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25 大好きな大切な友2
「ねえ、ふざけてる?」
「違う違う、すっごく可愛くて、もうクラクラ来た。だから、聞きたくなった。んだけどいいや、ごめん」
俺がちょっとやりすぎたと気づいて、相変わらず口をま横一文字に閉じてジト目で見つめるリリィさんを、
「よいしょ」
ご所望のお姫様抱っこをして差し上げた。
「だから、歳よりくさいって………………ハラショー……」
俯いて、
「これでいい?」
「あ、ありがとうございます」
無茶させた。すまん。子供相手だった。やらせた後に罪悪感が……
「いいよ、べつに……可愛いとかいうから、ちょっと恥ずかしくなっただけ、嬉しいけど」
少し微笑むと、リリィさんは俺の首に手を回して月を見て、
「大好き」
え?……
ん?……
何?……
どうすればいいの?
俺の腕の中で月を見ながらニィと笑っている美少女のセリフに対応できずに固まっていたのをゆっくりと俺に視線を合わせて、俺の表情を楽しんだ後、
「帰ろうか……満足した」
薄暗い月明かりの中、リリィさんのやり切った笑顔が俺には、はっきり見て取れた。




