったより技巧派だな、保健室メンバー。



 ー 市営体育館内部 夜 ー

 双方体育用のジャージに着替えていざ決戦。

 生徒が怪我すると危ないからマットを敷いて、私も片眼鏡を外す。

 応援席には手術を受ける子とシユ君。

 私に対峙するのはリーダーと側近の2名。


 「ルールはハンドとキックありの変則スポーツチャンバラ。

 それぞれ武器はスポンジ製の刀1本が配布されている。

 私に一撃当てた時点で君たちの勝利。

 逆に今から15分間で決着が付かなければ私の勝ち。

 タイツやストッキングを頂く。大丈夫、代わりのは買ってある」

 「早くも勝ったつもりか?俺達は2人、当然同時に行かせてもらう」

 「リーダーとのコンビネーションは負けなしだ!!」

 「リーダーφ途(ファイト)

 「先生!負けたら1週間私の上履き嗅ぐの禁止ね!」

 「「「「ゑ?」」」」


 胃袋空腹連合はドン引きしているし、私も人生の糧を失う事態。

 そんなつもりはないが、わざと負ける退路は断たれた。

 本気で行こうか!!


 「試合開始だ。18時30分で試合終了」

 「うおおおおお」


 リーダーが突っ込んでくるか。いや反対側に側近。

 声を出して陽動を図り、裏からの奇襲で勝ちに行く。

 流石に後ろには目が無いから反応しきれないと予測した、それは正しい。


 「なるほど陽動か」グイッ

 「!!!」


 私は空いている右腕でリーダーの腕をつかみ後ろへ力を入れた。

 面白いように勢いが乗り側近と激突。


 「つぅ。なんだ今の技は!!まだいけるな!次プランB反転!」

 「OK。リーダー」


 リーダーが攻めてくるのは変わらない。

 だが側近が私の武器を持っっている左側へ。

 武器をガードしている間に頭でも狙う作戦か。

 右側から攻めないのは先ほどの行動から危険と判断したな。


 「!!ジャンプして空中からか!」

 「貰った!」

 「なら斜め後ろに移動だ。ジャンプ後のスキを狙えば、ほいと」


 柔らかくリーダーの頭にポンと武器を置く

 残った側近はもはや敵ではない。


 その後も決定打はなく15分が終了、私の勝ちだ。

 納得以前に完全にチカラの差を見せつけられた彼女たちは意気消沈。


 「俺たちの負けだな、先生(せんこー)。タイツぐらいならくれてやる。

 それより約束は果たしてもらう」

 「リーダー!リベンジしないんですか!!」

 「俺達が勝つには実力が違いすぎる。フリーの右手だけでなく、左腕のガード。

 高速で後ろにステップ回避できる強靭な足腰。

 まるで後ろにも目があるかのような気配察知力。まさに一騎当千」

 「ああ気配察知は君たちの靴下の香りですぐにわかる。

 ちったぁ鼻がいいんでね」

 「「「・・・・・・・」」」

 「ドン引きされてる!!!」

 「ホントにこんなのに任せていいものか」

 「ああ成功は保証する。君たちはもう帰れって。門限もうるさいだろうしな」

 「ふっ。期待しているぞ?」


 患者以外全員帰らせてお漏らし癖のある子の手術。

 前料金である”足回りおせちセット”を貰った以上、失敗の2文字は許されない。


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