惑星
冷えた朝、ほんとか嘘かは分からない。
日差しの輪郭、覗き込んでも分からない。
いつからか、まるで優しい砂漠みたい。
こんなに湿り気に埋もれているのに。
太陽と月の間から生まれた夜、ひとときの旅。
思案のざわめきは沈黙の果て、答えの欠落は凪の果て。
どっち付かずのうらやましさが、出会いの幕切れ紛らわす。
涙目に飛び込む砂、湿り気に流されて。
砂の連なり、私情の絡まり醜い雫。
泥の重なり、私欲のまとわり醜い大地。
卑しい溜め息と白々しい歓声、気紛れの愛が包む醜い成層圏。
新しい惑星、汚らわしい惑星は生まれる。
それは毎日、毎朝、毎晩生まれる。
望まない誕生のおぞましさが生気の抜け道を作り上げている。
肌を貪る砂、赤い湿り気で衰退取り繕って。
古びた衛星、麗しい衛星は生まれる。
それは毎日、毎朝、毎晩生まれる。
忘れられない歌の欠片を永久に口ずさみここに来る。
慰めと言い訳、部屋の片隅掠めて回る。
部屋に閉じ込めた宇宙の始まり、偽物の宇宙。
うたた寝の惑星、不眠の衛星。
どうにもならない部屋の片隅を掠めて回る。
覚えられない歌の欠片を忘れるためにここに来る。
見馴れた横顔に私の影がかかってる。