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凪の始まり  作者: 樹本 茂
8月 リリィさんと海(前編)
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32 事務所

「おはようございます。いやあ、暑いですね。もう八月も終わりだってのに、このまま行ったら、クリスマス頃には40℃超えですね」


俺が18時過ぎに事務所に入ったら、


「店長おはよう」


「おはようございます」


雅さんと郷田さんが一つのパソコンモニターを見ながら談笑中だった。

珍しい組み合わせだ……


笑みを見せる雅さんが、一瞬、視線を俺から外した。


「それじゃあ、また、ありがとね、郷田さん」


そう言うと、そそくさと事務所を後にする雅さんだった。


なんか、俺が邪魔?一瞬、そんな錯覚に襲われる。


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