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20.丘の上の教会

大陸東方に渡るために、サティナ王国へと最終的に向かうことになるが、アスタル王国からサティナ王国へと渡るルートは、何本かある。その内、俺たちが今通っているレベリュート経由のルートは、一番距離が短く、一番険しい。少し遠回りになるルートを選んでも良かったのだが、このレベリュートへと至ったのには訳がある。レベリュートが、様々な物質が集まる商業都市だというのも一つの理由だが、もう一つ。ここには、他のルートでは出会うことのないものがある。

それに会うために、ここまで来た。レベリュートの中心街を抜けた先、小高い丘の上に、それはある。

向かい風を受けながら、歩みを進める。その後ろを、フードを被ったフレイアが、付いてくる。


「あの………これ、ちゃんと隠れていますか?」


フードから顔を覗かせ、そう俺に聞いてくる。


「傍からみれば、ただの町娘だな。大丈夫だ。」

「嬉しいような………嬉しくないような……………。」


なんだかブツブツと呟き、並んで歩く。近くの木に止まっている鳥の歌声が、爽やかな風の吹き抜ける草原を包んでいた。


「フーガおじさん。結局、爺さんって誰のことなんですか?」

「………俺が現役だった頃、魔法制御を習った。その師匠のような人が、これから会う爺さんだ。」

「………師匠さん、ですか。」


フレイアが、空を見上げてそう言う。

………師匠、か。俺の場合、出会い方も別れ方も普通の師弟関係とは違ったが。

頭の中に色々な思い出が浮かんでくる。それを考えながら、坂道を上る。


「あっ……………見えてきましたよ。」


フレイアが、頂上を指差して言う。確かに、建物の屋根が見えてきた。

さて、もう少しだ。



丘の上に立つ教会。その周りには少々木が生えているだけ。そこから見下ろす景色は、正に絶景だった。


「久しぶりだな、ここに来るのは。」

「……………お主が初めてここに来たのは、今から二十年前。まだ初々しいガキの頃じゃったあ。今でも、昨日のことのように覚えておるよ。」


砂利の足音と共に、しわがれた声が聞こえてくる。その老人は、白いローブを纏っていた。

フレイアが声に気づいて後ろを振り向くと、その老人を見て絶句していた。


「フーガおじさん………この人って……………!!」

「ああ。俺の魔力制御の師、ソル爺さんだ。」


目の前に立つ、一見するとよぼよぼの

この男こそ、俺の師、ソル爺さん。

胸に光るペンダントは、“礼魔”の証。

そう。その真の顔は、“礼魔教”の司教ソルディア・アズベルだ。

爺さんは、俺たち二人の顔を見て、ニッと笑った。

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