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凪の始まり  作者: 樹本 茂
8月 リリィさんと海(前編)
73/387

10 ビンゴ1 & 11 ビンゴ2

「ビンゴ!」


美琴さんが勢いよく番号を読み上げる正面のホワイトとボードへと駆け寄り、箱の中のくじを引いた。


「64番!」


「64番の賞品は!……インフレータブルボート!!特殊部隊が隠密行動するときに使うボートです。船底に特殊プラスチックが張られているので破損しにくいです。おまけにポンプと乾電池も付けちゃいます!」


会場が笑い声で包まれる。6人乗りの折りたたみゴムボートだ。


「いらね~」


美琴さんが肩を落としながら、両手で抱えてもあまるほどの大きさの箱を手にテーブルへと戻って行った。






「続いては、No.53……どなたかいませんか?」


「どう? リリィさん?」


「ダブルリーチよ、ふふふ」


ニィと笑っている。


「ビンゴ!」


千絵ちゃんが、箱の中のくじを引いた。


「17番!」


「お! これは全部入り、究極セットです」


リンゴ印のオプション全部入り総額3桁万円のデカいモニター込みのPCセットを当てて大はしゃぎしている。人見知りしねぇな。



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