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5 見つけた
俺はリリィさんの背後に近づくために、防波堤の上を通り、真後ろになってから、そっと2ｍの高さから飛び降りるとそのまま、そーっと近づく。幸い、海風が強いせいで砂浜を歩く俺の足音はすっかりかき消され、それは、あっけないほど簡単に背後に忍び寄れ、とても楽しそうには見えない後ろ姿を見ながら俺は、そっとしゃがんだ。
しゃがんだことにより、リリィさんの影に入り、風の音が急に聞こえなくなって、静寂が訪れて来る。刹那---
「けんたろー……」
なんだ？ 気付いていたのか
「なんでしょうか？ リリィさん。 釣れますか？」
俺はリリィさんの真後ろ30cmで俺を呼んだ彼女に答えた。
急に俺の方へ振り返ったリリィさんは驚愕の表情で後ろを振り返り、
「………………」
振り返って、驚きの表情を浮かべるリリィさんは大粒の涙を流していて、
「何でいるのよ！」
俺にキレている。
何だ？ 俺の接近、分かってたんじゃないのか？
